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聖女の魔力は万能です  作者: 橘由華
第四章
145/205

閑話03 激震(前編)

ブクマ&評価ありがとうございます!


いつもお読みいただき、ありがとうございます。

閑話ということで、本来であれば番外編の方に載せるべきお話なのですが、本日はお知らせしたいことがあるため、こちらで更新いたしました。

こちらのお話は後程、番外編の方へと移動させます。

また、ちょっと時間までに完成できなさそうなので、取り急ぎ前半だけの更新となります。

なるべく早めに後半も更新したいと思います。

申し訳ありません。


※「本編85話」の前辺りのお話です。

 このところ、王宮の人々は少し浮き足立っている。

 それというのも、いよいよ【聖女】が公の場に出ることが決まったからだ。


 現状、【聖女】と会える者は非常に限られている。

 彼女が働いている薬用植物研究所を除けば、接触できるのは騎士団や宮廷魔道師団の人間ばかり。

 貴族といえど、ほとんどの者は【聖女】と話せる機会が持てなかった。

 そんな中、開催される舞踏会。

【聖女】お披露目の場ということもあり、漸く機会が来たと貴族達が浮かれるのも無理はなかった。


 王宮中が騒めく中、宮廷魔道師団も例外ではなかった。

 仕事の合間の雑談にも、徐々に舞踏会の話題が出ることが増えてきた。

 配偶者や婚約者がいない者達は誰と共に会場入りするかを話したり、どんな衣装を着るかを話したり。


 もちろん、参加しない者もいる。

 アイラもその一人だ。

 様々な事情で、アイラは一連のお披露目会には参加しない。

 ただ、何となくクリスマス前のような空気だなと思いながら、アイラも雑談をする宮廷魔道師達を見たり、時には雑談に交ざったりしていた。


 そんな宮廷魔道師団に激震が走ったのは、師団長でもあるユーリの一言からだった。



「えっ? 師団長も参加されるんですか?」

「うん、出るよー。家の方から言われてさー」

「あー」

「セイが出るからって、皆張り切り過ぎだよねー」



 魔法以外のことには少しも興味を示さないユーリが社交の場に出席することはほとんどない。

 そのユーリが舞踏会には参加すると聞き、周り者達の間に驚きが広がる。

 しかし、出席する理由を聞けば納得できるものであった。

 他にもいる研究馬鹿達の中にも、ユーリと同じように家からの要請で今回の舞踏会には参加する者がいたからだ。


 魔物の討伐や魔法付与をしにセイが宮廷魔道師団に来る関係で、宮廷魔道師達は他の貴族よりもセイと接する機会が多い。

 そのため、それぞれの家は彼等に過剰な期待を掛けていた。

 そのことにうんざりしていたのは皆同じだったため、ユーリの言葉に頷く者も多かった。


 ただ、ユーリが舞踏会への参加を決めたのは他の理由もある。

 家からの要請だけであれば無視する気満々だった。

 けれども、今回は珍しいところからも参加要請が来たのだ。

 誰あろう、副師団長のエアハルトからである。



「あ、そうそう。今回はエアも出るみたいだよ」



 きゅるるんとした感じで放ったユーリの一言に、その場がシンと静まり返る。

 そして、一拍置いた後に、大音声が上がった。



「エア? エアって、副師団長!?」

「えっ!? 副師団長が参加!?」

「マジか!? ありえないだろ!!!!!」



 エアハルトが社交の場に姿を現すことは、ユーリの比ではないほど非常に珍しいことだった。

 何せ、エアハルトの社交の場へ持つ感情は、参加を面倒くさがるユーリよりも悪い。

 そのエアハルトが参加するというのだ。

 その場の話題が一瞬にして塗り替えられるのも無理はない。



「何を騒いでいる」



 ユーリの爆弾発言にざわつく部屋に落ち着いた声が響いた。

 噂をすれば影が射す。

 声の主はエアハルトだった。

 皆が一斉に声のした方に振り向けば、エアハルトの眉間に皺が寄った。



「あ、エア!」

「一体何の騒ぎだ」



 険しい表情のままエアハルトがユーリのもとへ向かえば、ユーリもまた出迎えるようにエアハルトに近付いた。

 機嫌が悪そうにも見えるエアハルトとは対照的に、ユーリは後ろ手を組みながら機嫌よく話し始める。



「今度の舞踏会の話をしてたんだよ。エアも参加するって言ってたよね?」

「あぁ、言ったが……」



 トップ二人の会話を固唾を呑んで聞いていた者達は、エアハルトが頷くと同時に再び大きくどよめいた。

 その周囲の反応を見て、エアハルトは先程まで何に対して騒いでいたのかを察し、溜息を吐いた。



「どうせやるなら、普通に夜会にすればいいのにさー。何で、舞踏会なんだろうね?」

「さあな」

「面倒だよね。もう、ステップなんて覚えてないよ」

「家に戻って、練習すればいいだろう」

「えー、面倒」



 何故、舞踏会なのか。

 それはもちろん、舞踏会が未婚の男女の出会いの場だからである。

 今は第三騎士団の団長アルベルトが一歩先に進んでいるが、この機会にあわよくばと考えている者達がこぞってお披露目の場を舞踏会とするよう推したのだ。


 分かっていてもエアハルトははぐらかしたが、ユーリは愚痴を言いたかっただけで、理由などどうでもいいことだったらしい。

 さらりと流し、今度は練習が面倒だと愚痴り始めた。



「なら、踊らなければいい。そうすれば覚えてなくても問題はない」

「そうもいかないんだよねー。一曲は踊って来いって煩くってさぁ」



 どこぞの薬用植物研究所の研究員と同じく、ユーリも宮廷魔道師団の隊舎と家を移動する時間を無駄だと思っている。

 そのため、宮廷魔道師団に入団したと同時に隊舎に移り住んでいた。

 そんなユーリがダンスの練習のために家に戻ることを良しとするはずがない。

 エアハルトの提案は即座に却下された。


 けれども、練習の必要性は認識しているらしい。

 いい考えが浮かんだのだろう。

 満面の笑みを浮かべ、くるりとエアハルトの方向いて口を開いた。



「別に家でやらなくても、ここでもいいよね」

「何?」

「ダンスの練習」



 にっこりと微笑むユーリに、エアハルトの眉間の皺がさらに深まった。


前書きにも書きましたが、お知らせが二つあります。


一つ目。

TVアニメ「聖女の魔力は万能です」第3回キャスト生配信番組が本日(6/27)の18時から配信されます!

セイ役の石川由依さんと、団長さん役の櫻井孝宏さん、音楽プロデューサーの結城アイラさんが出演されます。

ご興味のある方は下記のサイトでご覧ください。


・TVアニメ「聖女の魔力は万能です」キャスト生配信番組

 https://youtu.be/L9UOdYU-CTo


・アニメ公式Twitter

 https://twitter.com/seijyonoanime



二つ目。

開催が延期されておりました、植物園とのコラボが先日(6/22)より開始いたしました!

園内にはアニメの場面写真やキャラクターパネルが展示されているようです。

また、全問正解すると先着でハーブの種がいただけるクイズラリーも開催されているそうです。(クイズラリーへの参加は無料とのこと)

ご興味のある方は是非訪れていただければと思います。


・「聖女の魔力は万能です」アニメ公式サイト NEWS

 https://seijyonomaryoku.jp/news.php


場所は渋谷区ふれあい植物センターとなります。

入場料や開演時間、場所などの詳細は公式サイトをご覧ください。


・渋谷区ふれあい植物センター公式サイト

 https://www.botanical-fureai.com/


よろしくお願いいたします!


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「聖女の魔力は万能です」のコミック10巻が1/17に発売されます!
ご興味のある方は、お手に取っていただけると幸いです。

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