男子校舎
(今回のお話はフィーナの視点でお送りします)
私は今日、初めて学校の教師をやることになった。
私は人にものを教えること自体が初めて。
しかも男子相手に。
正直、学生時代、目立つ生徒じゃなかった。
初めて旦那に高校の卒業式で告白された。(実際は逆告白でしたが)
私は了承し初めてのデートで異世界に召喚された。
もう元の世界には戻れない。
私たちこの世界で生き残るために必死に頑張った。
結果、英雄としてこの世界に名を轟かすことになった。
そして今、伝説の勇者としてこの学校の教師となった。
この学校の男の子たちは好戦的だと聞いている。
私が教室のドアを開けると一斉にブーイングが鳴った。
「女に何が出来るんだ!!」
「女に何を教えることがあるんだ!!」
そういった声で糾弾された。
私はブーイングが鳴り止むのを待ってから
「これだから男の子は嫌いよ。
うちの旦那の方がよっぽど紳士的」
と嫌みを言った。
その途端、またブーイング。
本当、男の子って聞き分けがない。
私は
「じゃぁ、どうすれば良い?
どうしたら認めてくれる?
私の実力があなたたちに見合わないものだったら潔く担任を辞めるわ。どうしたら認めてくれるの?」
そうしたらその中で一番強そうな子が
「じゃぁ、とにかく俺たちが買ったらこの学校から去ってくれ。
いるだけで目障りなんだよ」
とすごんできた。
私は
「O.K. 、じゃぁどういった勝負にする?
って言っても私が生徒に手を出す訳にも行かないし。
そうだ鬼ごっこをしましょう。
クラスの誰でも良いから私を捕まえることが出来たら学校を辞めるわ。
これでいいでしょう」
とクラスのみんなを納得させた。
私には秘策があった。
絶対に捕まらないという秘策が。
それは超感覚という能力。
旦那は未だにこの能力が凄いことに気づいていない。
曲がりなりにも旦那と一緒に伝説の英雄となったのだからチート能力の一つや二つあっても良いと思う。
旦那は超絶なパワーとあらゆる格闘技の達人となった。
パワーは恐らくこの国の誰もが敵わないレベル。
何しろドラゴンをたった一発で倒した男だ。
かなり凄い。
そして格闘技のレベルは前世での世界でのあらゆる格闘技の達人レベルを取得しているとのこと。
かなり凄い。
旦那がパワー系なら私はスピード系。
それは私のチート能力が由来となっている。
私は視覚、聴覚、嗅覚が人よりもかなり優れている。
そのため普段は能力を眼鏡で封印している。
なぜ3つの感覚を眼鏡で封印できるのかというと眼鏡のレンズで視覚を鼻当てで嗅覚を先セルで頭角を封印しそれぞれ人並みのものとなっている。
(ちなみに先セルは眼鏡の部分で耳に書ける部分のことを言います)
封印していないとこの世界の裏側のものまで感じてしまうのです。
正直、生活が出来ないのです。
眼鏡を外すと生活が出来ないのはもう1つありますが。
正直、今のは大げさに言っています。
でも、意識をすればこの世界の裏側まで感じることが出来るのは本当です。
そして、もう1つ私のチート能力があります。
それは時間の流れを自由に変えることが出来ることです。
と言っても自分だけなのですが。
時間の流れを変えることが出来るというのはどういうことかと言いますと、私は脳の処理速度をいくらでも変えることが出来、1万分の1の世界とかを体感することが出来るのです。
眼鏡を外せばもっとゆっくりとした時間も体感できます。
体はその世界でも普通に動くので周りからはかなり速いスピードに映ると思います。
私はそのチート能力を使い鬼ごっこに挑みました。
鬼ごっこの時間は退屈で苦痛だった。
いくらパワーのある男の子でも私から見ればかなり遅い。
私が
「単独攻撃だけでなく連係攻撃も指摘なさいよ」
と指摘してもその退屈さは変わらない」
正直、優秀なクラスだと聞いていたのにこんなものかと呆れていた。
残り1分になった時、私は意地悪をした。
眼鏡を外したことだ。
私は眼鏡を外すと無敵モードになる。
私のスピードは人間の見える限界を超え残像だけが残る。
結果私の残像だけを彼らが追うことになり絶対に私を捕まえることが出来ない。
そして私はこのクラスの担任に認められた。
正直、こんな退屈な時間はもううんざりだ。
私は教卓を思いっきり叩いた。
そして教卓は粉砕された。
私はパワー系ではないが力はある。
ニュートンの公式でF=maというものがある。
「力=質量×加速度」という公式だ。
この公式は力はスピードに比例するというもの。
つまり、いくらでもスピードの出せる私にとっては力は無限なのだ。
(あくまでも攻撃力だけです、ものを持つ力は普通の女性よりもないと思います(笑))
正直、最後にこれが効いた。
これで私に意見する生徒がいなくなったから。
これで心置きなく授業が出来ると思った矢先、美少年が教室に入ってきた。
「あ〜、何てことをしてくれたんだ。
この教卓は一流の勇者でも壊れない設計にしてあるのに」
と美少年は叫んだ。
なるほど、クラスのみんなが引いていた意味がよく分かる。
よく見ると美少年は学園長だった。
学園長は
「全く夫婦揃って何てことをしてくれたんだ。
他にも力の示しようがあっただろ!!
旦那も貴重なものを壊すし。
君たち2人は1ヶ月間給料なしだからね」
私たち夫婦はこれから大変な教師生活になりそうだ。