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一章2『待ち合わせとデートへ』

既に家を出る時間を過ぎているのにも関わらず、未だ外出の準備が出来ていない……非常にまずい状態だ。


因みに今の俺の状況はこうだ。

・服は着替えている。自分で言うのはなんだがかなりお洒落な服装だと思う……お店の人がお似合いって言ったのだから違いない筈だ。

・髪は……ボサボサだ。言い訳をすると整える時間がなかったのだ。

・財布にはブラックカードを筆頭に各種カードと皆んな大好き諭吉さん十枚、便利な野口さん五枚、小銭は……ゼロ。


俺は髪の毛を整えてから行くのは諦めて、ワックスなど整えるのに必要な道具を手早く鞄に入れて家を出た。


俺が住んでいるのはタワーマンションの最上階。故にマンションを降りるさいにも、かなり時間がかかる。幸いにも直ぐにエレベーターがやってきていつもより早く降りる事が出来たが、駅に着く頃には既に乗りたかった電車が出発してしまいそうだ……


まぁあまり待つ事なく電車は次から次へとやって来るので問題はない……と思いたい。


うん……めでたく遅刻しました。遅刻って言っても五分未満だよ?大丈夫な筈……


青ガエルは存在せず、いつの間にか撤去されていたらしい。元々青ガエルがあった場所の前にも多くの人がいた。ハチ公前は……比べるまでもない程に大勢が待ち合わせしているようだ。


その中に一際目立つ女性がいた。黒髪を纏めてポーニーテールにして白色の露出が少なくフリルの付いた洋服、膝丈程の紺のスカート……清楚系かそうじゃないかと聞かれれば、俺なら自信を持って清楚系と即答する様なコーデだ。


清楚な服装な筈……俺の価値観は間違ってないよね?


俺がレンタルしたのは絶対あの女性だ。正直思っていた以上に可愛く、街中を歩いていれば道行く多くの人が振り返り見る程の容姿だ。


実際にデート中と思われる何人もの男が、彼女を見た途端に頬を緩ませずっと眺めている。勿論直ぐに彼女と思われる女性に頬を引っ張られて行った、


「すいません、お待たせしました。桃さんであってますか?」


俺が桃さんと思われる女性に声をかけると、周りの野郎共のみならず女性からも、厳しい視線が向けられた。


レンタル彼女なんだからそんな視線を向けないで欲しい……という程に冷たく、痛い視線だ。


「そうです、吉見桃(よしみ もも)と言います。貴方が秀麻さんですね?じゃあ本日はお願いしますね」


いけない、いけない。俺は一条の者なのにも関わらず、相手の笑顔が眩し過ぎて見惚れてしまった。(無心無心……彼女はレンタル彼女なんだから……惚れたらいけない)


ふと気がつくと、さんはキョトンとした顔をして此方を見ていた。こんな顔も可愛い……確かサイトの順位的にはそこまで人気がなかった筈なんだが、一位として載っていた女性よりも数倍可愛いと思う。


「あの〜無視されると困るのですが……」


「はっ、遅れてしまってすいません。一先ず移動しましょうか」


「私達は恋人だから敬語は禁止ね。秀麻くんこれから何処へ行くの?」


「敬語禁止ですか……分かった。此れから行くのはショッピングモールだ。新しい服が欲しいからな」


「ふ〜ん、その服いいセンスしてるね。カッコいいよ」


「ーーツ…あ、ありがとう」


笑顔で不意にカッコいいとかマジでやめてほしい……見惚れそうになったじゃないか!流石レンタル彼女というところだろう。相手に何を言えば喜ぶのかを的確に把握している。


「秀麻さんは服が好きなのかな?私は服は大好きだから選ぶの楽しみ!」


「嫌いじゃないな……でもあんまりセンス良くなくてさ、これも他の人に選んで貰ったやつだから……」


「そうなんだ!じゃあ私がちゃんと選ばないといけないんだ〜」


ももさんの不意に見せる笑顔はまるで、草原に咲く一輪の花の如く美しい。彼女の存在が正に俺一人の為にある様に錯覚してしまうほどに……


程なくして、俺達はショッピングモールに着いた。ショッピングモールは休日ということも相まってか、午前中にも関わらず人で溢れていた。子供の泣く声、あから様に疲れた様子でベンチに横たわる男性……流石にもう少し体力をつけた方が良いのではとツッコミたくなりそうだ。


俺達は程なくして、エレベーターの近く迄来ていた。勿論エレベーターで他の階に行くわけではない。俺達はエレベーターの前を通り過ぎ、トイレに繋がる道を進んだ。すると休憩所が設置されていて、ソファーに自販機が置いてあった。


「桃さん、少し容姿を整えてくるから、トイレ前のソファーで座って待っていてもらえる?」


「うん!分かったよ〜」


(取り敢えず髪型とか直さないとな……流石に寝癖MAXはマズいわ。さんの横に立てる様に最低限のことはしよう……)


俺は一人男子トイレへ入った。

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