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YAYOI(上)  作者: 葉月 優奈
三話:初夏の思い出
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自然公園には、いくつかの街灯があった。

その街灯は、ぼんやりとベンチや道を照らすがあまり明るくない。

ベンチのそば、街灯に照らされた俺と弥生は向き合っていた。


俺の目の前では、弥生がピンク色のウサギのぬいぐるみを抱きかかえていた。

その顔は泣き出しそうで小さな体は震えていた。


「弥生……」

「勇太は、なぜ私に優しくしてくれるの?何もない私に……」

「それは、俺が……」


次の瞬間、俺は顔を強張らせて大きく深呼吸。

俺は覚悟を決めた。


「弥生が大好きだ、大好きだ、大好きだ!何度言っても伝わらないかもしれないけれど……大好きだ!」

小さな弥生の肩をつかんで、俺は想いをはっきり叫んだ。


俺はちゃんとした声で、弥生に聞こえる声ではっきりとそう言った。

弥生は俺の声に反応して顔を上げた。

その目は、何かを求めているような目だった。

俺はそんな弥生の気持ちが分からない、だけど弥生を何とかしたい。


「何もないよ、私……魅力的じゃないし、おしゃべりもうまくない、友達も少ないし、勉強だって得意じゃないし、運動も苦手……」

「俺の中だと最初は、弥生は違っていた」

「勇太?」

「始めは可哀そうで見ていた、俺が何とかしたいと思っていた。

でも、違うんだ。弥生といると、俺の心が和む、安心できる、俺はいつしか弥生を求めていた。

だから俺は、素直に今は言える」

「私を求める?この私を」

「そうだよ、弥生。大好きだ!」


俺の言葉に、弥生の顔が少し明るくなった。

それと同時に、弥生は目から涙がこぼれていた。


「な、なんで、そんなこと言うの……私は恋をしちゃ……いけない……」

「そんなことない、恋をしちゃいけない人なんていないんだ。

一度も恋をしたことがない俺が好きになったように、弥生だって俺を好きになっていいんだ。ダメか?」


俺は、泣いている弥生を抱きかかえた。

小さい弥生は、小動物の様にいとおしい。


「勇太……」

「俺は、初めて人をこんなにも好きになった。

姫子は俺が弥生のことが好きだってことに、無意識で好きになっていたことに、気づかせてくれた。

俺だって恋ができたんだ、弥生だって恋ができるんだよ。だから……」

「勇太……うん」


弥生はまだ泣いていたけれど、嬉しそうな顔を見せた。

俺もそんな弥生の顔を見てはにかんでいた。


「ようやく、解放されたな。過去の恋に……」

「今まで、勇太の前だと素直になれなかった。

でも勇太はずっと優しくて、私のことを想ってくれて、愛してくれたから」

「弥生……」


俺は、そのまま弥生のことを抱きしめていた。

弥生も、俺に抱き寄せられて自然と笑顔がはじけた。


「勇太、ありがとう。勇太の気持ちが伝わったよ。

私も勇太が好きだよ、とっても優しいから。あの人と一緒」


そんな弥生は、初めて俺に笑顔を見せてくれた。


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