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僕のご先祖様は鯨だったから
あなたの身体はそんなに大きいの
友達に笑われ泣いてた僕を
ママはそう言って慰めた
僕は鯨を想像する
絵の具よりも濃い青色の海
大きな身体をくねらせて
水しぶきをあげて海面を高く高くジャンプする
海に落っこちる音は宇宙からでも聞こえるくらいに大きくて
それからまた風が波を立てる音しかしなくなる
僕は鯨
間違って地上に生まれてきた鯨
だけど間違っててよかった と僕は思う
海には友達も家族もいないけど
ここには僕の大好きな人がたくさんいる
パパ、ママ、妹のキティ、友達のエイディー、ダン
海は広くて窮屈はしないけどきっと寂しい
広い部屋、一人だけぽつんといる時みたいに
音楽が終わった後、音の余韻が消えていくのを待つ時みたいに