1.プロローグ&2.その他諸々物語
どんなに頑張ったって、親は変えられない。
それは誰もが知っているはず。
だけど、それを知ってたって考える人はいる。
それには様々な理由がある。
可愛いものだと、勉強のことをグチグチ言ってくるような親。
酷いものだと、宗教にどっぷり浸かってしまって、自分のことを全く見てくれない親。
暴力を奮ってくる親、などなど。
そんな人が沢山いる。
しかし、その中でも稀有な理由で親を変えたい人もいる。
それが俺、春見市夏だ。
そしてもう1人…、俺の幼なじみである、秋本冬華である。
何がどうして親を変えたいのかと言うと、それは20年前、俺たちが産まれる前まで遡る…───
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事の経緯は、俺の母、春見 桜と春見 翔汰、そして、冬華の母である秋本 雪と秋本 正也の、それぞれの夫婦が結婚して2年目に当たる時期になる。
だが、ここでたくさん尺は使いたくないから端的に話す。
桜と正也が浮気をして、翔汰と雪が浮気をしていたのだ。
そして、これだけでも十分親を変えたいと思う理由になるのだが、残念ながらまだ理由がある…。
実は俺は、桜と翔汰の息子ではなく、本当の親は、桜と正也の息子…、そして、冬華は、雪と正也の娘ではなくて、本当の親は、翔汰と雪の娘ということだ。
しかもこの4人、和解もしてるし、もはやこの4人全員でひとつの夫婦であるかのような距離の近さとなっている。
ここまで長々と意味のわからないことを淡々と語ってしまったけど、ここでついに本編へと行こうと思う。
この、複雑すぎる家庭に生まれ落ちた2人の幼なじみの話である…。
ちなみに普通のギャグコメである…。
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「そろそろ学校だな〜」
「そうだね〜」
そんな他愛のない話をしながら、俺の部屋のベッドに座りながらス〇ブラをしている。
男女だが、もはや双子みたいなもんだから気にしてすらいない。
家は隣同士だし、生まれ落ちた瞬間から一緒だったから。
あと両親同士の距離が近いのも理由の一つだ…。
ゲームセットというスマ〇ラの掛け声と共に、俺は勝利のガッツポーズをとった。
「よっしゃー!40戦20勝、並んだな!」
次から高校2年生になるが、春休み中はずっと2人でゲーム三昧だった。
ちなみに、宿題なんてものはやっていない。
「あー負けちゃった〜!」
冬華が手足をピンと伸ばして、伸びをした。
かれこれ2時間くらいはやっていたからだろう。
「ねえ、ここら辺で私たちがどういう人なのか紹介しなくていいの?」
「たしかにそうだな」
ということで、俺たちの紹介をしていく。
俺は春見市夏。
次から高校2年生になる16歳の男だ。
イケメンである(強調)
こいつは秋本冬華。
俺と同じ16歳の女子だ。
普通に可愛い美女だと思う。
背丈が155cmと普通だし、なんというか…、スレンダーだけど。
髪型はボブで、私服が俺と一緒でジャージ。
正直男かと疑うくらい女子である自覚が欠如している。
「し終わったぞ」
「おつかれ〜♪」
冬華が、ウキウキな様子で答えた。
何かと思ったら、スマホでこの前送ってた懸賞が当たったらしい。
「懸賞当たったのか!すごいな。ちなみに何が当たったんだ?」
それはそれはうっとりした表情で言った。
「ポウメ太夫のアクリルキーホルダー♡」
「……」
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あと4日で学校が始まるというのに、宿題を一切やっていない…!
宿題はめちゃくちゃある。
俺たちはまだまだ寒いこの4月に、俺の部屋の真ん中に机を置いて、暖房もいらないくらいの熱量で宿題をやっていた。
「数学あと何ページで終わる?」
「100ページ中1ページ」
「俺もだ」
そんな会話をしながら、青ざめていく。
「「おわったーーーーーーっ!!!」」
もちろん、宿題が終わった訳ではない。
「どうせ未来の自分がやってくれるだろ」という考えでここまで何もしてなかった自分を恨みたい。
「どうしようどうしようどうしよう…」
冬華が頭を抱えながらブツブツ言っている。
「もう撃つしか……」
「?」
「ア〇ダケダ〇ラ!!」
シャーペンを杖のように持ち、宿題に向けて、そんな物騒な魔法を唱え、アズ〇バンの囚人はまた勉強に戻った。
ふと何かに気づいたのか、顎に手を添えながら言った。
「先生に撃てばもっと楽じゃん」
「殺すの!?」
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どんなに大変な時でも遊ぶのを忘れないのはいいことだと、卒業した先輩が言っていた。
その結果、Fラン大学で落ちたんだが…。
だけどそれでも俺たちはゲームセンターに遊びに来ていた。
春休みが終わりに差し掛かっているというのに、沢山の人がいる。
まあ俺たちもだが。
「くぅ…、取れないよぉ…」
冬華がクレーンゲームに野垂れ込んでいる。
かれこれ30分はこうしている。
「何取ろうとしてるんだ?」
「ポウメ太夫のヌード写真集…」
「ポウメ太夫好きすぎだろ!!!」
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ポウメ太夫のヌード写真集を取ってあげたあと、俺たちは同じ館内にある、フードコートに来ていた。
「こんなことをしていていいのだろうか…」
「へーきへーき〜♪」
そう言いながらパフェを食べる冬華。
美味しそうに頬を膨らませている。
「?...市夏も食べる〜?」
ずっとその様子を見てたから俺が食べたいようにしてると勘違いしたのかもしれない。
「はいあーん」
はいあーん…。
それは…、好きなやつ同士…カップルがやるものである…。
しかし俺たちはいとも平然とやってのけるのだッ!!
パクっ
「美味い」
だけど…
「あそこのカップル熱々〜…!」
「なんだあいつら…!見せつけるように…!どうぞお幸せになりやがれってんだ…!」
などと聞こえる。
正直愉悦感半端ない。
たしかに、こんな美女とあーんしてたらカップルだと勘違いしちゃうだろう…。
だけど付き合ってもなければ、異性として好きじゃない。
同性同士のあーんと同じ感覚なのだ。
「何ニヤニヤしてんの…?」
普通にドン引きされた。
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もう…、学校前日の夜10時になっていた…。
冬華の部屋で徹夜をして宿題をすることになった。
まあ、いつもの事。
「数学あと何ページ?」
「100ページ中1ページ」
「俺もだ」
青ざめた。
今日まで遊んでた俺たちを憎む。
危機感の欠如…。
だが、これでいい…!!
俺たちはこれくらいの方が燃え上がるからだ!!
徹夜すればこれくらい!!
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「お前ら2人何してんだ!?!?1ページしかやってないじゃないか!!」
「すいません…。えっと…、寝落ちしてました…」
数学の先生のところに来ている。
「いやいや、もっと早く終わらせろよ!!なんだ、あれか?春休み始まったから勉強しようとしたら、学校が始まる寸前まで寝てましたってか?笑わせるなーーー!!」
ご立腹のようだ。
現国も、英コミもやっていない。
こんな説教があと2つもあるなんて信じたくもない。
俺たちは、職員室中に響き渡る怒鳴り声に、耳を塞ぎたい気持ちで呆然としていた。
涙が、頬を伝っていくのを感じる。
俺がそんなことを思っていたら隣で…
「〇バダケダブ〇!!!」
冬華は…それはそれは、大きな声で唱えた…。
シャーペンを先生に向けながら……────
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無事宿題を倍にして返された俺たちは、ファミレスで夕飯を食べていた。
本当ならお昼で終わっていたのに…。
そもそもなんで俺まで宿題倍なんだ...ッ!!
「冬華のせいだぞ!!!!」
泣きそうだよ…、俺…。
あんなに一緒に過ごして来て8度目のことだった。
毎回結果はどうあれ、こんな感じだ。
「まあまあー、いいじゃん!!これ美味しいよ?食べる?」
そんなことを、フォークに刺したハンバーグをこちらに向けながら言った。
俺はそれを食べた後言った。
「うん、美味しい」
正直いつものことだからどうでもよくなっていた。
どうせ俺たちはずっとこんな感じだし。
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家に帰ると、当然のように冬華の両親がいる。
「おかえりなさい、市夏、冬華」
「あぁ…、おかえり…」
「おかえり〜♪」
「ただいまでしょ…」
上から、雪、俺、冬華、雪の順番だ。
雪が、玄関で迎えてくれていた。
実の親ではあるが、冬華の母だ。
「お夕飯作ってるから早く食べてね」
絶望という言葉は今のためにあったのか…。
さっき食ったばっかなんだけど…。
だけど俺たちは、断り切れずに食うことになった。
「美味い…」
「美味しい〜」
正直俺たちもうグロッキーだ。
冬華に関しては、余裕そうに見せて俺が左手でお腹を、高速で撫でてあげているだけだ。
時計回りに大きく回すのがコツだ!!
「く、食い終わった…」
食い終わった俺たちは、部屋に戻りベッドで横になっている。
「は、吐きそう…。うぷっ…」
冬華がだいぶしんどそうだ…。
ゲロイン仲間入りを果たしそうな勢いだな…。
ふと隣を見ると冬華は
「おええええええええええええええええ」
「冬華あああああ!?!?!?!?!?」
俺の布団の上で、盛大なゲロインをかましていた。
「俺の布団から一旦離れろ冬華!!」
「おええええええええええええ」
くっそ…!!止まらない…!!
何か無いのか!?
……!
あれだ…!!!
「これを使って冬華!!!」
「おえ!(うん!)」
渡したのはゴミ袋…、ではなく冬華の鞄…。
「おええええええ…?おえ!!」
「人の布団にゲロ吐いてんじゃねえ!!!」
怒りを冬華の鞄にぶつけたのだった。
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親にこっぴどく怒られたあと、俺たちは風呂に入っていた。
そう、俺たちで。
ちっちゃな頃から一緒に入ることがあるのだ!!
これは、作者の願いとかそんな不純な考えからこんなことをしてる訳ではないのだ!!
「市夏〜ごめん!!だけど、鞄を渡すのは酷いよ〜…」
泣きそうな顔で謝ってきた。
ちなみに俺の布団は洗って、また使うらしい。
正直、買い替えたいレベルで不快だ。
布団全部に染み込んでたからな…。
思い出すだけで俺も吐き気が…
「おろろろろろろろろろろろ」
「市夏ああああああ!?!?!?!?」
気づけば俺は、湯船で吐いていた。
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普通に家を追い出された。
あんなおかしい設定の親なのに、普通に厳しい親という設定まで上乗せされてるの、普通にギルティだ…。
「どうする…?」
「どうしよっか…」
現在時刻7時。
多分2時間は家に入れてくれないだろう。
「寒いな普通に…」
「銭湯行く?お金たまたま持ってたし」
「行くか」
即決だった。
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男湯の暖簾をくぐろうとした時
「あれ?市夏?」
聞き覚えのある声が、俺を遮った。
「友也じゃん」
友也とは俺の友や。
このシーンの為だけに生まれた、俺の友達である。
「なんで銭湯に来てるんだ?」
「ちょっと色々あって追い出されただけだよ」
"色々"がかなり汚い内容だけど…。物理的に…。
「そっか〜大変そうだな〜。じゃあな、俺はもう入ったから帰るとこだったんだ」
「そ、そっか。じゃあな」
ほんとにこの為だけに生まれたのか…!?
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私は女湯の暖簾をくぐった。
この行為に私は、女である誇りを持ってる。
だけど全男子に言いたい。
銭湯なんてばあさんしかいない!!
夢なんてないと!!
だけど
「なんか妙に若い子多いな?」
服を脱いで大浴場覗いてみると
「化粧水風呂…?」
なんか化粧水風呂なるものに、若い子達が詰まっていた。
文字通りで…。
おばあちゃんたちは「若い子たちは元気でいいねえ」とか言ってるけど、そういう話じゃなくない...!?
「あ、あの〜…、何してるんですか…?」
「私たち化粧水風呂に惹かれて入ったんですけど、思った以上に人が入ってきて…、詰まっちゃいました…」
「は、はあ…」
どんな風呂だ!!
ポウメ太夫の浮かぶおもちゃが沢山浮かぶイベントやってたら、来るけど!!
詰まってるって言ったって… 、なんか上に山になって、積み重なってるし…。
一体どうすれば助けれるの…?
とりあえずお風呂に入って考えよう…。
化粧水風呂じゃない空いてる湯船に入った。
どうすれば助けられるのか…。
引っ張る?いや、腕が取れるか…?
上から1人ずつ降りてもらう?
いや、落ちた時危ないかな…。
とか考えながら、着替えて休憩所のイスに座るのだった…。
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「何考えこんでんの…」
「どうすれば出来るかなって…」
「…?」
俺は何を言ってるのか分からなかった。
しかし冬華は、それ以降何も言わずに帰ったのだった……
新しく書きました
前までのやつはもはや手をつけようともしてません
自分が苦手な分野より好きなものを書いていたいので
では今後ともよろしくお願いしますね




