Act1・ ルーン魔術
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「俺の使う魔術が知りたい?」
「うん」
買い物を済ませ、お昼時。
露店で売っていたバーガー(フィリスの奢り)を近くの公園のベンチに座って食べていると、隣に座ったフィリスがそう訊いてきた。
「どういった物かなら教えられるが……どうしてだ?」
「ちょっと、ていうかかなり気になってたんだ。やってる事はこの大陸の魔法と同じなのに、効果が出てくるスピードがまるで違うから」
「因みに俺の魔術とこの大陸の魔法、どっちが速い?」
「クレンの魔術。圧倒的な差で」
「マジか」
とすると、どんだけ遅いんだろうか、この世界の魔法。
逆に気になる。
「この大陸の魔法ってのが気になるが、それは後にして。ルーン魔術についてだったか」
「うん」
「んじゃ、まずはルーン魔術の概要からか話すとしますか――」
そして、午後の陽射しが注ぐ公園で俺のルーン魔術講義が始まった。
「ルーン魔術ってのは基本的に石や木の板とかにルーン文字と呼ばれる古い文字を彫って使われる魔術だ。
ルーン文字ってのは、一文字に意味が二つ三つある複雑なもので、その意味を正しく覚えておかないとルーン魔術は成立しない」
「意味が一文字に複数あるの?」
「あぁ。例えば――」
俺はズボンのポケットを探り、一つのルーンをフィリスに見せる。
「これはhagelと言うルーンだ。この一文字に込められた意味は、雹、嵐、地震、雷雨だ」
「……何か、えげつない意味ばかりだね」
「まぁ、一番派手で威力の高いルーンだしな。さて、続いてだが。ルーン魔術はどの様に発動するのか何だが……」
「何だが?」
「ぶっちゃけ、イメージとルーンに魔力込めるだけ」
「うわ、単純」
「確かに言うと単純なんだが、さっきも言った通り、ルーン魔術はルーン文字一つ一つに込められた複数の意味を理解していないと成立しない。
魔術を行使する際、使用するルーンの意味と魔術師のイメージが合致しないと発動しないんだ」
「つまり、この前使った水を出すルーンを使うのに、火のイメージだと発動しないんだ」
「その通り。まぁ、後は魔力の込める量なんだが、こっちは威力や効果範囲に必要な物だ」
俺がそう言うと、フィリスは人差し指を顎に当て、首を傾げながら質問してきた。
「じゃあ、一つのルーンに大量の魔力を込めれば込める程、強力になるって事?」
「まぁ、そこはルーンを刻む触媒にも依るな」
俺は指でルーンを弄くりながら話しを続ける。
「俺が普段携帯しているこの石の触媒だと、全力で魔力を込めても精々、この公園からギルド迄を焼き払うのが限界だな」
因みに、公園からギルドまでの距離は目測で大体1.5km位。
俺の答えにフィリスはポカンと口を開けて、呆けた声を出した。
「いや、十分過ぎる火力でしょ……」
「そうか?」
俺がこの世界に来る前やってた戦争なんか、そのレベルの魔術ポンポン出してたぞ。
酷かった時なんか一日で市街地丸々一つ地図から消え去ったし。
あの時は流石に死ぬかと思った。
爆発音と銃声入り乱れてる中に、高水圧のウォーターカッターやら大通りを横断できる位の鎌鼬が飛んでくるわで、生きた心地がしなかった。
「クレン?顔色悪いけど……」
「あ、あぁ、ちょっと昔の事を思い出してな。大丈夫だ」
フィリスが心配そうな表情で顔を覗き込んできたので、慌てて返事をする。
「とりあえず、俺が扱う魔術についてはこん位が話せる限界だな」
「なんて言うか、凄いとしか言いようが無いね……」
「まぁ、魔術なんてそんな物さ……さてと」
俺はバーガーの最後の一口を食べきって立ち上がる。
「腹も膨れた事だし、街案内の続きと行きたいんだが」
「あ、そうだね!話に聞き入ってて忘れてたよ」
「いや、忘れるなよ……」
慌てた様子で立ち上がるフィリスを見て、苦笑いをしてしまう。
俺の表情に気付いたフィリスが「あ、あはは~…」と恥ずかしそうに笑う。
「さ、さぁ、街案内の続きへ行こ~!」
「いや、誤魔化せてないから」
唐突にテンションを上げるフィリスを見て、面白い娘だなぁと思いつつ、俺達は公園を出た。