*Children*(旧)
初めまして猫田鳴子です。この場で爆誕いたしました。
なろうでは結構前に読む側だったのですが、本日執筆を始めてみようと思います。
……本当にはじめてなので、お手柔らかにお願いします。
一松模様の無限に続く床、そこに散らばるのは、どこか懐かしいものを模った人形だった。それには鼻が曲がるような腐敗臭が漂い、黒の液体がそこら中を染めている。まさに地獄絵図といえるかもしれない。そんな状態で、私は目覚めた。軽いめまいとともに、一瞬視界から変なものが映り込む。それが向かっていったところを見ても、何もなかった。むずむずとした感覚になりながら、立ち上がる。あたりを見回しても、人形……今だったら死体とも言える。目を背けたくなるくらい、酷い有様だった。
突如、地響きが起こる。私はその場でしりもちをつき、人形の上に乗ってしまった。
「うわあああ⁈」
驚いた猫の如く跳ね上がり、黒い液体がついていないかお尻の方を見る。偶然にもついていなかったようで、安心した。心臓がバクバク鳴り響くのを感じながら、ゆっくりと深呼吸する。
「ぐふぅ……突然乗られるなんて、この私がゆるさんぞ」
深呼吸をしたすぐ後に、乗った人形から小さく女児アニメに出てきそうなマスコットキャラクターのような声が聞こえた。またもや驚きが隠せない状態で、恐る恐る振りかえる。そこには私に似ている、とてもデフォルメされたぬいぐるみが人形の上にいた。ちょこんと座り、少し可愛らしく思える。
「……ぬいぐるみ?」
話しかけるように独り言を呟く。
「違う‼︎ 私はぬいぐるみではなく、この世界に墜落した『マスコットキャラクター』だ!」
その独り言にたいし、ぬいぐるみは間髪入れずに否定する。静寂を破る叫びのような訴えは、脳が震えるほどの声量だった。正直、現在進行形で気を失いそうである。
「オマエの為に特別に教えてやろう!」
さっきとはあまり変わらない声で、ぬいぐるみのようなものは一方的に説明をする。
「まず【我々】は別の世界で、人間を楽しませる&癒しを提供するために生まれてきた。要するに神だ! しかしどうだ、こんな死体だらけの臭く汚物まみれの世界に落ちて、それに加えオマエに乗られるというな!」 表情は変わらないまま、この世界に引くほど文句言われるという仕打ちである。確かにこちらにも非はあるが、かつて本当の家族として扱ってきた世界にも言われるのは正直腹が立ってきた。腐っても私たちがいたという思い出がある世界だからだ。
「……君がここに来て苦労したってのはよく分かったよ」 少々ため息交じりに返答する。
「なんだかやる気の無いような声に聞こえたが、まあいいだろう。この世界から脱出するぞ、【絢音】」
「はいはい……ってちょっと、なんで私の名前が⁈」
突然生意気なぬいぐるみに自分の名前を言われて、少々驚きとともに何なんだコイツという気持ちが出る。
「あー、本当にオマエのなまえだったのか! まあいつもこうだから人の名前は聞かないんだよ」
少々腹が立つ言い方で答える。これに加えどや顔だったら、こいつに原型をとどめないほどの拳の雨を降らすだろう。なんとか苛立ちを飲み込みながら、脱出の提案に肯定する。
「わかったよ、その代わりあんましゃべらないでよ」
その不自然なポーカーフェイスをにらみながら言う。表情を変えないはずのそいつは少し、にやりと笑っていたかもしれない。