【エッセイ】雨の名残
これからもっと雨が降ります、という予告ホームランを打たれている夜。
知らない男の後姿が、妙な色気とクズな排他的愛情を思い起こさせる。
最寄の駅で降り、ほろ酔いの私はいつものようにコンビニに向かう、
我が家の台所であり、倉庫であり、エトセトラ。
太るよな、こんな終電後のコンビニ、
と思いながら自分の食べたいものを選ぶ。
来世はね、男になるよ。
好きなもの食べて、飲んで、でぶって、でもステータスがあるから女は来るな、みたいな。
買い物を済ませて外に出たら、一人の男の後姿が目に入った。
安いアロハシャツを着た、恐らく20代前半の男のこ。
水商売でしょうね、女を「本気」で泣かせる後ろ姿に見えた。
自分の夢なり何なり、自分を中心で女はプラスアルファであるおまけ、
という男の背中に見えた。
。。。。
実際は専門学生で彼女と3年くらい付き合ってるのかも知らないが、
そんなことはどうだっていい。
その「たらし」な後ろ姿を見ながら、
私は今いかに「男」という生物に餓えているのかも悟った。
しかし面白いことはアート性だ。
万にひとつ、このロクデナシが振り向き、私に声をかけたとしよう、
そこから何が始まる?
なにも、始まらない。
自分の老いと健康の時差が見た目以上に生きていく土台を変えるのだ。、