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2024-09-27.01.59.46 明日が最後ならパフェを食べる。イチゴの。

作者: 素餐ほっけ

 気が付くと、ここにいた。生まれた時から、ここにいた。

水族館。の大水槽の前。無限に広がる、深淵の一歩手前で切り取られた小さな世界。それでも私の身に余る膨大で小さな世界。


 案内人がいた。3人の案内人。私には見分けが付かないが。

もしかしたら同じ人だったかもしれない。

「ここには何もない」

「ここには何もないと等しい」

「ここはない」


「次は案内できない」

「次はついていくことが難しい」

「次は一人でも大丈夫だよね」


 私は水槽に触れる。冷えたそれは昔、ガラスだった。

今はアクリルだ。それは昔、とても薄く、近くにあった。

今は60センチだ。変わったわけじゃない。知らなかっただけ。でも知ってしまった。どこか遠くに行ってしまったように思える。まだそこにあるのに。私は手をポケットにしまった。


 私は何もいない水槽を見つめる。昔は何だっていた。

今は何もいない。私は疑いを知った。

考えれば考えるほど減り、そして消えた。

闇を見つめる。瞬いても変わらない景色。同じなら目を閉じる。


 私は耳を立てる。必死に泳ぐモノのヒレの動く音。どこからか出るいくつもの泡の音。トクッ、トクッ、と心地よいリズムで動く私の心音。

今となっては何も聞こえない。聞かせてくれない。


ここはどこでもない。

ここには何もない。

ここでは何も聞こえない。


 私は気づけない。一人では何もできない。変わるのは私じゃない。変わるのは世界だ。待つことしかできない。待つのは嫌いじゃない。


 とりあえず、私は目を開けておく。

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