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Happy Wedding 2

「あ! DELUGEのバネッサ・グリーンだ。挨拶してこよう」


花から花へと飛び移るミツバチのようにダニーはその場を去った。


「ねえ、いい人でしょ? ダニーって」


ラルフがうれしそうに言った。


「いや、僕は信用できないね。まさかカッコーじゃないだろな」


「カッコー? なにそれ?」


「僕たちの子供だと偽って自分の精子を使って種を保存する」


「意味わかんないわ」


「僕たちに自分の子供を育てさせるカッコーみたいな男じゃないかってことだよ。他の野鳥の巣に自分の卵を産み落としてそれをまんまと育てさせるカッコーの托卵たくらんみたいなことするんじゃないだろな、かなり腹黒そうだし」


「あはは、おもしろーい。エヴァンって物知りね。でも軽そうだけど医者としてはプロフェッショナルよ、ダニーは」


「いくら医者としてプロフェッショナルでも人としてサイテーなヤツかもしれないさ」


「エヴァンはダニーが嫌いなの? ダニーはたぶんエヴァンのことが好きよ。だから今日のパーティーにも来たんだと思うわ。彼って友達いないの。ああ見えてさみしがりやなの。仲良くしてあげて」


いくらダニーに好意を持たれたってTOPとTOPじゃどうしようもないじゃないか、まるでフェンシングの試合じゃないか、と心の中でつぶやいたエヴァンだった。でも愛するラルフに頼まれたらイヤとは言えない心優しき男でもあった。


さていよいよブーケトスの時間になった。

ラルフがゲストに背を向けて、手にしたブーケをポーンと投げた。

ブーケは青空をバックに高く高く飛んで、待ち受けるバネッサが広げたその手の中に収まる直前で……

なんと長身のダニーがキャッチしてしまった。パーティー会場は何とも言えない気まずい空気に包まれた。


「ごめん、つい条件反射で。身に降りかかる火の粉と災難は全力で振り払うけど、自ら飛び込んでくるイケメンとブーケはキャッチするでしょ? 普通」


さすがにダニーも焦ってバネッサに言い訳した。


「もうやだぁー」


泣き出しそうなバネッサをハグしながらアーロンが笑った。


「大丈夫、次は僕たちの番だから」


アーロンはバネッサのおでこにキスをした。


気まずく若干しらけた会場の雰囲気もその後に登場したバケツプディングによって再び盛り上がった。

ともあれエヴァンとラルフは晴れて法的にもパートナーとなった。


エヴァンとラルフ、バネッサとアーロン、そしてブーケをキャッチしてしまったお騒がせ男のダニー・トンプソン。

なんだかこれからも腐れ縁になりそうな予感が……    END 




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