25
自然公園には、いくつかの街灯があった。
その街灯は、ぼんやりとベンチや道を照らすがあまり明るくない。
ベンチのそば、街灯に照らされた俺と弥生は向き合っていた。
俺の目の前では、弥生がピンク色のウサギのぬいぐるみを抱きかかえていた。
その顔は泣き出しそうで小さな体は震えていた。
「弥生……」
「勇太は、なぜ私に優しくしてくれるの?何もない私に……」
「それは、俺が……」
次の瞬間、俺は顔を強張らせて大きく深呼吸。
俺は覚悟を決めた。
「弥生が大好きだ、大好きだ、大好きだ!何度言っても伝わらないかもしれないけれど……大好きだ!」
小さな弥生の肩をつかんで、俺は想いをはっきり叫んだ。
俺はちゃんとした声で、弥生に聞こえる声ではっきりとそう言った。
弥生は俺の声に反応して顔を上げた。
その目は、何かを求めているような目だった。
俺はそんな弥生の気持ちが分からない、だけど弥生を何とかしたい。
「何もないよ、私……魅力的じゃないし、おしゃべりもうまくない、友達も少ないし、勉強だって得意じゃないし、運動も苦手……」
「俺の中だと最初は、弥生は違っていた」
「勇太?」
「始めは可哀そうで見ていた、俺が何とかしたいと思っていた。
でも、違うんだ。弥生といると、俺の心が和む、安心できる、俺はいつしか弥生を求めていた。
だから俺は、素直に今は言える」
「私を求める?この私を」
「そうだよ、弥生。大好きだ!」
俺の言葉に、弥生の顔が少し明るくなった。
それと同時に、弥生は目から涙がこぼれていた。
「な、なんで、そんなこと言うの……私は恋をしちゃ……いけない……」
「そんなことない、恋をしちゃいけない人なんていないんだ。
一度も恋をしたことがない俺が好きになったように、弥生だって俺を好きになっていいんだ。ダメか?」
俺は、泣いている弥生を抱きかかえた。
小さい弥生は、小動物の様にいとおしい。
「勇太……」
「俺は、初めて人をこんなにも好きになった。
姫子は俺が弥生のことが好きだってことに、無意識で好きになっていたことに、気づかせてくれた。
俺だって恋ができたんだ、弥生だって恋ができるんだよ。だから……」
「勇太……うん」
弥生はまだ泣いていたけれど、嬉しそうな顔を見せた。
俺もそんな弥生の顔を見てはにかんでいた。
「ようやく、解放されたな。過去の恋に……」
「今まで、勇太の前だと素直になれなかった。
でも勇太はずっと優しくて、私のことを想ってくれて、愛してくれたから」
「弥生……」
俺は、そのまま弥生のことを抱きしめていた。
弥生も、俺に抱き寄せられて自然と笑顔がはじけた。
「勇太、ありがとう。勇太の気持ちが伝わったよ。
私も勇太が好きだよ、とっても優しいから。あの人と一緒」
そんな弥生は、初めて俺に笑顔を見せてくれた。




