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冒険は休日に  作者: 鈴木 鈴
2/2

レベル1

前回の続きです、前回をまだご覧になっていない方は前回も一読お願いします

無言状態で歩くこと三十分、森とは真逆の方角、山のふもとほどまで来たとき視界に山の斜面に沿って階段のように段々になった村が現れた。一本のとても道幅が広い階段を中心として家が立ち並び、細い血管のように中心の階段から出てきた道に沿ってまた家が立ち並んでいるといった感じの作りになっている。村の大きさや家の数からしてそこまで人口の多い村ではなさそうだ。

 僕はそんな中でも少し広くなった段にある周りと比べるとひと回り大きい家へと招かれた。

「失礼します。ホノカ、ただいま戻りました」

玄関の扉を開けると目の前のはリビングルームといったところか暖炉がある落ち着いた空間が広がり、その左側のソファーに一人の中年男性が横たわっていた。

「おっ、ホノカちゃん、なんだい?彼氏ができたから報告に来たのかい。別に恋愛ぐらい許可なく自由にしてもらっても構わないのに」

「そそそそそそんなんじゃあああ……ひゃりゃませんよ!」

おじさんよ。そんなベタないじりは辞め給え。ホノカちゃん、いや、名前初めて聞いたんだけど……ホノカちゃんまで下手な反応しちゃってんじゃん。この空気を僕にどうしろって言うんですか。

「ぞくぞくしますね」

「…………」

「…………」

『拝啓 お母さま、お父様、僕を生んでくれてありがとうございます。ただ一つ謝らなければいけません、息子は自分の変なプライドのせいでここまで空気の読めない子供に育ってしまいました。この先が不安です』

 もうこの空気が固まってからギネス記録は軽く認定さるるんじゃないかと思えるほどに時間がたっている気がする。

「……ボケですよ。突っ込んでもらわないと少し、だいぶつらいんですけど」

「ははは、それは失敬。しかし、こうやって人が困っている姿は最高だね」

何かが切れた。絶対今体のどこかでプツッて音したよ。

「このクソ爺が!」

あーこれもーとまんねーだれかおれをとめてくれー

「そうか、そうだったのかお前がこの世界の魔王なんだな。ちょうどいい今すぐぼっこぼこにして地獄の果てまで引きずり落としてやる。人の不幸を楽しみやがって、絶対お前は悪魔だ!」

「炎よ、すべてを無に帰す炎の力よ、その力をもって淀みを払い給え」

そのとたん、おじさんと僕を炎が軽く焼いた。


「落ち着きましたか」

「はい、すいませんでした」

「はい、すいませんでした」

数秒前とはかなり立ち位置は一転構成しており、ホノカちゃんがソファー、おじさんと僕が床に正座をする形になっていた。あー、どうしてこーなった。

「じゃあ、まずは私から話させていただきます」

反論はありません!閣下!

「まずはとりあえずあなたの名前を聞こうかしら」

「ウィル・ターナーで……」

テメーじゃねーだろ爺!

「焔よ……」

さっきよりも気持ち強くなっている気がする焔がおじさんを焼いた。

「ギャーーーーー」

これは僕も下手なことは言えないな。おじさんが隣で悶え転がるさまを横目にしつつ質問に答える。

「キョウヤ…神門ミカドキョウヤです」

「じゃあキョウヤでいいですね」

「おじさん、そろそろ普通にしてください」

辛辣だ。おじさんに向けられた目も鋭く刺さりそうだ。あーそんな目で俺も…

「ホノカちゃんありがとーオジサンうれしいよ」

大変申し訳ないのだが、一審の都合上省略させていただく。


「ほぉ、そういった経緯が……」

案外、おじさんは話が始まると真面目であった。なぜ初めからこの空気が出せなかったのかは理解しがたいが、やるときはやる人なのであれば今後の僕についても相談ぐらいはできそうだ。

「ホノカくん、少し席を外してもらえるかな。少し彼と二人で話がしたい」

「わかりました」

「では、キョウヤさん村の西にある雑貨屋さんにいるので何かあったら来てください」

「うん」

「あと、そのおじさんはドMなので気を付けてください」

うん、薄々そんな気はしていたよ。でもね、残念ながら僕はMよりなんだ。ごめんよホノカちゃん。


ガチャン


ドアが閉まるのを確認したのち、おじさんが話を始める。どうやら慎重な話のようだ。

「君はどうやら外の世界から来たみたいだけど記憶はあるかい?」

少し意表を突かれる質問だ。二人だけでというくらいだからもう少し怖い感じの話だと予想したのだけれどそう言った話ではないらしい。こんな質問を初手でしてくるものだろうか?

「記憶はあります。家の近所の林ののかに入っていったら草原に隣接した森につながりました。そこからは彼女の言ったとおりです」

「それなら君は運がいいかもしれない。僕は別にそういったワープ的なことについて専門に研究とか行ったことは全くしていないから確かのことを言うことはできないんだけどね」

「別世界から来たことには驚かないんですね」

「いや、驚いているさ。でもここは魔法の世界だからやろうと思えばそういったこともできるのだろうし、なんせ君が初めてではないからね」

返す言葉が出てこない。ぱちぱちと暖炉の木が燃える音が広がる。残念ながら僕は今どきの鈍感系主人公とは違いだいぶ鋭いほうだ。この話の流れからして大方、おじさんが次に話し始めた時に出てくる人物は僕は知っている。

「だから席を外させた……」

「話が早くて助かるよ。ホノカくんも別の世界から来た人間だ」

「でも彼女は記憶がなかった。だから、帰る方法があっても帰れない」

「帰る方法があるんですか!」

この世界に来て早三時間、元に帰る方法が見つかるなんてTA(タイムアタック)レベルで最速ではなかろうか。本当にこんなんでいいのだろうかと疑いつつも話を聞いてみる。

「でも少し時間がかかるが最終的には確実だ」

「その方法は……」

「君が魔法を使えるようになることだ」

魔法って便利だなと思ったのは多分この時が初めてだった。

「詳しく説明すると、この世界では基本、妖精や魔族に力を借りることで魔法を使っている。もちろん、才能次第では借りなくても使えてしまうのだけれど、それはいくら才能があっても自分に返ってくるリスクはある。だから基本は力を借りることで魔法を使う。だからやろうと思えば少し手を加えてやるだけで君も魔法を使うことは可能だ。でもここからが問題になってきて……」


 余談などもしばし入ることとなりだいぶ長かったので話のまとめだけを言わせてもらうと、まずはこの世界の物を食べてこの世界の一員(的な感じのニュアンスだった)になること。いくら魔法で何でもできるからと言っても経験が足りないと自分の体が魔法に耐え切れないこと(これはわかりやすいところでレベルみたいなものだと思う)。ワープができるようになるまでに経験を上げなければいけないが故に時間がかかること。

 ざっくりとこんな話であった。

「この村では少し暮らしずらいと思うから、ここから南に向かった場所に大きな街がある。周りのモンスターもそこまで危険ではないし、生活用品や魔法を勉強するための道具なんかもよくそろっている。ホノカくんも同行させるから、君はその街へ向かいなさい」

「でも泊まる場所が……」

「それなら心配いらないよ。その街についたらこの人を探すんだ」

そうして一枚のメモ用紙をもらう。紙には日本語ではない文字で何か書かれていたが僕には読めなかった。でも、なんとなく人名なんだろうなとは分かった。あとでホノカちゃんに聞こう。

「そしたらこの紙を見せるんだ。そうすれば大抵のことはしてくれるさ」

「こんなことまでありがとうございます」

「いいんだ。僕はホノカくんを助けられなかったから」


 そんなこんなで僕は謎の魔法製薬(ポーション)を飲まされ、ゲームでいうところのレベル一となっり、魔法使いへの第一歩を踏み出し、街へ向かうこととなった。

「くれぐれも気を付けるんだよ。特に妖精さんの言うことはしっかり聞いておきなさい」

「わかりました」

何だかよくわからなかったが僕はおじさんの家を後にした。その時からか、僕の目には普段見えてなかった生き物たちが見え始めた。

「(これが妖精…か?)」

妙に自分の中に存在がすっと入ってきた。どうやら、もう魔法使いになり始めてしまったようだ。

 



やはり創作というのは似てくるのかなと思ってしまう。

自分で一から作り出すってのは無理なのかなと思います。

どうしても今までの経験からしか言葉を紡ぐことしかできないからね。

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