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初告白

 高校3年の卒業式、僕は一世一代の決断をした。

好きだった女の子に告白をするのだ。

ここを卒業した後は滅多に会うことはないだろう。

告白は今日しかないのだ。


 高校最後のホームルームが終わり僕は彼女を最上階の視聴覚室に呼び出した。

視聴覚室にしたのは別に意味がない。

音楽室でも美術室でも良かった。

とにかく今日は最上階に誰もいない。

誰もいないところで告白すれば誰にも気づかれないし降られたとしても恥ずかしくはない。

そんな打算尽くで彼女に告白するのだ。

誰にも見られないのだから別に男らしく正々堂々と告白しなくても良い。

告白に成功すれば万々歳だ。


 と言っても彼女が最上階に来るかも分からない。

来なければ1時間でも2時間でもましてや夕方まで待つつもりだ。


 そんなこんなを考えながら10分ぐらい経った。

やっぱり来ないのかと諦めかけていたら彼女がやって来た。

しかも息を切らせながら

彼女は

「行くかどうか迷ったけどやっぱり後悔したくないから来ました。

あなたから告白される前に言います。

私はあなたを好きでした。

多分あなたより前から。

こんな私で良かったらつきあってください」


 驚いた。

僕がこれから言おうとしたことを先回りされるなんて。

ちょっと男らしくなかった僕は少し後悔した。

それにしても両思いだったとは知らなかった。


 次の日の日曜日、僕らの初デートだ。

僕は取ったばかりの免許を掴んで親に買ってもらったばかりの新車で彼女を迎えに行った。

さすがに僕が車で迎えに来ることは想定外のようで彼女は驚いていた。


 車に乗ってしばらくすると 

「今日の初デート、一体何処へ連れて行ってくれるのかしら」

と彼女は聞いてきた。

僕は

「近くに小高い山があって今日はそこへ連れて行こうと思うんだ。

そこの頂上の景色が綺麗で君にも見せたいから」

と僕は運転しながら答えた。


 実は僕もそこへ行くのは初めてだ。

カーナビに従い慎重に走って行った。


 しばらくすると山道に入った。

山道に入ってからは霧が出てきた。

そしてどんどん霧が深くなってきた。

彼女は

「ねぇ、ちょっと怖いわ」

と怯えていた。

僕もこんな深い霧は初めてだ。

山道は車1台がやっと通れる細い道。

さすがに僕も怖くなって車を降りて様子を見ようとした。

「!?」

あれ!!車が止まらない。

ブレーキを踏んでいるのだが全く効かない。

それどころかハンドルも言うことを効かない。

僕のそんな様子を見て彼女も焦りだした。

「ねぇ、どうしたの?

顔が真っ青だよ」

と彼女は聞いてきた。

僕は真っ青な顔で

「大丈夫だよって言いたいんだけど。

全然大丈夫じゃないんだ。

車が全然言うことを聞かなくて」

彼女は

「それってどういうこと?」

と聞いてくると

僕は

「さっきからブレーキがきかないんだ。

ていうか、ハンドルも効かない。

まるで誰かに車が操られているみたいに。

でも、大丈夫、僕がなんとかするから」

根拠なんてない。

どうにか彼女だけでも助けなければ。


 そんな恐怖の時間が小一時間続いた。

そしてしばらくすると車は勝手に止まった。

僕らは貯まらず車から降りた。

そこには何人かの人たちがいた。

そしてその人たちは僕らの目の前で一斉に土下座をした。

僕らが呆気にとられているとその中の1人が

「本当に申し訳ない。

我々は神様見習いのものです。

今日、神様の訓練をしておりましたところ事故が起きまして実際の世界に干渉してしまいました。

あなたたちを巻き込んですいませんでした」


 僕らは訳が分からない。

とにかく普通のことではない。

僕は

「よく事情が分かりませんが、でしたら元の世界に戻して下さい。

ここは僕らがいた世界じゃないんでしょう」

と聞いてみた。

そうすると別の人が出てきて

「それは出来ません。

何しろあなたたちは死んだことになっているのですから」

「!?」

僕らは驚いた。

とにかく意味が分からない。

その真意を聞いてみると

神様見習いの1人が

「ここの時間は非常に短い。

ここの時間の一瞬はあなたたちの世界の数年分になるのだから。

つまり元の世界ではあなたたちが失踪してから10年が経つことになります。

正確には山道での事故で死んでから10年が経つことになるのです。

だから元の世界に戻ることは出来ません」


 僕らはその事実を受け入れられないでいた。

とにかくその日は僕らは泣いた。

泣き明かした。

しばらくして落ち着いた頃、彼らは

「こうなったのは私たちの責任です。

あなたたちには来世も良い人生を歩んで欲しい。

サービスとして今の姿のまま、転生してあげましょう。

そうだ、不老不死もオプションとして差し上げます。

その他にどういったオプションが良いでしょうか?」


 僕たちはまず誰にも負けない頑丈な体を希望した。

そして、僕はあらゆる武術の知識を希望した。

そして彼女は超感覚というよく分からないものを希望していた。

もう1つ内緒で何かを言っていたようなでもよく聞き取れなかった。


 そして、僕らは転生した。

元の姿のまま。

場所は草原だろうか。

周りには誰もいない。


 でも僕らの周りには野獣がいた。

狼だろうか。

神様もとんでもないところへ転生してくれたものだ。

でも、僕らはチートな能力で一瞬で蹴散らした。

やっぱりチートは凄い。

でもこれからの人生、結構ハードなものになりそうだ。




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