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Act2・力試し

「クレン様、一つお願いがあります」


「はい?」


お茶会は続き、だいたい二十分位たった頃、優雅に紅茶を飲んでいたミュラ王女が真剣な表情でそういってきた。

俺もカップを円卓に置いて改めてミュラ王女を見る。


なんと言うか、雰囲気がキッチリしている人だ。

軽くカールさせた淡い金髪がそよ風に流され、ライトグリーンのドレスに良く映える。

間違いなく、美人と称される人だな。

そんな人が俺に何のお願いだろうか?


「近衛騎士団の方と手合わせをしてもらいたいのです」


「……はい?」


王女の口から出た突拍子もないお願いに俺は思わず聞き返す。気のせいじゃなきゃ今、近衛騎士団の方と手合わせって……


「ですから、我が国の近衛騎士団と手合わせをお願いしたいのです」


……どうやら聞き間違いではないようだ。

まわりを良く見れば残りの王女二人は呆れたような、それでいて納得もしている複雑な表情を浮かべていた。

フィリスは事の凄さがよくわかっていないのか、「手合わせ?クレンなら余裕でしょ」とか軽く言ってる。少しは止めようぜ、パートナー…


「えー、と。理由をお聞きしても?」


「最近、というかかなり前からなのですけど。騎士団全体が不真面目…いえ、はっきりいってだらけきってしまっているのです。アークエネミーを討伐した実力者たるクレン様に喝をいれていただければと思ったので」


おおう、意外と真面目な理由だな。

つってもなぁ…


「流石に複数対一は難しいですよ?」


「受けてもらえるのですか?」


「まあ、体を鈍らせないよう運動するのもありかと」


「つい先日危ない人と戦闘したばっかりなのに?」


「俺は突っ立ってファルメを守ってただけだぜ?碌に動いてないんだ。あんなんじゃ身体動かした事にはなんないさ」


フィリスの疑問に苦笑混じりにそう答えてからミュラ王女に向き直る。


「んで、何時やるんですか?」


「今からです」


「「「「…は?」」」」


語尾にキリッとか付きそうな位真面目な表情で言われた一言に俺達は空いた口が塞がらなかった。










……で。


「どうしてコウナッタ…」


今、俺は城内の調練場にある模擬戦用の石畳でできた舞台の上に立っている。

まわりには近衛騎士団の方々と王女三姉妹にフィリス。

目の前には近衛騎士団長、『リブルム・レフシーア』が木剣とミドルシールドを構えて立っている。

どうみても御前試合ですね本当にありがとうございました。


「って、そうじゃねえだろ!?何でこんな淡々と手合わせの準備完了してんだよ!?」


おい誰だキン○クリ○ゾン使ったやつは。

今すぐ攻撃系ルーンを全て叩き込んでやる。

…とりあえずここに至る経緯を思い返そう。


『ミュラ王女に近衛騎士団の連中との手合わせを頼まれる』

『ミュラ王女に連れられ調練場に到着。王女が近衛騎士団長に手合わせの申請と言う名の煽りを行う』

『挑発にのった騎士団長が勝手に舞台を整え、戦闘準備万端』


……うん。


「俺の意志が一つも介在してねえじゃん!?」


頭を抱えて天を仰ぐ。

スゴくトントン拍子に進むもんだから拒否るタイミング完全に逃してたっ!

「さっきからごちゃごちゃと……ミュラ王女様が相当強い者だと言っていたから期待したものの、頭は弱いようだな」


「……はあ、そりゃどうも」


いかにも見下してますよ~な雰囲気でそう言ってくるリブルムに適当に返す。

こういった手合いは適当に流すに限るぜ、全く。

俺は手にした木剣をクルクルと回しながらリブルムを観察する。

燃えるような赤色の髪に切れ長の目。正直こいつモテるだろ、畜生め。

体格は細マッチョっていうのか、あまりゴツくない。

まあ見た感じそれなりには戦い慣れしているんだろう。

こりゃ少しは期待できるかな。


「試合形式は魔法不使用の近接戦闘。相手の急所に寸止めを行った方を勝ちとする。双方、それで宜しいですね?」


審判役の兵士がルールを説明したのでそれに黙って頷く。

審判が手を真っ直ぐ上に伸ばす。

場に沈黙が満ち、緊張感した空気を醸し出す。


さて、と。


「では、始めっ!!」


審判が手を降り下ろし、御前試合が始まる。


どうなるかねぇ…。

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