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未来の勇者のその隣で魔王は笑う  作者: 考える人
序章 魔王の日常
1/31

終わりと最悪の始まり



 これは勇者と魔王が存在し、争い続ける世界。


 勇者は人族の代表として。

 魔王は魔族の代表として。


 互いに、その生を認めることができない二つの種族は、繁栄を、存在を、種族ぐるみですべてをかけて争う。


 勇者が死ねば、魔族の世界が繁栄した後、また新たな勇者が生まれ。

 魔王が死ねば、人族の世界が繁栄した後、また新たな魔王が生まれ。

 

 二つの知的生命体が、終わりのない争いに明け暮れていた。




 


 そしてここ魔王城では、今世代の勇者と魔王が雌雄を決していた。

 魔王城と呼ばれる場所は薄暗く、明かりは等間隔に立てられているろうそくの明かりのみ。

 不気味という言葉をそのまま形にしたような城である。


 その大広間にて、二人の争いは行われている。

 その動き、その技、その力。


 誰の目から見てもそれは、一般的な人間の到達できる領域をはるかに超えていた。

 

 人族の勇者はここにくるまで、仲間のすべてを失った。

 魔族の魔王は人族の抵抗により、多くの部下や子供を殺された。


 お互い恨む理由は十分であり、ただ争いあうことがすべて。

 正当性など、どこにもありはしない。



 そんな二人の戦いが、丸一日にもおよび決着がつく。

 結果は相打ちだった。


 勇者の剣が魔王の胸に深々と刺さり。

 魔王の腕が勇者の胸を貫いている。


 こうして、この時代の勇者と魔王、人族と魔族の争いは終わりを告げる。

 

 しかし、また新たな勇者と魔王は生まれ、混沌の時代は終わりを告げることなく継続する。


 それを予想してか否か、自分の実の親である魔王の死んだ姿を見て、次期魔王はただ静かに笑っていた。





 この物語は、人族を救おうとする勇者の話ではない。

 人々に尽くす聖女の話でもない。

 国を思う王子の話でもなければ、才能あふれる魔法使いの話でもない。


 自分勝手に生き、自分勝手な欲望のために、自分勝手な気まぐれのために、世界のすべてを巻き込む史上最悪の魔王。


 そんな魔王の物語。

 そしてその魔王によって巻き込まれていくすべての人族、魔族の物語。



愉悦部員見習いです。

愉悦を届けたい。

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