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Act2・褒賞は馬車と馬

「早速だが。アークエネミー、ルナヴォルフの討滅について褒賞をだそうと思う」


アークエネミー、ルナヴォルフ。あの無駄にデカイ狼の名前か。まあ、天災と同等に扱われるような存在だったのは確かだな。

倒すの面倒だったし。

さて、褒賞って言ってるが何が出るのだろう。爵位とか、無駄に多い金銭とかは全く要らないんだが。


「…クレン、フィリス・レティナ。そなたらの欲する物を言ってみよ」


………………………。


「「「はぁ!?」」」


宰臣達と俺とフィリスの叫びが一つになってこだまする。

何いきなり言ってんだこの王様は!?

普通、そういうのは王族側が勝手に決めるもんだろ、というか宰臣達も驚いてるって事はこれは国王の独断……?


「お言葉ですが国王様、この者達には爵位と土地を与えるという話だった筈では…」


宰臣の一人が玉座に座る国王にそう進言する。

うわ、爵位と土地とか全く要らねえ。


「よく言うではないか。聞くだけならタダとな」



困惑する宰臣に向かってそう国王は嘯くと、ゆっくりとこちらへ視線を向けた。

その目を見て何となく察しがついた。

……試してんのか、俺を。


「改めて聞こう、そなたらは何を望む?地位か、金か、土地か、女か。何でも言うがよい」


国王の言葉に俺は小さく息を吐いて答えた。


「では、馬車とそれを牽引する馬を所望します」

俺のその言葉に再び場がシンと静まる。

というか背後にいるフィリスからも驚いたような雰囲気を感じるんだが。


「く、くくっ、そうか。馬車と馬を欲するか!地位も金も要らないと?正直に申すがよい」


「…ではお言葉に甘えて。正直、そんな物は不要です。国王様、私達は旅をしているのです。地位や土地といったモノに縛られたくはないのです。金銭に至っては自分達で稼いでいますので、大金があってももて余すだけですので不要です。

だからこそ、旅の脚として使える馬車と馬を所望します」


よし、言い訳完了。明らかに不敬罪で首飛んでもおかしくない位言い訳だが、まあ何とかなるだろう。

いざとなったら、ごり押しで脱出できるし。

そんな事を考えながら国王の顔をチラリと見ると安心したような笑みを浮かべていた。


「そうか…、ならば最良の馬車と馬を用意しよう」


「謹んで頂戴します」


はあぁ……何とか首は飛ばずに済んだようだ。宰臣達は納得がいかないって顔してるが、何も言ってはこない。

王の決定だから渋々って感じだな。


「さて……クレンよ。私はそなたに訊ねたい事が一つある」


咳払い一つした後にそんな事を言った国王に俺は内心首を傾げた。訊きたい事?心当たりが有りすぎて全くわからん。


「お答えできるものでしたら」


「では……率直に訊こう、そなたは『稀人』ではないか?」


「稀人……ですか?」


国王が言った言葉に思わず問い返してしまう。

後ろでフィリスが息を呑む音が聞こえた。

俺がその『稀人』についてよくわかっていない事に気付いたのか、国王は玉座に深く座り直すと口を開いた。


「稀人…簡単に言ってしまえば異界よりこの世界に来る存在の事だ。心当たりはあるか?」


「…えぇ、大有りです」


国王の説明に俺は目を見開いて驚きながらもそう答えた。



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