春々
この短編の主人公である「私」は、決してこれを書いている私のことではなく、あくまで架空の人物です。
私は変態ではありません。
ある春の日の朝
私を乗せた普通列車は、いつものように城跡の近くを通って、駅に止まった。
突然、ホームをどたどた走る音が聞こえて、ドアのところから少女が車内に飛び込んできた。見たことのない顔だった。少女はこちらを見た。目が合ってしまった。少女のまばたきがはっきりと見える。少女は、私の学校の女子制服とは違う学校の制服を着ていた。少しの沈黙の後、少女は私の向かい側の席に座り、眠り始めた。
私は、早速この少女のことが気になり始めていた。はてな、この辺にこんな制服の学校があったかなと思い、写真に撮って画像検索でもしてみようかと思ったが、法に触れそうなのでやめておいた。
男子は、このように不思議な女子と同じ空間に二人きりになってしまった時は、色々な妄想をしてしまう。下品な方の考えは除くとして、例えば、この子にもし喋りかけられたら…とか。そうすると、色々考えに考えて、好きになってしまう。そういうものである、男子は。少なくとも私の考える限りは。
春の日の光が窓から差し込む中、私は妄想の世界に浸っていた。こういう時には、頭がよく働く。
数パターンの妄想を経て、我に返った。
車内放送が流れ、まもなく次駅に着くことを知らせる。
少女ははっと起き、伸びをして、立ち上がった。
華奢だなぁと思っていると、少女はこちらを少し見て、またドアの方に向き直った。
駅に着き、少女は降りていった。
私は、自分が少女のことをいつの間にか好きになっていたことに気づいた。こんな一瞬で会話もない出来事を「運命」と捉えていた自分に嫌気が差した。
私は、「名前も知らない誰か」に心を奪われていたのか…
ある春の日の、虚しい出来事であった。
読んでいただきありがとうございます。
もう一回書きますが、私は変態ではありません




