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プロローグ

この世界には様々な因果律が存在する。例えば、雨が降れば虹が出るような、あるいは男女が惹かれあい、新たな命を育むような、そんな因果が存在する。加えてこの世界には、対価を差し出した者に力を与える。そんな因果が存在する。この物語は因果によって与えられた力で世界の理を破壊した者の一生である。

帝国暦四二年十二月十日

私はデグナ帝国の小さな集落で産まれた。吹雪の夜だった。

「おぎゃー‼︎おんぎゃー」


「あなた!見て!可愛い女の子よ!」


「あぁ!生まれてきてくれてありがとう。ミーア…おい、待てこの子、片目が…無い。」


「嘘っ!なんてことなの、どうして神様は、我が子にこんな仕打ちを」

私ミーア・エッケルトは、生まれつき片目を欠損していた。家は貧しく、私は父のアルベルト・エッケルトに取り上げられた。母のニーナ・エッケルトは、私をこんな姿で産んでしまったことに責任を感じていたのか、とても過保護であった。この様な境遇に置かれてはいたが、私達家族は平和に暮らしていた。そうこの力に気づくまでは…

私が生まれたこの国、デグナ帝国では異能を持つ者達に軍事的な価値を見出し、満6歳の国民全員に異能調査が実施していた。勿論もれなく私もその対象であった。

「お嬢さん、左の目が無いんだって?ウインクってできる?」

思えばこの調査師の言葉が悪夢の始まりであった。

「ミーアね、ウインクできないの。」

調査師の男から黒い布を手渡される。

「お嬢さん、これで右の目を覆ってくれないかな?」


「どうして?」


「君に隠された力が無いか調べたいんだ。」


「隠された、力?」

私は言われるがままにその眼帯で右の目を覆った。

「お嬢さん、今周りが見えるかい?」


「見える‼︎…どうしてぇ?」

見えるというよりかは、わかると言った方が感覚的に近かった。

「それはね、お嬢さんが目の代わりに天から貰った異能ギフトのおかげだよ。」

暫くして、私はこの調査師の紹介で六年制の初等軍学校で寮生活を強いられることになったのだ。

「ミーア!一人で大丈夫?」

心配症の母が私に問いかける。

「うーん、わかんない。」

この時の私には、六年という時間の概念がわかっていなかった。

「嫌だったら、いかなくてもいいんだぞ。」

父が向こうを向きながら、呟く。

「ううん、嫌じゃ無いよ、私、学校でお勉強頑張るね!」


「そうか。」

と寂しげに呟く父、

しばらくして、迎えの馬車が到着する。

「ミーアちゃん… いってらっしゃい。」


「勉強頑張るんだぞー!」

父と母は、娘を心配させまいと無理に笑って私を見送った。


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