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白い君


 朝食を食べ終え、食器を洗いに行く。この日常の作業には本当に慣れてしまった。日常過ぎるな、程度に僕は行動する。

 ……これが普通だからしょうがないか。

 食器を洗い終えてから、僕は歯を磨きに洗面所へ向かう。歯を磨き終えたら湖の所へ絵を描きに行こうかと思い、僕の好きな風景画が描けると思うと、とても気分が高揚した。

 ……早く湖へ行こう。今日はいいことがありそうだ。

 歯を磨いた後、軽く身支度をしてから僕はアトリエに向かってイーゼルと画板、紙を取りに向かった。

 用意をし終えたら、僕は靴を履いて家を出る。

 爽やかな風が体を包み、その心地よさに僕は笑みを溢す。こんなにも外は気持ちいい。絵の道を貫くといった生活を送ろうとしているインドアな僕は引きこもり予備軍かもしれない。肥満体にはならないようにしよう。

 そう暢気(のんき)な思考のまま道を歩き、道中(どうちゅう)人から声を掛けられる。

「お早う、フラン君。今から湖に向かうの?」

「はい。湖の風景を描こうかと思って」

「フラン君はあの湖が好きだもんね。私、フラン君の描く絵が大好きだから、毎回楽しみにしてるよ。じゃあ、頑張って」

 女性はくしゃりと砕けた笑みを浮かべ、去っていった。

 温かい人達の居るこの街はとても居心地がいい。僕は口角を上げ、嬉しさを隠しもせず、湖の方へ向かった。

 湖の方へ着き、僕はイーゼルを立てて、紙を乗せた。

 鉛筆を持ち、紙に鉛筆を走らせる。

 光に反射してきらきらと光る水面は美しく、吸い込まれてしまいそうだ。水面下に何か潜んでいるのかもしれない。今度釣りでもしてみよう。

「とても綺麗ですね。ここの湖好き何ですか?」

 鈴を転がしたような、美しい女性の声が聞こえてきた。

 誰か居るのかと思い、キョロキョロと辺りを見渡す。人影は居ない。まさか幻聴を聞くとは思わなかった。

「ここですよ、ここ」

「え? ……猫?」

 下を見ると、毛並が綺麗な金色の瞳を持つ美しい猫が居た。動きは羽のように軽く、まるで踊っている様。まさか、この猫が喋るとは、ね。

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