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Act1・翌日・頼み事?

俺が何か色々とやらかしちゃった日の翌日。


「さて、これより裁判を始める」


俺ことクレンはギルドのホールでむさい野郎共に囲まれ、正座させられています。

理由?察しろ。


あれだよ、うん。木造の部屋に防音なんてあるわけないよね。

つまりだ。お隣さんに筒抜けだったと言うことだ。


んで、微妙な雰囲気でフィリスと朝飯食べて、フィリスが出掛けた後こうなったワケだ。


「で、判決は?」


「「「「死刑」」」」


即答かよ…。というか死刑じゃなくて私刑だろ。


「安心しろ、辞世の句ぐらいは言わせてやるから」


「って、リンドのオッサンまで居んのかよ!?」


ここに来てまさかのボス登場……マズイな、ここは至高にして最高の一手を打つしかない。


俺は懐に手を忍ばせ指先で目的の物を取る。


「……クレン、遺言はなんだ」


ギルドメンバーの一人が妙に重々しい声でそう聞いてきたので俺は鼻で笑う。


「フッ、遺言も何も、死ぬ気も殺される気もないんでね!」


そう言い放ち、俺は懐から取り出した物を床に叩きつける。

それが床に落ちた瞬間、カチッという音の後に閃光が炸裂した。


「「「「ぎゃあぁぁ!目が、目があぁぁ!」」」」



男達が色々と引っかかりそうな台詞を吐いている隙に囲いを一足跳びで

抜ける。

ちょっとテンションが上がってきたので捨て台詞を一つ。


「ハハハ、見たか!これが我が逃走経路なり!!」


まあ、見る以前に閃光手榴弾で視覚が麻痺してるから見るも何も無いんだが。

俺はドアを勢い良く開け外に出る。


行き先は一つ。街の南側居住区だ。









今日はアークエネミーの被害が大きかった南側居住区に色々と手伝いに来た。

被害が大きいと言っても建物の幾つかが倒壊、或いは破損しただけで、人が生き埋めになってたり、死んだりは無かった。



「んじゃ、使えそうなの掘り出すわ」


俺は現場指揮を執っている地区長にそう言って外壁沿いに、崩れた建物へと歩みを進めた。


「待ってくれ、掘り出すってどうやってやるんだ?瓦礫だらけなんだぞ」


「あぁ、そこらへんは問題ない。何とかすっから」


振り向かずに地区長にそう答えると俺は手近な、二階部分の壁が崩れた建物に近付く。


そして、膝をついて、魔力を込めながら指先で地面にルーンを描く。


「Nyd(必要)――この手に、破損なき物を」


条件設定を行なってルーンを発動する。

Nyd(ニィド)―『必要』を意味するルーン。主に探し物をしたりするときに使う非戦闘ルーン。

ルーンの発動と同時に、家屋の中から淡い緑の光が輝き、一瞬後には大きな破損が無い、箪笥や包丁等の家具が俺の前に並んだ。


「ん、まあこんな物か」


俺が一言呟くと、後ろから感嘆の声が聞こえたので振り向くと、五、六

人のガタイの良いオッサン達が驚いた表情でこっちを見ていた。


「おい、兄ちゃん。さっきのは魔法か?」


「あ~…まあそんなモンだ」


オッサンの一人がそう聞いてきたので適当にはぐらかす。

一々、魔術だって言うのも面倒だし。

俺の答えを聞いたオッサンは何故かよしっ!とか言ってガッツポーズをすると、俺に近寄ってきた。―って近!


「兄ちゃん、頼みがあるんだが!」


「近い、むさい、声が大きい!取り敢えず話は聴くから離れてくれ」


「おお、すまん」


一言謝るとオッサンは二、三歩離れた。

俺は溜め息を吐いてからオッサンを見た。


「んで?頼みたい事ってなんだ」


「ズバリ、外壁の強化だ」


「……何故?」



物探しの魔術使っただけで、どうやってその回答に行き着いたのか小一時間問い詰めたいんだが。


「出来ないか?」


「あぁ、まぁ…出来ないことは無い、が」


その実、オッサンに言われるまでも無く勝手にやろうかと思っていた事だし。

俺が頭を掻きながら答えるとオッサンは喜色満面の笑み(物凄くむさい)を浮かべた。


「おお、助かる!」


「つか、何で俺に頼んだんだ?普通こういうのはお国の魔術…魔法使いが来てやるんじゃないか?」



「まあ何時もならそうなんだが…どうにも向こうも忙しいらしくてな。外壁修復要員が来るのに三週間かかるらしい」


「成る程な。三週間も外壁の状態が悪い状態じゃ、魔物が襲ってきた場合マズイ。か」


「そういうこった、念には念を。備えておいて損は無いだろ?」


オッサンの言葉に俺は溜め息で返す。

外壁の一部と言ったが、それだけでも随分な大きさだ。

魔力回路の点検、壁自体の耐久力の点検から始まり、補強なり何なりをしないといけないのだ。


「わかったよ、んじゃ早速やってくるから、地区長に言っておいてくれ」



俺はそう告げると街の中央広場へ足を向けた。

そんな俺をオッサンが呼び止める。


「おい、そっちは中央広場だぞ?南門は反対だが」



「良いんだよ、こっちの方がやり易い」


俺がそう答えると、オッサンは要領を得ない返答に首を傾げた。



さて、やると言ったからには本格的にしようか。

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