細くもろい友情
あの日、奈穂と一緒に見た光景、
私にとって、大切な、大切な、宝物になった。
奈穂と一緒なら、この世界で、生きて行けるような気がした。
私は完全に、奈穂のことを信じきっていた、のかもしれない。
でも―
―奈穂は、もうそろそろ、学校に復帰させようと思っています。
奈穂の母親が、かおり先生に話しているのを、聞いた。
すぐ、裏切られた、と思った。
約束したくせに。
奈穂まで私のこと、裏切るんだ。
そう、思った。
悲しさなんて一つも湧かなくて、怒りも、何も、感じなくなっていた。
あぁ、そうか…。
って、ただそれだけだった。
慣れている、からかな―?
❀❀
毎日、フリースクールに行くのが、楽しみで仕方なかった。
もし、許してもらえるのなら、ずっとこのままでいたい。
このまま、一華と一緒に毎日フリースクールに行って、ただ、笑っていたい。
でも―
それは、どうやら叶わないみたいだ。
12月15日。
その日は、二人で山に行った次の日の、月曜日だった。
昨日よりももっと寒くなっていて、朝起きて布団から出るのにすごく時間がかかってしまった。
いつもと何一つ、変わらなかった。
いつものように、フリースクールに行って。
いつもと同じように、かおり先生に「おはようございます!」と元気よく挨拶をした。
そして、一華の「おはよう、奈穂!」という声を待つ。
いつもと何一つ、変わらない、はずだった―
でも―、
いつまで待っても、一華は来なかった。
痺れを切らした私は、教室に一人で行くことにした。
そしたら、教室に一華がいて。
私の存在なんて、なかったかのように他の子たちと楽しそうに話していた。
「アハハハ!何それ!」
って笑っていた。
胸の奥がザワザワして、急に怖くなっていった。
もう―、一華とは笑い合えなくなるような気がして、
怖かった。
それから一華は、私が話しかけようとしても、そっぽを向いて逃げていくようになった。
私が近くにいたら、すぐプレイルームに行くか、ほかの友達のところに行くか。
私のことを、分かりやすく避けるようになった。
私は、フリースクールでも、居場所をなくした。
フリースクールも、休むようになった。
フリースクールにも行けなくなると、母に「学校に行け」と言われる回数が多くなった。
毎日、そんな周りの声に一人で耐えて、明日がやって来ることに怯え続けた。
気付けばまた、笑えなくなっていた。




