表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
someday  作者: smartant
2/4

can the PUNK

首の辺りがチクチクと痒かった。カンが汚れたTシャツを脱ぐと細身ながらも胸には隆々とした固いしなやかな筋肉がつき腕にはタトゥーが彫ってあった。カンはタトゥーを誇らしげに撫でると痒みの原因を取り除くため首から肩にかけて右手で何度もぬぐった。細く短い髪の毛がパラパラと落ち、Tシャツを再度着用した。今朝電動バリカンで作り上げたソフトモヒカンを愛しそうに触った。

カンは昨晩、路上で中国人の若い女と出会った。音楽や最新の流行について話し込んでいると、泊まる所がないなら家に来なと言われ、カンはその女と二回セックスをし、つまらない映画を見ながらパイナップルとピーナッツを食べたりした。二回目のセックスで女がようやくエクスタシーを迎えカンは嬉しくなった。朝の8時ごろにカンが目覚めたとき、女はまだ眠っていたので、タバコを吸いシリアルに牛乳をいれ食べた。そのあとカンは髪をやっつけようと思いつき、バッグからバリカンを取りだしバスルームで一定の振動と機械音を感じながら髪をバシバシ切っていると女が起きて、ちょっとアンタ私のバスルームはいつから動物小屋になったの?とカンを叱り新聞紙をひかせた。カンが作品を完成させると同時に女が来て「シリアル…勝手に食べたでしょ?」と聞いてきたので、あんまり旨くなかったなと答えると、半裸のカンとボロボロなギターとか服やら何やらを部屋から笑顔で女が放り出した。カンはなんて非常識なんだ!と抗議したがそれは実らなかった。扉は閉められた。ふてくされていると隣人がニヤニヤしながら扉の隙間からカンを眺めていたのでそこらに転がっていたミニカーを投げつけるとまた扉が閉まった。カンは立ち上がりほこりをはらい歩き出した。どこへ行くかなんて知らないけど歩かないわけにはいかなかった。


カンはここ一ヶ月ほど根無し草生活を送っていた。知り合った女や下らないバンドの家、または庭で目をさまし、ハムや野菜どころかソースすら付いてるのか分からないサンドイッチを食べ、ギターやポルノ雑誌で小銭を稼ぎ、ひっきりなしにマリファナを吸い、夜にはバンドのライブを見た。それがカンの生活だった。しかしカンは楽しんでいた。世間の一部で機能する自分を心の底から楽しんでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ