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天空の社

天空の杜 〜神使の狐はおにぎりを作る〜

作者: 大貞ハル

「天空の社 〜疲れたOLは狐っ娘とおにぎりを食べる〜」の別視点です。

そちらを読まないとたぶんなんだか分からないと思います。

その狐は神様の使いだった。

その昔五穀豊穣のために働いていた。


いつからか、人の姿に変わったが、その姿は少女の様だった。

実際の年齢は数百歳なので、所謂ロリババアと言うやつだろうか。

まあ、精神年齢はそれほど高くないのだが。


人が増え、村は街になり、田畑が無くなった。

それでも神社や祠は残されているところが多かったので、時折人の世界に遊びに来ていた。


気にかけていた家に女の子が生まれた。


その子供はあまり良くない「気」を纏っていて、身体が弱く、悪いものを呼び寄せ、そして他の人間と馴染めずにいた。

手のかかる子供ほど可愛いと言うやつだろうか。

狐は自分の出来る範囲でその子を助け、見守った。


子供の方も知ってか知らずか神社などにいる事が多かったため、手間はなかった。

どうやら絵を描くのが好きらしく、いつもスケッチブックを抱えていた。

変わった服を考えるのが好きな様で、狐が気にいるものもいくつかあった。




しばらくすると、その子供、と言っても学生になっていたが、は、その街を離れてしまった。

狐のテリトリーから出てしまったので、どこに行ったか分からなかった。


気が向いた時に少し遠くまで探しに行ったりもした。

何しろもう田畑がないこの街では本来のお勤めが出来ないのだ。

時間はいくらでもある。


盲点だったのは人間と時間の感覚が違った事だ。


次に見つけた時、その子の命は終わりかけていた。

自らの足で隠世に踏み込むまでになっていた。


一旦は送り返したものの、そもそも狐のお気に入り、神の世界の食べ物を与えればずっと一緒に居られるのだ。別に悪いことではないのではなかろうか、そう思って、再び訪れる時を待っていた。


その時は想像以上にすぐやってきたが、彼女はこう言ったのだった。


「良かったら、家くる?」


独り死の縁にあって、紡ぐ言葉がそれなのか。

慌ててこちらのご飯でおにぎりを作り、手渡した。

あらかじめ用意していたおにぎりは自分で食べた。


並んで食べたおにぎりは思いの外おいしかったが、彼女を見ると涙を流しながら食べていた。


それから彼女の家に足繁く通う。

おにぎりばかりでは良くないだろうと、料理を覚え、行ける範囲で買い物もした。

古くからのお店は神棚が置かれていて入れるのだ。


2人の生活は思いの外楽しく、彼女も健康を取り戻していた。

毎日一緒に食事が出来る様に早く帰ってきているが、返って仕事が捗る様になったから、以前よりもむしろ周りの評価は上がっていると笑っていた。


余暇にタブレットなる物で何かやっていた。スケッチブックの代わりらしい。

服、と言うか女の子の絵を書いて何やらやっている様だ。

昔取った杵柄だと笑った。


どうやら、それによってまた周りの評価を上げた様だった。

このままいくと、自分は不要になるのだろうと少し落ち込んでいると彼女が甘えてきた。

こちらが求めている事が分かるのだろうか。


相手とはこの機械越しでやりとりするくらいがちょうど良いのだと、一緒にいたいのは貴方だと、自分を置いていなくなったりしないでくれと、そう言って縋り付いてくれた。


頼りない小さな体が恨めしかったが、それすら気に入っていると言って頭を撫でてくれたので、こちらも撫で返した。




そして今日も私は仕事に出かける彼女のためにおにぎりを作る。




わりと蛇足。

もうちょっとこれ単体でも面白い感じにできたら良かったんだけど、思いつかないなぁ。

思いついてから書けと言う噂も…

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