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第6話:図書室と少女②
あまりに慌ててたせいか、傘を持って行くのも忘れていた。
しかし、幸いな事に雨は小雨程度しか降っていなかったので、あまり濡れる心配はなかった。
「はぁ……はぁ……着いた……」
校門の前。
息が荒い。
僕は一度大きく深呼吸をしてから、校門をくぐった。
今日は部活も休みらしく、学校は静まり返っている。
僕は急いで教室に行くと、案の定、僕の机にはあるはずのファイルが置いていなかった。
正直、本当に失くなっていると思わなかった僕は真っ青になった。
冷や汗が額からこぼれ落ちる。
冷たい感覚が僕を襲った。
(もしかしたら、違う場所に置いてきたのかもしれない……)
僕はわずかな希望のもと、図書室に足を走らせた。
図書室の扉を勢いよく開くと、思いもよらず、窓際の椅子には一人の少女が座っていた。
お互い目が合う。
ミディアムヘアーでパッツンな前髪。
真っ白な肌に、黒く澄んだ瞳。
(あの時の……)
そこにいたのは、昨日も図書室に来ていた少女だった。
相変わらずの未熟さですが、もしよければ感想・評価など宜しくお願いしますm(__)m