ピグミーとピグミーとクロノス
ピグミー小人はすぐに彼の父親を連れてきました。
彼ら二人は、神々の書記クロノスの大きな身体を見上げてため息をつきます。
労働させるものクロノスは地面にしゃがみ込んで、小人二人を興味深そうに上から見つめながらこう言います。
「君達の名前はなんと言うのだね?ピグミーと言うのが君らの名前なのかい?」
子供の方のピグミーが大きな身体の神に応えて言います。
「そうさ、僕はピグミー、父さんもピグミー。ついでに言うなら母さんも兄さんも姉さんも弟も妹も、皆ピグミー。お隣さんちの煩い奴らも全員ピグミー。」
神々の書記クロノスはその黒い瞳で、早口に喋るピグミーを見下ろしていました。
彼は父親の方のピグミーに尋ねて言います。
「という事は親父さん。貴方がたには個々人が持っている呼び名はないと言う事なんですね?」
ちょび髭を生やしたピグミー親父は、鍬で耕すものクロノスに答えます。
「そうです。何かおかしいので?」
神々の書記クロノスは立ち上がりました。
そしてこう言います。
「名前がなくてはならない。」
鎌で刈る者クロノスはこう宣言しました。
「我々は皆、偉業を成し遂げる必要がある。それは労働であったり、闘争であったり、芸術であったり、学問であったりする。個人個人によって何を偉業とするかは異なる。しかし誰もが自分の、自らの偉業を成し遂げるべきなのだ。名前がなければならない。成し遂げた時に民衆が彼の、彼女の名を呼ぶ。その時の為に!」
目を丸くしてピグミー親子は聞いています。
彼らはこのようにして、堂々と自らの考えを高らかに歌い上げる者を見たことがありませんでした。
父と子は顔を向け合い、やがてピグミー親父は勤労者の神クロノスに向き直って言います。
「あなたのおっしゃる事柄は大変素晴らしいと思います。私もその、偉業とやらを成し遂げてみたいです。」
「そうだ、英雄になりに行こう!」
ピグミー親父に続いて、彼の息子が叫びました。
「英雄とな?」
黒い太陽クロノスは静かに問います。
小さなピグミーははしゃいだように答えます。
「ここからもっと行った先の森の奥に、ワームが住んでいるんだ。一匹や二匹じゃない。うじゃうじゃと沢山!」
クロノスは静かに首を傾げます。
「もし良かったら、一緒にワーム達を退治しに行かないか?あなたのその、大きな身体が近くにあるとこう、頼もしいからさ!」
「それは私からもお願いします。」
ピグミー親父が言います。
「森の奥に住むワーム共は毎年、私達の仲間から娘を一人さらいます。そして彼らの王が、それを丸呑みにしちまうんです。彼らを撃ち殺して、私達は心の安らぎを得たいのです。」
槌と鎌を持つものクロノスは立ち上がりました。
そして言います。
「作戦を立てよう。その前に、君達と私が落ち着いて話し合える場が必要だね。




