告白
「好きです。付き合ってください。」
中学一年生にして、人生初めての告白だ。
「俺も先輩のことが好きです。付き合って下さい!」
驚いたことに自分の隣には同じクラスの田中君が立っていた。
「ありがとう。でも私2人のことよく知らないからまずはお友達からでもいいかな?」
中学3年生の香織先輩が返事をした。
私は混乱したが、お友達になってくれることが嬉しくてたまらなかった。
「もちろんです!よろしくお願いします!
あ、私岸田結と言います。中学1年です。」
「俺は田中怜です。岸田と同じクラスです。
よろしくお願いします!」
香織先輩はにこりと笑っていた。
中学3年の和田香織さんは、黒髪ロングの綺麗なお姉さんといった印象だ。
私は入学してすぐ香織先輩に一目惚れをしてしまったというわけだ。
私は女だ。同性を好きになるのはいいことではないのではないかと不安になったりもした。
でも気持ちは伝えたいと思った。
「今日よかったらお昼一緒に食べようか?」
香織先輩からのお誘いだ。嬉しすぎる。
「嬉しいです!屋上で食べましょう!」
なぜか田中が仕切る。
ていうかなんで田中は香織先輩が好きなんだろう。そんな噂聞いたことないけど。
「じゃぁお昼にね。」
手をひらひらさせて去っていく香織先輩。
可愛すぎる。
「岸田ってレズ?」
香織先輩がいなくなった瞬間田中が私に話しかけてきた。
自分でもレズなのかなんなのかわかってないのになんて答えりゃいいのよ。
「わからない。」
「ふーん。あ、次数学じゃん。教室帰ろうぜ。」
なぜあんたと一緒に帰らないといけないんだと思いながらも一緒に教室へ戻ることにした。
「あれ?結どこいってたの?てかなんで田中と一緒に帰ってきたの?」
幼馴染の由来ちゃん。
由来ちゃんには香織先輩のことを話したら応援してくれた。
「別に好きで一緒に帰ってきたわけじゃいよ。
あのさ、実はね……」
言いかけた時に数学の先生が入ってきた。
今から大嫌いな数学の授業か。
「後で話すね。」
私は小声で由来ちゃんに伝えた。
数学の授業が終わり、休み時間になると由来ちゃんに先程の出来事を話した。
まさか田中も香織先輩のこと好きだったなんて。
自分の中では男というだけで有利なのではないかという不安な気持ちがある。
でも私の気持ちは本物のはずだ。
負けるもんか!
「え、田中も香織先輩のこと好きだったんだ〜
美人だもんねぇ」
「私はさ中身も知っていきたいんだよね。あんな素敵な外見してるんだから性格もきっと穏やかで優しくて素敵だと思うんだ〜」
私が好きになったのは外見なのだ。
香織先輩とは話したこともなければ面識もない。それなのによく告白したよな、私。
先輩のことをもっと知りたいんだから仕方ない。
「お昼一緒に食べる約束したんでしょ?楽しんできなよ〜ま、邪魔者はいるけどさ」
「誰が邪魔者だ」
田中が由良ちゃんに話しかけてきた。
あんたは邪魔者だ、この野郎。
「岸田そろそろ行くか?」
「なんであんたと一緒に行かなくちゃ行けないのよ。一人で行きなさいよ全く。」
田中がむっとする。
「なんだよ、一緒に行こうぜ。同じクラスだし仲良くしてますアピールした方がいいだろ。」
「なんで?」
「ポイント高くならないか?誰とでも仲良くできます的な」
田中が嬉しそうに話してくる。
たしかに愛想よくじゃないけど、クラスの男子と仲良くする私。うん。いいんじゃないか。
「よし行こう!」
私は元気よく言った。
由来ちゃんは他の友だちと食べるから気にしなくていいと言ってくれた。
ありがとう、由来ちゃん。私田中に負けないよ。
私と田中君は屋上に向かった。
ドアを開けると香織先輩は柵の側でシートを敷いて座っていた。
いや、待って。本を読んでいる。素敵すぎる。
髪がなびいて美しい。なんの本読んでるんだろう。あ、聞けばいいのか。会話のチャンスじゃない。
「香織先輩おまたせしました。あの、なんの本読んで……」
言いかけたその時、強風がふいて香織先輩の読んでた本が飛ばされた。
「あ……」
あぁ、そんな姿も素敵だと思っている自分がいる。そんなこと思ってないで先輩の本を拾わなくちゃと思っていたが、私の隣にいた田中がかっこよく本をキャッチしていた。
私もそれしたかった!
「先輩、なんの本読んでたんですか?」
なになにその自然な感じ!
私もそれしたかった!(2回目)
「殺人鬼のやつよ、今度読んでみる?」
「是非!」
2人は楽しそうに会話しているが、私はふと思った。顔と読んでいる本が一致しない。殺人鬼?なんて物騒なの読んでるの。人は見た目によらないのね。これでまた先輩のことを知れたわ。
田中のおかげというのは癪だが、感謝をのべたくなった。
「さぁ、二人とも座って。お昼たべましょう。」
私達は弁当を広げた。
田中はコンビニのサンドイッチ。
たまごとかつサンドだ。
香織先輩のお弁当は綺麗だった。
唐揚げに卵焼きにブロッコリー、プチトマト
お弁当まで綺麗なのね。
私はオムライス。端っこにブロッコリーがある。両親が共働きなので自分で作った弁当だ。
適当だ。
「香織先輩のお弁当綺麗ですね。もしかして自分で作ったとか?」
「ううん、私料理したことなくて。お母さんに作ってもらったやつよ。」
「作ってくれるだけいいじゃないですか〜うちは作ってくれないんで毎日コンビニです。」
「田中君も自分で作ったら〜?」
私は少し嫌味っぽく言ってしまった。
しまった。優しくしないとポイントが。
「え、結ちゃんもしかしてお弁当自分で作ってるの?」
待って待って待って。話しかけてきてくれたことが嬉しすぎるが、今結ちゃんっていったよね?言った言った!録音しておきたい。
「はい!適当なのしか作れませんが……」
「得意料理とかあるの?」
「ブロッコリーですね!」
「茹でただけじゃねーかよ!」
田中君がいいツッコミをしてくれた。
ありがとう。でも事実なのだ。
「自分で作るってだけでもう偉いよ〜すごいねぇ。」
香織先輩が私をすごく褒めてくれた。
嬉しい嬉しい嬉しい。
褒められたこともだがこうしてお話できるだけて嬉しい!自分が気持ち悪く感じだがまぁいいや。
「あの、迷惑でなかったらなんですが、よかったら明日先輩にお弁当作ってきてもいいですか?」「え!いいの?嬉しい〜私ブロッコリー大好きなんだ。」
明日たくさん茹でてきますね、先輩。
「じゃぁ俺のもよろしく〜」
明日生のブロッコリーを田中にあげようと心に決めたのだった。
先輩のことをもっと知りたい。
本が好きなこと。
お弁当はお母さんに作ってもらっていること。
ブロッコリーが好きなこと。
些細なことでもいい。知れるだけで幸せだ。
「嫌じゃなければ、これからは3人でお弁当食べましょうね。」
「嬉しいっす。」
「あの」
私はドキドキしながら発言した。
「どうしたの?」
「2人で食べる日も作っていただけませんか?」
「俺と岸田の日?うーん、どうしてもって言うならいいぜ。」
一度殴っていいだろうか。田中くんのことあまり知らないが、腹が立つ。無視していいかな。
「私と結ちゃん、私と田中君ってことよね?」
ナイススルーです。香織先輩、ありがとうございます。
「例えばなんですが月、水、金が私、火、木が田中君とか」
「え、俺少なくない?はいはいはい!不公平だと思います。」
「じゃぁ月、水が結ちゃん、火、木が田中君てのはどうかしら?金曜日は3人ってことで。」
「ありがとうございます!嬉しいです。では今日は火曜日なので明日から・・・」
「岸田ってなんかずるいなー。」
「今日は火曜日なんだから仕方ないでしょ。田中君は明後日なんだからいいでしょ。」
ずるいかな。ずるかったかな。性格悪いって先輩に思われてないかな。不安にかられる。
恐る恐る先輩を見ると、何か考え事をしているようなポーズをしていた。
可愛いなと私は思った。うん、かわいい。
「今思ったんだけどね、私達の苗字ってみんな田がつくよね?」
「和田、岸田、田中・・・」
田中くんが呟く。本当だ!
「これもきっと何かの縁ですよね。」
私と先輩はね。田中って苗字はありふれてるし。
「田んぼ同盟ですね!」
「え、だっさ!びっくりした〜」
やはり一度殴ろうか。殴っていいかな。
「ふふふ、二人とも面白いわね〜」
香織先輩が笑ってくれるならそれでいいやと私は思った。




