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第一話 令嬢に連れられて魔法学園へ行こう!

はじめまして。

なんだか話の途中からみたいな書き出しになってしまいましたが第一話で間違いありませんよ。

「なんかさっきから女子しかみかけないな」


 大貴族のご令嬢アイレーシュに連れてこられたのは、やたらと広大な庭園みたいな敷地を持つ学園だった。まさに貴族や金持ちの子弟が通う学園を絵にかいたようなところだ。正門をくぐってから学舎までの距離がやべえ。

 よくに手入れされた芝生の間を抜けて通る道を連れ立って歩く途中、何度か制服姿の生徒たちとすれ違ったが全員女子だった。


「それはそうよ。だってここ、女子校だもの」


「は? なにそれどゆこと?なんで学校に入れるっていわれて女子校に連れてこられたわけ?」


 もちろん俺が実は女でしたなどという叙述トリックなどない。ゴリゴリのフィジカル派男子である。元の世界の地球の日本では総合格闘技に青春をささげた、得意技左ハイキック系男子である。寝技苦手系男子でもあるのでタックルは全力で切ります。


「それは~、私が面白いから?」


「ほう、どうやら死にたいようだな小娘」


「うそうそ、半分はウソだから魔王みたいなセリフはやめて。その拳をゴリゴリって鳴らすの、冗談ってわかってても怖いから女の子相手にむやみにやってはいけないやつよ。あなたの上背で見下ろしながらやると迫力が半端ないわ。ってか小娘って…… うぷぷ」


 なにか妙なツボにはいったらしい。怖いんじゃなかったのか。


「半分は本気かよ。スキあらばひとの人生で面白がる金持ちとかタチ悪すぎだろ。そのうち債務者集めてデスゲームやるやつじゃん」


「あはは、全部うそよ。私の家が貴族でお金持ちっていうのもうそだから」


「いやそこはホントだっただろ。ありえねえくらいデカい豪邸に俺も何度も出入りしたわ。ムチャクチャ豪華な食事いただいて、宿も貸してもらったわその節はありがとうな!」


 それどころかいきなり異世界に放り込まれて右も左もわからないまま必死にサバイバルしてた俺を拾ってくれた大恩まであるのだ。

 そのまま彼女に手引きされるまま、気がつけば魔術の学校に入学するって話になっていた。

 聞くところによると、異世界転移者の俺は強大な魔力を秘めているハズなんだとか。全然そんな実感ないけどね。

 とはいえ、まさか女子校とは。


「うむ、くるしうない。遠慮しないでいつでも好きなだけウチで飲み食いしてちょうだい。そのうちデスゲームで返してもらうから。企画会議から参加してもらうわね」


 やっぱりやんのかよデスゲーム。しかも自分がのたうち回るゲームのアイデア出しさせられるのかよ。


「つーかそもそも、そんなことまかり通んのか? 男が女子校に入学とか」


「そ~れ~は~、大貴族だけが持つという不思議な力のおかげ?」


 人差し指をくるくる躍らせながら楽しげに笑う。


「おもっくそカネと権力じゃねえか!」


 俺はかなり厄介なヤツに世話になってしまった気がしてきた。


「さてそれはおいといて」


 キリがないので仕切り直し。


「ええ、おいときましょう」


 この女いつもふざけてばかりいるが、こう言えばちゃんと切り替えてくれるのはありがたい。ってかそれがなきゃ面倒くさすぎて付き合ってられねえ。

 常にこの真面目モードでキリっとしてりゃあ、めちゃくちゃいい女なんだけどなあ。すげえ美人だし。

 アイレーシュ・レイクラフト。完璧な容姿と生まれを持ちながら残念なヤツだ。


「本当になんで女子校なんだ? まさかマジで100%面白がってるわけじゃないよな」


 『どうやって』はカネと権力だと分かったが『なぜ』の部分がまだだ。

 煙に巻くのはナシだと圧を込めて、ずいっと顔を寄せて聞く。


「あなたの魔術の師になるのにうってつけの教師がいるのよ。それが本当の理由。ちゃんとした理由でしょう? っていうか…… 顔が近いわ。もう……」


 アイレーシュは顔をそむけながら俺の顔をぐいっと押しのけた。


「おっとすまん。ちょっと威圧的過ぎたか」


 女の子相手に怖いのはナシと言われたばかりだったな。まあこいつは例外扱いでいいと思うけど。


「……そういう不意打ちは卑怯よ」


 顔をパタパタと手であおぎながら何かつぶやいたようだがよく聞こえない。


「なんか言ったか?」


「なんでもありません。さあ、いきましょ」


 アイレーシュは話を打ち切るように足を速めて俺の前を歩きだした。

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