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euqitnA

作者: 風月莢

―死神は死をもたらしているのか、死によばれているだけなのか。


金の髪が月明かりの下でふわりと揺れた。

淡く光を跳ね返す白い服。

彼は死神。

彼は、天使を描く人間が自分の容姿を称えることを知っている。

筋違いの勘違い。それとも、これも一種の詐欺か。


彼は「偉人」にも「賢者」にも興味がない。だから答を探し出す努力も必要ないし、そもそも答なんて無くても困らない。

どんな疑問も彼には関係ない。もとより「死神」と呼ばれている彼自身の存在が既に疑問だ。ならば目の前に広がる闇に満ちた海を、美しいと思考する方がいくらか有益な事だろう。



月夜の中。

金の髪に誘われてこちらを伺う少女がいる。



彼は死神。彼女は。



彼女は命を落とすだろう。生きているから。それだけだ。

彼女は命を落とすだろう。彼が望むと望まずにかかわらず。

―欲しくもない。

空虚な言葉だ。死神の彼。

選択肢は彼にもない。彼は死神。それだけだ。


時を止めて時を止めて


永遠の世迷いごと。彼女を生かそうと。


時を止めて時を止めて


何が変わるんだ。

そんなことで何が。


時を止めて時を止めて時を止めて

彼の祈りに似た何か。死神であることにどんな価値を持てば良い。



時を止めて始まりも終わりも無かったと。


消せない彼女の時を止めて。

彼は死神。彼女は愛しき生ける者。

そして何が救われる。


彼は死神。彼女は愛しき死せる者。


彼は死神。彼女は永久に生きる死者。


いずれ気付く時が来る。

もはや彼女に生死はない。


彼女に枯れない花束を。

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― 新着の感想 ―
[一言] おはようございます。そうか……死神だったのですね彼は^^人間が勝手に誘われる……というのも、個人的に面白いテーマでした。 一つ気になったのが冒頭の方にある、”答”です。”答え”ではないでし…
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