溺愛婚約者が爆誕するまで
初投稿です。
よろしくお願いします。
「いつまでそんな顔しているつもりだ」
扉をノックする手が止まる。
「……上手くやりますよ。どうせ笑って合わせていればいいのだから」
冷やりと嫌な動悸に襲われた。
ここで引き返せば、別人の声だったと勘違いで終われるのだろうか。
「ルーエン、もうユリア嬢が来るだろう!慎みなさい」
ユリアは婚約者であるロック伯爵の三男、ルーエンに会いたくてこの日を楽しみにしていた。
侯爵令嬢の13歳のユリアと15歳のルーエンの婚約が決まったのは1ヶ月前。
両家の顔合わせでユリアはルーエンに少なからず好意を持ったし、良好な関係で過ごしていけると思った。
そして今日はロック伯爵と父のブルーゲル侯爵が仕事で会うということになり、急遽、数日後に控えていた初めてのお茶会が早く予定されてしまったのだ。
「……何ですか、これ…」
静かに口を開いたのは、私ではなく後ろに控えていた侍女のサリー。
青くなった顔が、みるみるうちに赤く染まっていく。
まずい。
ユリアは人差し指をたて、シーッとすると笑顔を見せる。
そのまま手を胸元に当てると深呼吸をして扉をノックした。
伯爵はユリアを確認すると挨拶をして早々に退室して行った。
ニコニコニコニコ……
端正な顔に明るい金髪、宝石を思わせる様な碧眼の瞳が余計に彼の笑顔を引き立たせる。
さっきの事がなければ、きっとこの笑顔に落ちていただろう。
「……ルーエン様は今年、王立学園ご入学されるのですよね。やはり寮に入られるのですか?」
「はい」
ニコニコニコニコ……
「……」
「……」
ニコニコニコニコ……
「入学まであと3か月ほど……なかなか会えなくなってしまいますね」
「そうですね」
「……」
「……」
「ご迷惑でなければ、お手紙を送ってもよろしいでしょうか?」
「はい。お待ちしております」
伝わるだろうか。
彼は終始笑顔。
しかも穏やかで包み込むような、優しい陽だまりの笑顔。
これが演技かもなんて。
でも、彼は会話に答えてずっと肯定しているだけで、ユリアを見ているのだろうか。
「ルーエン様は……私が婚約者で良かったですか?」
「もちろんです」
ユリアは、少し、ほんの少し語尾が震えた。
彼女にできた精一杯の質問。
その答えも流れるように笑顔に吸い込まれた。
普通なら安心してドキドキして自分も笑顔になれたのだろうか。
今の自分は、彼の笑顔に笑顔で返せているのかーーーと。
本来予定していた後日のお茶会は、ユリアの体調不良のため中止となった。
そして何かと会えぬままルーエンは学園に入学した。
ルーエンと月に2回ほどの近況報告という名の文通が当たり前になり、夏季休暇が近づいてきた。
その間にユリアの誕生日もあったが、聞かれることもなかったしユリアからも伝えなかった。
当たり前だが誕生日は彼から何もなかった。
でも、ユリアはルーエンの誕生日を伯爵家から聞き、もうすぐだと知ると密かにプレゼントを用意した。
それに、休暇前に学園ではパーティーがあるようで婚約者がいる者は同伴となる。
その時に渡せたらなぁと、机の引き出しにそっとしまってある青いリボンのついたプレゼントを出して見ているとサリーが入ってきた。
「ユリアお嬢様、ルーエン様からのお手紙です」
「ありがとう。きっと今回は同伴のお誘いがあるのかな?」
少し緊張しながら読んでいったが、最後まで求めていた一文は無かった。
「……剣術の先生が変わったらしいわ」
「そうなのですね」
「……雨が連日降って体が鈍ってしまうって」
「お嬢様、あの……」
「ええ。それで終わりよ」
「はぁぁぁぁーーーーーーー?」
サリーは怒り狂った。
地団駄が激しい。
今回の手紙で誘われなければ、もう時間がない。
誘うなら遅いくらいだ。
ユリアの父母も学園の卒業者のため、習わしだろうとドレス一式揃えて楽しみに待っている。
こんな中誘われてもいないなど、両親には言えなかった。
ルーエンはユリアに興味がないから仕方ないと、先日の誕生日は割り切っていた。
だからユリアから彼の誕生日に近いパーティーで祝えば関係改善のきっかけになるかなと。
少しくらい気にかけてもらえる存在になるかなと。
「まだ……間に合うわよね?」
政略結婚でも、良好な関係でいたい。
ユリアはパーティーへ向かう旨を手紙に書いてルーエンに至急送った。
遅くともパーティ数日前には届くだろう。
けれど彼からの返事を待つには間に合わない事は分かっていた。
「ルーエンの婚約者ってどんな人?」
金髪に赤眼の美男子は、この国の第一皇子リシャール。
そして、ルーエンは今日も笑顔を絶やさない。
「別に普通ですよ」
「冷めてない?そんなんで会話やプレゼントとかどうしてるの?」
「……まだあげてませんね。何せまだ2回しか会った事ありませんし」
「……は?」
ルーエンは記憶の中の彼女を思い浮かべるが、銀髪に自分と同じ碧眼で下ばかり向いていた物静かな女としか…
顔は会えば思い出すだろう。
「じゃぁ、明日のパーティーで3回目か。楽しみだな」
「楽しみ……なんですか?俺の婚約者に会う事が?」
「いや。君が、だよ。いくら政略結婚であろうとも良好な関係であればこそだ。無関心ではないんだよな?ルーエンは面倒毎も笑顔で隠すからなぁ」
無関心。
周りなんて皆同じではないだろうか。
ニコニコしていれば面倒毎は最小限ですむし、ユリアもただその中の一人でたまたま婚約者になった女。
父上が侯爵家との繋がり欲しさに結んだだけの。
ルーエンはそれを繋ぎ留めるのが役目でしかない。
「殿下」
「ん?」
「婚約者は明日来ませんよ」
「……は?……なぜ?」
「誘っておりません」
リシャールは息を飲んだ。
この男は笑顔で何を言っているのだろうかと。
「ルーエンは婚約を解消したいのか?それとも、ユリア嬢が不満なのか?」
「何故そうなるのです」
ルーエンはニコニコと笑い失礼します、と話を切り上げ行ってしまった。
ルーエンは学園でも笑顔を絶やさない。
そんな彼を令嬢達は放っておかないだろう。
去って行く彼の元にはもう侍る令嬢がいた。
パーティー当日。
ユリアは侍女のサリーと共に王立学園に出発した。
着飾ったユリアは学園の馬車停めで、しばらく馬車から降りずに待機していた。
手紙が間に合えば、そろそろルーエンが迎えに来てくれるはずだ。
でも、もし、届いていなければ彼に会えるかも微妙になってしまう。
けれど、もう3時間待った。
パーティーはもう始まってしまう。
今のユリアはエスコートもなく、招待状もない。
婚約者に招待されなかったなんて言えず押し掛けてしまった迷惑令嬢。
外を覗けば、仲睦まじく歩く華やかな雰囲気で会場を目指す人々。
このまま帰ろうかと思ったその時、視界の端に一人で歩くルーエンらしき人影が見え、ユリアは馬車を降りた。
彼を追いかけると、門の近くで足を止めている。
急いで声を掛けようとするとーーー
「じゃあ、頼むよ」
「ルーエン様!嬉しいですわ!」
現れた令嬢は、ルーエンに寄り添うように仲睦まじくエスコートされ門をくぐる。
碧色のドレスを纏い人々に紛れて行く。
ユリアはその場から動けなくなった。
よりによって、なんで自分も同じ碧色のドレスなんて着て来てしまったのだろう。
けれど、押しかけたのは、勝手に来たのは……自分だ。
ユリアは初めて自分を惨めだと思った。
目頭が熱くなってくる。
「……別に私は彼を愛していない。ただの政略なんだから」
そう、好きにもなっていない。
なのに泣きたい気持ちになるのはなぜだろう。
周りに人がいなくなると、門番が心配そうな視線を向けている事に気づいて馬車へと向かった。
馬車の前には心配するサリーの姿が。
サリーは悲痛な思いでユリアを馬車へ乗せた。
パーティーが終わるまでユリアは馬車から降りることもなく、周りが帰りだす頃にはルーエンと共に寄り添う女性を遠目に見ると帰路につく。
「私は何も期待しないわ」
見えなくなる学園に向かいユリアの口から出た言葉は、強がりなのか悲しみなのか自身ですら分からなかった。
ルーエンはパーティーから寮の部屋に戻るとボフッとベッドに横になった。
まさか殆どの生徒がパートナー同伴だとは思っていなかった。
周りには婚約者がまだ不在の者もいて、「一人は寂しい」などとぼやいていたから、一人でも気楽な雰囲気なのかと。
なので、入学前でデビュタント前でもあるユリアをわざわざ誘うのを遠慮したのだ。
だから最近よく見かける令嬢に声をかけられてお互い一人ならと軽い気持ちで誘いにのってしまった。
しかし、それが間違いだとすぐに気づく事になった。
エスコートは、あくまで最初から最後まで。
あの令嬢がルーエンと親しい間柄だと公言して回るようなものだった。
非常にまずい。
だが、幸いにもユリアが入学するまでにはまだ時間がある。
「……次の冬季休暇前のパーティーにユリアを誘えば……」
『婚約解消』
不意に脳裏に浮ぶ。
机に目をやるとパーティー前に数枚の手紙が届いていた事を思い出した。
見覚えのある青色の封筒が目に止まり、差出人を見ればユリア。
こんなに早く返事が来た事に、嫌な予感がする。
焦る気持ちを抑え、封を開けた。
そこには、今日出席したいので馬車停めで待っている事、勝手に会いに行く事に対する謝罪が書かれていた。
「そ……そんな……」
出かける前には手紙は届いていたのだ。
なぜ見なかったと後悔した。
もう、パーティーはとっくに終わってしまった。
しかもルーエンが寮から学園に向かう途中に馬車停めがある。
きっと彼女はルーエンを待ち、探していただろう。
もしかしたら、あの令嬢と一緒の所を見られたかも知れない。
でも、急に行く事にしたから会えなかったら帰るとも書いてあり、そのまま帰ったかもしれない。
けれど……
父上から、普段からもくれぐれもユリアをと念を押されている。
ルーエンは三男だ。
自身の将来の身の振り方である嫁ぎ先の問題もあるため、ユリアと揉めるのはまずいのだ。
ブルーゲル侯爵家はこの国で5家ある侯爵家の筆頭。
その一人娘であるユリアの婚約者より条件の良い相手などいない。
ユリアがもしルーエンに気づかず帰ったとしても、この夏季休暇中に挽回するしかない。
嫌な汗が背中を伝った。
夏季休暇が始まった。
ルーエンからのお茶の誘いが度々あったが、ユリアは体調を崩した事を理由に、王都から侯爵領に滞在する旨を伝え面会を断り続けた。
彼がユリア以外の女性をエスコートする姿は、自分が思っていたよりショックがあったようで、気持ちの整理がつくまで会えそうになかった。
パーティーへ勝手に会いに行ったとはいえ謝罪の手紙を送ってくる彼に、もう気にしていないと誕生日プレゼントを添えて送ることが今は精一杯だった。
その返事にユリアの誕生日を聞かれたが、もう過ぎていることを伝えるとまた以前のような文通に戻り、数回やり取りをする頃には休暇も終わり彼は学園に戻っていった。
学園ではルーエンが連れていた令嬢の話でもちきりだった。
けれど、それより変わったのはーーー
「ルーエン、君はどうしたいんだ?」
学園には王族、高位の貴族、学園の役員を務める生徒しか入室を許可されない室内温室が設けられたサロンがあり、生徒たちの間では『緑の間』と呼ばれている。
リシャールの問いかけにも今までは笑顔を絶やす事のなかったルーエンは最早、以前の面影もなく笑わなくなった。
周りの問いかけにも肯定も否定もせず、まるで無機物のようである。
そのせいもあり、あの令嬢がつけ上がっていたとしても。
「私は……婚約解消なんてしたくないんです」
「うん。それで?」
「簡単だと……思っていたんです」
「何が?」
「……適当に接していても、婚約者一人くらい自分に夢中になるだろうと」
「うわ。最低ナルシスト自己陶酔男だね。私の側近候補から外すか迷う発言だよ」
「……殿下の軽口も私が仕えたい主人に相応しいか疑問ですが?」
ルーエンは仄暗い目でリシャールを一蹴した。
リシャールはピシリと固まったが、咳払いをするとルーエンを見返す。
「ルーエン、君は私の軽口に感謝するかもよ?」
「はい?迷惑を被るの間違いでは?」
白けた互いの視線が交わる。
リシャールはため息をつくと、真面目に切り出した。
「君の婚約者、あのブルーゲル侯爵家のユリア嬢だよね?」
「……そうですが」
「いくらデビュタント前とはいっても、筆頭侯爵家の令嬢ともなれば顔を知る一部の貴族も然り。」
「……だから、何なんですか?」
「来ていたそうだよ、あの日。」
「……え?……」
嫌な汗がルーエンの背を伝う。
「あの日の門番が高位貴族の生まれの者でね、ユリア嬢を知っていた。ただ、君の婚約者だとは知らなかった。高貴な令嬢が門付近で佇んでいるので気に留めていたらしい」
心臓が嫌な音を立て始める。
「招待客が誰も居なくなってもその場を動かず、門番が声を掛けようとすると酷く傷ついた様子で馬車に戻って行ったそうだ。」
リシャールはここまで話すと、ルーエンを見据えた。
「ユリア嬢のドレスは碧色だったそうだよ。彼女の瞳も碧眼だけれど、この場合は君の色を纏っていたんじゃないのか?ちなみに、彼女の馬車はパーティーが終わってから帰って行ったそうだよ」
ルーエンは血の気が引いた。
最悪だ、最悪の事が起こっていたのだ。
確か……確か……エスコートした令嬢のドレスの色は……
「追い打ちをかけるようで悪いが、私は君をただの友人としてでは無く、側近候補として近くに置いている。そして、筆頭侯爵家の次期当主補佐としても。だから、君に不名誉な噂が立つ事は私としても好ましく無い。ルーエン、君は周りへの関心が欠如している様に思うんだ。パーティに同伴したあの令嬢もつけ上がっているのを知っているか?」
リシャールは少し困った顔をすると、呆然とするルーエンの背中を力強く叩いた。
「しでかしてしまった事はもう仕方がない。挽回するんだ。臣下の前に君は軽口を交わせる数少ない私の友人だ。ニコニコしていて腹黒く、それでいて実は初な所も気に入っている。だが……もっと周囲にも目を向けてほしい」
仄暗いルーエンの目がリシャールを捉えると、リシャールはルーエンの首を肘で括り引き寄せた。
「挽回するぞ、親友!」
放課後、緑の間。
「で、だ。ルーエン、君はこの数ヶ月の間に何をしでかした?……いや、何をしなかったんだ?」
テーブルをルーエン、リシャール、そして騎士を目指すステファンで囲んでいた。
ステファンも側近候補だが、ルデン侯爵家の次男であるため、ユリアとも面識があった。
赤い短髪に黒目で、やんちゃな感じが抜けない。
「しなかった?……あの殿下、質問の意味が」
ルーエンへの質問のはずなのに、ステファンがポカンと答えてしまった。
リシャールはルーエンに細く目を向けると、盛大にため息を吐いてみせた。
「しなさ過ぎて婚約者と拗れているんだよ。ステファンにも婚約者がいるよね?同じ学園に入学中といっても、プレゼントとかちゃんとしてる?会って話てる?」
「それは……そこまで頻繁じゃないが、たまに昼を一緒にしたり、茶をしたり……花は定期的に送ってるし、プレゼントは誕生日と、町で目に止まったものをたまに、贈る、くらいで……」
ステファンの婚約者は同い年で、花や植物などが好きなので、季節に合わせて贈っている。
宝石やドレスにあまり興味がないようなので、流行りに疎いステファンには助かっている。
それでも周りに比べると高価なプレゼントを頻繁にしている部類には入らないなと、徐々に声が弱くなる。
「うんうん。だよねぇ。私の婚約者は隣国の姫君だけれど、手紙のやり取りに加えて何かしら贈っているもんな。だって、可愛いんだよ。文面から照れた感じや喜びが伝わってきてさ、この前なんて視察先に焼物があったから自作の物を贈ってみたんだ!」
「ああ…蛇が纏わり付いたお椀だっけ?」
「……失礼だね。あれは!ウサギの耳を取手にアレンジしたティーカップだよ!」
「「…………」」
リシャールの婚約者は隣国の姫君だが、幼少の頃、視察で自国に来ていたその姿に彼が一目惚れし、押して押して押しまくり婚約者の座を勝ち取ったのだ。
我がフェマン帝国が大国だからできた事。
相手は小国だった為、受け入れざるを得なかったが、こそはリシャールが弁え姫が好意を持つまで待った(注:押しまくり、アピールしまくり、通いまくり)が故に、婚約が成立したのは2年前になる。
表向きには隣国との友好を目的としているが、実際にはそれは二の次である。
「ま、というわけでさ。ルーエンも会えてはいないとしても数ヶ月は婚約者として過ごしているわけだ。文通はしているがプレゼントはしていない、会いに行かない……あとは?」
「ちょっと待った。プレゼントならルーエンはしたはずだろ?ブルーゲル侯爵家とは、うちの母上同士が仲良くて母上はユリア嬢の誕生日プレゼント選んでたぞ?」
「……………え?」
二人の視線がルーエンに集まる。
知らない。
誕生日だったなんて、知らない。
でも、もう過ぎていると手紙にあった。
それは自分との婚約前の事だろうと勝手に解釈していたのだ。
「……そういえば、寮に入ってすぐに母上からセンスの良い物を選びなさいよって手紙がきてた、けど、それって……」
「え。ってことは、何も贈ってないのか?」
「その感じだと、手紙にもお祝いは書いていないよね?」
「………」
「………」
「………」
ルーエンはテーブルに突っ伏し、頭を抱えた。
「……文通していたんだろ?話題的にもすぐ聞く事だよな?」
「あー!そこまでユリア嬢に興味ないの?ユリア嬢からも誕生日聞かれてないの?」
リシャールも手で顔を覆い、天井を見上げた。
いくら政略結婚だとしても、今は良好な関係を築いて行くべき時。
さすがのステファンも表情が曇る。
ルーエンは手紙の内容を思い出そうとするが……
でも……
「……誕生日……聞かれてもいなかったのに、私の、誕生日に手紙と一緒にプレゼントが届いた。この…タイピン……」
ルーエンは起き上がり二人に今着けているタイピンを見せる。
シルバーでシンプルな物だが、青い宝石が品よくあしらわれ、よく見ると丁寧な細工が施されている。サファイアだろうか?
婚約者から贈られてきたものを身に付ける自分は優しいだろう、と思っていたなんて何たる奢りだろう。
「ルーエンの誕生日って、確かあのパーティー後すぐだよな?休暇で会えなくなるからって、俺、ワインあげた」
「それさ、見るからにオーダーメイドだよ。彼女の方は聞かなくてもちゃんと用意していたんだね。しかも、あんな場面見せられても君を祝った」
ルーエンの手が冷たくなっていく。
1聞けば10を分かる気でいた。
だから周りにも説明を求めずにいたように思う。
なのに自分の事となれば、母上の匂わせもユリアの手紙もプレゼントも……スルーしていた。
「ユリアは……どんな気持ちだった……?」
声が震える。
ほぼ文通しかした事のない婚約者。
顔すら碌に覚えていない。
互いにまだ情は薄いだろう。
それなのに、自分は婚約者に興味を持たず、他の令嬢をエスコートする始末。
その男の婚約者は誕生日すら無視され、そんな男にプレゼントを贈るなど。
両親に未だ咎められない事から、きっと彼女は親に相談せず一人で抱えているのだろう。
自分よりも幼い彼女は……
こんなにも情け無い男を庇ってーーーーー
……いや、もう……″見限られた″のではないのか?
休暇中は領に戻って会えなかったのではなく″会いたくない″ので領に戻っていたとしたら……?
当然の結果だ。
ルーエンはまだ彼女の信頼も得られていない、顔すら覚えていない、幼い彼女に何て事をしてしまったのだろうと、後悔してもしきれない感情に襲われた。
ユリアの元にはルーエンと同じ学園に通う従姉妹から、「心苦しいが」という一文が添えられた手紙が届いた。
そこには今ルーエンが学園内でどういった状況かを綴る内容があった。
あの日一緒にいた令嬢はサーネル伯爵家の長女キャサリンで、いつもルーエンの側にいるらしい。
パーティーでエスコートされ、その後も一緒にいる事で二人の親密さは黙認された仲になりつつある、と。
ただ、従姉妹のミーシャはルーエンと同学年とはいえクラスが違うので数回見かけただけらしいが。
「心配しています……か。ミーシャ姉様の耳にまで届いていたなんて。」
このままでは両親に伝わるのも時間の問題だろう。
しかし、ルーエンはユリアと婚約を白紙にしたいのだろうか。
いくら結婚と恋愛は別で、貴族社会では愛人が黙認されるとはいえ、今からこれはない。
まして、筆頭侯爵家として率いる者としては。
「……ルーエン様はどうしたいのだろう……」
愛人。
もしその関係を今から望むのであれば、このままだと嫡女といえどユリアへの風向きが悪い。
何より……って、あれ?
ユリアが筆頭侯爵家の跡取りである事は確定。
と言う事は、もしかして自分は優良物件というやつではないか。
ならば、自分が入学するまでに婚約者の条件に見合う相手が他にもいるのではないか。
そうなれば、入学して睦まじい二人を婚約者の立場として気分悪く見なくて済むのではないか。
そう。
彼女は気づいてしまった。
嫉妬や不安、落胆……様々な負の感情に支配されていたが、それはあくまで婚約者という立場から。
そこにはまだ愛が無い。
ルーエンはきっとユリアに無関心だ。
ならばこちらも、付き合いは最低限で無関心でいればいい。
もしかすると、彼の有責で婚約破棄もしくは解消できるし、そうなれば今も届いている釣書の中から……
「……そうよね。相手はルーエン様でなくても……」
その言葉はチクリ、とした少しの痛みを伴うと同時にユリアの気持ちを軽くさせた。
その数ヶ月後、ユリアはデビュタントの為に着飾れされた。
本来なら、ルーエンを学園から呼びエスコートを申し出るのだが、それも絶対の決まりではない。
ならば呼ばなくてもいいではないか!と思い立ったユリアは彼を習いスルーすることにした。
どうせ王城の会場までは両親と行く者も多いのだ。
だが、デビュタント当日。
玄関ホールへ降りる階段の途中で正装したルーエンがユリアを待っていた。
時は少し遡りーーーーー
「ルーエン、ユリア嬢だけど次のパーティーがデビュタントになるらしいな」
「……え?」
授業が終わり教室から出ると、待っていたかのようにステファンに声をかけられた。
もちろん、そんな話は聞いていない。
″見限られた″
ルーエンは瞬時に悟った。
「もう、なり振り構ってはいられない。ステファン、そのデビュタントはいつだ?」
「確か、3週間後の夜会だったかな?やっぱり連絡きてなかったのか。」
「……ああ。教えてもらって助かったよ」
「ルーエン様ぁ!」
会話に被せられた声に、ルーエンは仄暗い目を向けた。
あの夜会から何かと側にいて、何より自分がエスコートしてしまった元凶のキャサリンが、頬を染め甘える様に上目遣いで寄ってくる。
「……君か。何の用?」
さすがに彼女の意図も、もう分かる。
殿下に近い自分が学園でどんな立場か、自分が今までどれだけ甘過ぎた考えでいたのかを。
表情を変えず言葉を返すが、いつも返事のなかったルーエンからの言葉にキャサリンは舞い上がった。
ルーエンの腕に絡みつく様に手を伸ばす。
「これからお暇ですかーーー」
バシッッ
「今の会話で私に触れようとする意味がわからない」
ルーエンはキャサリンの手を強めに払うと一蹴した。
そして感情のない笑みを纏う。
キャサリンは一瞬固まったが、向けられた笑みにまた気を良くした。
「ルーエン様と……お話がしたくて。先走ってしまい、申し訳ありません。でも……ルーエン様にとっても有意義な時間になると確信しておりますわ」
「へぇ……私にとって有意義なものとは何なのかな?」
「それは……ここでは言いづらい事もあるので、ぜひ二人でお話がしたいのです」
頬を染め、恥ずかしそうに目配せをする。
「君は私に婚約者がいるのは知っているの?」
「もちろんですわ!でも、パーティーにも同伴せずにルーエン様を蔑ろにするようなお方だとか……私、ルーエン様がお可哀想で……」
涙ぐむキャサリンに、ルーエンの笑みは消え侮蔑の視線を送る。
ルーエンに婚約者がいると知りながら、彼の色を纏って来た確信犯の令嬢。
側にいたステファンは、この短時間での数々の無礼と今のルーエンの地雷とも言える一線を超えた事に気づきもしない令嬢をどうしたものかと頭をかいた。
「君は確か伯爵令嬢だったよね?」
急に会話に入ってきたステファンの質問に、キャサリンはここぞとばかりアピールしようと……
「そうですわ。私、サーネル伯爵家の長女キャサリンと申します。ゆくゆくは伯爵家を継ぐ予定ーーー」
「それなら。君の家では最低限のマナーも身に着ける事がでかない環境なのか、君に貴族としての素質がないのか」
「え……?」
どちらだと思う?とルーエンの冷たい声と視線にキャサリンは戸惑うが、ルーエンは止まらない。
「まず、学園内とはいえ格上のルデン侯爵家令息と私の会話を遮り、挨拶すらなく話を始めた。そして、私は君に私の名を呼ぶ許可をしていないのにもかかわらず、触れようと近寄って来るとは。まして、私に婚約者がいると知りながら二人の場を設けようとするだと?」
「……え?え?だって、ルーエン様は私をエスコートしてくれたではありませんか!」
「それだ!それが元凶の始まりだ!私が無知だったばかりに……自分が情けない」
いきなり大声を出したルーエンにキャサリンはビクッと体が強張った。
「あれは私の失態だ。だからこそ、もう間違える訳にはいかない。」
ルーエンは改めてキャサリンに厳しい目を向ける。
「エスコートは私にも非がある。謝罪しよう。だが、私に婚約者がいると知りながら最初から私の色を纏ったドレスで声をかけ、側にいようとするのは非常識だ。しかも私の婚約者を侮辱するなんて。この件はロック伯爵家から正式に抗議する。そして、私の婚約者はこれから社交会にも出る事になるし、この学園にも入学する。もし……もし、彼女に少しでも悪意を向ける事があるようなら……」
ルーエンは一呼吸おくと、キャサリンを見据えた。
「私は君を許さない。」
ルーエンの気迫とドスの効いた声に、キャサリンはカタカタと震える。
「も……申し訳……あり……ません」
それでも何とか声を絞り出す。
ルーエンは人睨みすると、ステファンに目配せをして去って行く。
「サーネル令嬢。君はルーエンの婚約者が誰か知っているの?」
「……公にされていないようなので、存じません」
キャサリンはバツが悪いように俯くと、ステファンは盛大なため息を落とす。
「隠している事ではないから教えるけど、筆頭ブルーゲル侯爵家嫡女のユリア嬢だよ。君には大きすぎる相手だと思うけど?……ロック伯爵家で事を納めるうちに身を引いた方がいいよ。意味、分かる?」
キャサリンは真っ青になり、その場で膝をついて崩れた。
同じ嫡女とはいっても、立場が違いすぎた。
もし。
もしも、ブルーゲル侯爵家を相手にしてしまったら、サーネル伯爵家なんて取り潰されてしまうだろう。
ルーエンの婚約者を知らなかったから、勝手に自分と同等か、それ以下の令嬢だと決めつけていた。
だから拒否らない彼もまた、新たな婚約者を求めていると勝手に解釈して他の令嬢と一緒に彼の側にいた。
そして、エスコートというチャンスが巡ってきて舞い上がった。
ルーエンにとっては、無関心だっただけなのに。
ステファンは静かにルーエンの後を追った。
時は戻りーーーーー
階段の踊り場にはルーエンの姿が。
ユリアは無意識にエスコートするサリーの手に力が入った。
「ーーーユリア」
ルーエンの前に立つユリアはとても美しく、着飾った姿は大人びていて、以前に会った印象など吹き飛ぶくらいに目に焼きついた。
どうして彼女を覚えていなかったのだろうかと。
自然と名前がこぼれ落ちてしまったが、それに反応するように彼女から表情が消えた事を瞬時に悟った。
ルーエンはその場に片膝を付き、頭を下げる。
「ユリア嬢、今までの数々の非礼……本当に申し訳なかった。何より……私の至らなさで君の心をたくさん……たくさん傷つけていた事に気づけなかった」
ルーエンは着飾った言葉より、ユリアの心に沿った謝罪をしたかった。
もちろん、言葉でなんて償えないのは分かっている。
「婚約者としても最低だ。君が私を見限っている事も知っている。けれど……けれど、君をエスコートする時間を私にくれないか?」
そう言って差し出された手は、震えていた。
ユリアは静かにその言葉を聞いていたが、あくまで今も彼は婚約者。
切実な気持ちが伝わり、その気持ちを振り払えない。
なのに、自分の気持ちは分からない。
サリーの手を離すとユリアはそっとルーエンの手を取った。
ルーエンはピクリと反応すると、そっと顔を上げる。
そこには表情こそ乏しいが、少し困ったような戸惑うような、そんなユリアの顔があった。
決して笑みなどは無いのに、自分の手を取るユリアに愛おしさが募り、握り返す手に思わず力が入ってしまった。
ユリアの両親はルーエンがエスコートに来た事に生暖かい目を向け、彼の馬車へと促す。
彼のエスコートで馬車に乗るまで会話は無かったが、ユリアにとって馬車と正装したルーエンの組み合わせは、あの日を思い出させて胸が苦しくなった。
初めて知るこの腕をあの令嬢はもう知っている。
嫌な…嫌な感情が湧き上がる。
無関心でいたいのに。
馬車の扉が閉まり、動き出す。
気まずい時間が始まるのかと、ユリアは夕陽が沈みゆく窓へと目を向けた。
「……ユリアと呼んでも?」
「……はい。」
手紙では既に名前で呼び合ってはいたが、2人だけで会うのは二度目。
ルーエンはもう、間違えたくない。
彼女を不快にしたくない。
「……以前のパーティーだが、本当に申し訳なかった」
「……謝罪はもう以前のお手紙で……」
「違う……!」
その声にユリアとルーエンの視線が交わる。
「え、と……?」
戸惑うユリアに、ルーエンはゆっくりと順を追いこれまでの自分の驕りと不甲斐なさ、情けなさ…
それはもう、取り繕う事もせずに自身を責めるが如く話した。
「……パーティの彼女との事は誤解されても仕方ないし、学園でも噂になっている事は……事実だ。それでも、彼女とは何もない」
ここまで言うとルーエンは、ふぅ、と深呼吸した。
ユリアはただ黙って聞いている。
彼女の表情からは何を考えているのかルーエンは分からない。
それでも…
「これは……私の大切な物だ。」
ユリアの手をそっと取ると、掌にヒヤリとした物が。
誕生日に彼に贈ったタイピンだった。
「……これを貰った時の私は、君の気持ちなど全く分かってなかったし、分かろうともしていなかった。でも、私が招いた事で、浅はかな行動で、君が抉られるような気持ちでいる中にも関わらず、プレゼントしてくてた君が頭から離れなくなった。
もし……もしも、まだ、私を側にいさせてくれる……未来は、ある、かな?」
ユリアの瞳は涙が溢れそうだった。
こぼれないように我慢する姿は、不謹慎だが愛おしい。
ルーエンは彼女をそっと抱きしめた。
「ごめん…ごめん、ユリア。嫌なら突き放して…」
ユリアは初めて会った時、ルーエンを好ましく思った。
そう。
本当は好きになっていた。
でも、気持ちに蓋をして、誤魔化して…令嬢として振る舞う事がきっと正しい、と。
やっとの思いでぐちゃぐちゃになった心を閉ざす事ができたのに。
今日のデビュタントで自分たちの中は良くないと示そうと、別れに向かおうとしていたのに…
ポロポロと涙が止まらない。
彼の胸の中がこんなに優しいなんて。
「……ユリアの嫌な事は、もうしない。好きな事も嫌な事も俺は知らない事だらけで……これからたくさん教えてくれる……?」
ルーエンの目も熱くなっていく。
気を抜けば視界が揺らいでしまう。
自然と彼女を抱きしめる腕にも力が入る。
「……碧……」
「……え?……」
小さな声がルーエンに届いた。
「……ルーエン様の瞳の色が、好きになった…の。……でも、今は碧色の服を着たくない……嫌……」
青い…服?
ルーエンはキャサリンのドレスだと瞬時に理解した。
ユリアはルーエンの色の碧いどレスを纏ってきたのに、自分の隣にはその色を纏う別の女性。
どれだけ……傷つけた……?
自分よりまだ幼い彼女の心を……
「着なくて……良い。」
「………?」
「金色……黄色……今日の君は、俺の色を纏ってくれている事に気づいてる……?」
そう。
ユリアの今日のドレスは黄色を基調として、アクセントには金色があしらわれている、とても上品なもの。
無意識にルーエンの髪の色を選んでいた。
ユリアは急に恥ずかしくなり、ルーエンの胸に顔を埋めた。
「……ユリア、ヤバい」
「……??」
ルーエンは胸にうずくまるユリアをそっと離し、両手で頬を愛おしそうに包み込むと……
「可愛すぎる!!」
いきなりの事に、ユリアの涙は止まった。
「ヤバい!どうしよう!愛おし過ぎてダメだ!誰にも渡したくない!!」
………溺愛婚約者の爆誕である。
ニコニコニコニコ……
ニコニコニコニコ……
「なぁ、ユリア嬢…?」
「はい、殿下」
ニコニコニコニコ……
ニコニコニコニコ……
「私は…怖い。とてつもなく恐ろしい…」
「何がでしょう?」
昨日、学園に入学したユリアは緑の間でルーエン、リシャール、ステファンと共にテーブルを囲んでいた。
「……ここ暫く、ルーエンは氷の貴公子となりブリザードを纏っていたんだ……私を見る目も冷たく、笑顔は何処かへ忘れ去られていたんだ……」
「殿下。ユリアに何を語っているのですか」
先ほどまで満遍の笑みでいたルーエンは一瞬で鋭い目をリシャールに向けた。
「ルーエン様はいつも笑顔でいらっしゃいますよ?」
「嘘だ!!そうだよな?ステファン!!」
急に振られたステファンは、リシャールに引き攣った笑顔を向けた。
ルーエンはあれからも笑顔を見せる事はなかった。
自身も笑顔を振り撒く事での誤解には懲りたし、何より作り笑顔をしない事が自然体であると気づくほどに。
なのに…
「……ルーエンが笑うのはユリア嬢が側にいる時だけみたいだよ」
「……そう、なのですか?」
ステファンの言葉にユリアがコテンとルーエンに首を傾けると、ルーエンの顔が赤くなった。
悶えるように片手で顔を覆う。
「……嬉しいから、笑顔は無意識だから分からない」
ルーエンは素直な気持ちをユリアに伝えようとしてくれている。
貴族としてはどうかと思うが、そこは時と場合を弁えるルーエン。
「ルーエン様は初めて会った時からずっと笑顔でしたが、私に興味がある事はなくて……だから、自然体のルーエン様の隣にいれる事が、恥ずかしいけど、嬉しいです……」
!!!
「ユリア!!!」
ルーエンは席を立つと後ろからユリアを抱きしめ、ユリアの首元のネックレスを愛おしく見つめた。
プラチナのチェーンに品良く光るイエローダイヤモンド。
本当はあの日、自分とユリアの目の色である碧色のネックレスを準備していた。
けれど……
渡せなかった。
そのネックレスは自分への戒めとして手元にある。
「私も嬉しい!あー、可愛い……どうしよう……」
真っ赤になるユリア。
でも、今ならもう一度聞けるだろうか…?
「……ルーエン様。私が婚約者で良かったですか?」
以前、勇気がいった質問。
でも、今は……
「もちろん!ユリアが良い。」
満遍の笑みで即答すると、ルーエンはユリアの耳にそっと口を近づけた。
「大好きだよ。愛してる。君が求めてくれるなら、俺はずっと側にいたい」
ユリアにだけ聞こえる声で。
包まれる腕に自分の腕を添える。
あれから何度も何度もルーエンから伝えられた言葉。
それでも、返すにはまだ勇気が出なかった。
……でも。
「大好き、です…」
ユリアもつぶやく。
彼に聞こえるだけの、小さな声で。
「うわっ……初めて……言われた……殿下!私とユリアは急用ができたため即刻帰ります!」
バタバタと帰り支度を始めるルーエンに、リシャールとステファンが冷めた目を向けている事など知る由もない。
「……はぁ。私も婚約者を溺愛しているが、側近もか」
「……殿下。私はまともなので、一括りにしないでいただきたい」
キッパリと言い切ったステファンの軽蔑する視線がリシャールに向けられた。
後にルーエンは、腹黒くも辣腕な側近の一人となり国を支える事になる。
溺愛する婚約者とともにーーーーー
少しでも楽しんでもらえたら、嬉しいです。
ありがとうございました。