一華と、出会えたことー
誰かに、腕を掴まれた。
―大丈夫。
そんな声が聞こえてきた気がして、私は後ろを振り返った。
秋ももう本番が近づいてきていて、外はひどく、肌寒かった。
私たちが商店街に着いた頃には薄暗かった空も、もう暗闇に呑まれている。
振り返った先には、一華がいた。
立ち止まってうずくまって、泣いていた私に、「大丈夫」って言った。
「大丈夫。奈穂は、今もずっと、闘ってるでしょ。逃げてもないし、ずるくもないんだよ。」
ずっと、一番欲しかった言葉だった。
―闘っている
その言葉一つで、私の全部が、救われた気がした。
「今まで一人で、よく頑張ったね。」
そう言って、一華は私の背中を優しく撫でてくれた。
「奈穂が今まで抱えてきた荷物、これからは私もいっしょに持つから…。
もう、一人じゃないから。」
そう言った一華も、泣いていた。
瞳にいっぱいに涙を溜めて、泣いていた。
「だから…、これからも、友達でいてくれる…?」
いつの間にか溢れ出して、止まらなくなっていた涙は、頬を伝って湿っぽい足元に落ちていった。
でも、その涙は、さっきとは違ってとても、優しくて、暖かかった。
「うん!もちろんだよ。」
ずっとずっと、一人だった。
真っ暗で心細い部屋の中で、ずっと一人、怯えていた。
どれだけ願ったとしても、ドラマみたいなヒーローは助けに来てくれなくて、
全部全部全部…、胸の奥にしまい込んだ。
怖いから、向き合う勇気が、ないから…。
もっと、強くなりたい。
そう願った。
例えこのまま前に進めなかったとしても―、
自分と、ちゃんと向き合える勇気を持ちたい、
そう、願った。
ずっと薄暗かった景色が、明るく見えたのはきっと、一華に出会ったからだ。
これからも一華といたい。
そう、思った。




