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第二十話 グループ名決め(1)

本作はカクヨムにも連載しております。

カクヨムの方が先行掲載となっておりますので、続きを早めに読みたいという方はこちらもどうぞ↓


https://kakuyomu.jp/my/works/16817330650367913330

 夏の盛りが過ぎたものの、残暑が厳しいある日。


 俺たちは本社の会議室に集合していた。


「みんな、今日はよく集まってくれました。色々あったけど、ついにここまで来られたわねえ。みんな、お疲れ様」


 上座に陣取った成増さんが感慨深げに言って、拍手を扇動する。


 俺たちも軽い拍手を返した。


 色々あったが、何とかデビューに必要な最低限の訓練は終了した。


 本当、大変だったな。


「で、今日はまず、かなり今更だけど、みんなでグループ名を決めていきたいと思います。このままだとあなたたちのグループ名は、『ファン心理を煽ってじゃぶじゃぶ投げ銭したくなるようなグループ名(仮)』になっちゃうからね」


 なにその炎上しそうな仮名。


「本当に今更ですね」


「でも、かえって良かったかもしれないわ。みんな忙しい合間の縫ってトレーニングをした今の方が、グループ名決めにも想いが籠るってものでしょう」


「確かに」


 俺は相槌を打って頷く。


「じゃあ、各自、考えてきたアイデアを発表していきましょうか。まずは私からね。流星群(メテオシャワー)なんてどうかしら。シューティングスターだけに」


 成増さんがドヤ顔で提案し、ホワイトボードに『メテオシャワー』と書きつける。


「なんか厨二が考えた技名みたいですね」


 俺は正直に感想を言った。


 自分では割と気を遣う方だと思っているが、ブレストの時は忌憚のなく意見を出し合うことが重要なので遠慮はしない。


「クソゲーRPGの三秒で考えたデフォルト呪文っぽい」


 明璃が容赦なく切り捨てた。


「が、ガオ的には結構ありですね!」


 確かにシネは厨二っぽいグループ名を叫んでいても違和感はない。でも、わざわざVの一人称を持ち出してきたということは、籾慈本人的にはナシなのだろう。


「私は結構好きです。めておしゃわー」


 咲良が教育番組のようなユーモラスな仕草で手を振る。


 まあ、彼女なら『キルゼムオール』でもかわいく言えるだろう。


「じゃあ、ひとまず却下ね。い、言っておくけど、最初にダメな案を出すことで、他の人が発言しやすくするテクニックなんだからね!」


 成増さんが頬を赤くしてホワイトボードをバンバン叩く。


「さすがです。成増さん」


 そして誉め殺す俺。


「くっ。――はい、じゃあ、時計周りに発表! まずは明璃から!」


「Bダッシュ」


 ぽつりと呟く。


「Bダッシュって?」


 籾慈が首を傾げる。


「あっ、私知ってますよ。ボタンを押すと速く動けるやつですよね! どうぶ〇の森で使ってます」


 咲良が手を挙げてにこやかに言う。


 マリ〇じゃなくてぶつ森ソースとは。


 もうBダッシュが通じない世代も出てきているのか……。


 まあ、かくいう俺もマ〇オ世代ではないし、ゲーム好きじゃなきゃ知らなかったかもな。


「個人的には結構好きなんですけど、なんかもう既存のアイドルグループでありそうじゃないですか?」


「今調べたら、いくつかあって、そのどれもが解散してるわね……」


 成増さんがタブレットをいじって、首を横に振る。


「じゃあもういい」


 明璃はそう言うと、すでに義務は果たしたとばかりにスマホをいじり始める。


「まあ、あの明璃が一個でも考えてきただけ良しとしましょう。――じゃあ、次は咲良!」


「はい! これです! ファンの皆さんの心に幸せの種をまきたいという気持ちを表しました」


 咲良が緊張の面持ちで、白い花が表紙のジャポニ〇学習帳を開く。


 そこには、かわいらしい丸っこい鉛筆文字で、『流星幸福播種委員会しゅーてぃんぐすたーふぁーまー』と記されていた。ハートマークに植えられた星形の種から芽が出ているかわいらしいイラスト付きだ。


「……今風といえば今風?」


「ですかね。今までの中では一番いいかと」


 ルルはすでに個人で歌配信とかもやってるので、ボカロ曲とかにも影響を受けているのだろう。


 Vのユーザー層は若年層が中心なので、ボカロを好む層と被る部分もあるし、正しいターゲッティングである気もする。


「次は、籾慈」


「はい。私が考えたのは、雪花虎狼(セカコロ)です。あんまり難しく考えずに、かわいい響きで四人を表せればいいかなって」


 籾慈は自分でホワイトボードの所まで歩いていき、マジックで四文字と読み仮名を書き込む。


 雪がセツで、花がルル、虎がシネで、狼が吠。非常に分かりやすい。


「うん。意図はよく分かるんだけど、それももうあるのよねえ」


 成増さんがタブレットをスワイプし、某社のカードゲーム大会のHPを籾慈に提示する。


「あの大手から案件が貰えたらありがたいですけどね」


 賞金一億はすごいよなあ。俺も一時期、本気でプロを目指そうかと思ったけど、カードゲームの強者になるには、アクション系のゲームとは別の才能がいるのですぐに断念した。


「あー、ごめんなさい! 漢字では調べたんですけど、読みでも被りを調べないとダメでしたか」


 籾慈が恥ずかしそうに頭を掻いて席に戻る。


「いや、読みは変えればいいだけだから。四文字熟語はグッズとかも作りやすそうでいいわね」


「読みもそのままセッカコロウでも悪くはないですよね。同じ厨二風なら、俺はメテオシャワーよりはこっちの方がいいです」


「まーた蒸し返す! そう言う三雲くんはさぞ素敵なグループ名を考えてきてくれたんでしょうねー」


「そんなのがぱっと思いついたら、コピーライターになってますって」


「いいから、さっさと出しなさいよ! ボロクソ言ってやるー」


 成増さんが口をパクパクさせて言った。

もし本作をおもしろいと思って頂けましたら、お気に入り登録や評価を頂けると嬉しいです。

無料のスパチャの感覚で、カクヨム版共々よろしくお願い致します。↓


https://kakuyomu.jp/my/works/16817330650367913330

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