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怒りのシャルロット

「遅くなったのじゃ!」


 突然として現れたウルリカ様。

 そばにはシャルロットが、グッタリと地面に転がっている。


 シャルロットを引き連れて、時空間魔法で転移してきたのだ。


「うえぇ……き……気持ち悪いですわ……」


 人生初の時空間魔法で、シャルロットはフラフラしている。

 突然の出来事に、エリザベスは声をあげて驚く。


「一体なんだ!? シャルロット? それにお前は……会議の時にいた少女か?」


 オニマルの刀を掴んだまま、ウルリカ様はクルリと振り向く。


「エリベススは無事じゃな。しかし、そちらの二人は怪我をしておるのか……」


 「エリベスス」と名前を間違われたエリザベス。

 しかし、そんなことを気にしている余裕はない。


「そうだ、酷い怪我なのだ! 二人は私を庇ってくれて……」


「ふむ、分かったのじゃ」


 コクリと頷いたウルリカ様。

 片手でオニマルの刀を受け止めたまま、もう片方の手をパッと広げる。


「──治癒魔法、デモン・ヒール──!」


 言葉と同時に、手の平から強烈な光が放たれる。

 温かで柔らかな光は、スカーレットとカイウスを包み込む。

 すると、二人の負っていた傷は、一瞬にして消え去ってしまう。


「スカーレット! カイウス! 凄い……今のは魔法なのか……?」


 すっかり傷の癒えた二人を、エリザベスは呆然と見つめている。

 そこへゆっくりと近づいていくシャルロット。


「お姉様……」


「シャルロット、どうしてここに──」


 次の瞬間、シャルロットは片手を振りあげて、思い切り振り下ろす。


「エリザベス! あなたは一体なにをしていますの!!」


「なっ!?」


 バチンッという音とともに、エリザベスの頬に衝撃が走る。


「あなたのせいで、ロームルス学園は酷い有様でしたのよ! もう少しで大変な被害を出すところでしたのよ! だと言うのにあなたは、こんな所でなにをしていますの!!」


 再び鳴り響く、バチンッという音。

 エリザベスの頬は真っ赤に腫れあがっていく。


「騎士団を放ったらかしにして! 勝手に突き進んで! 挙句の果てには部下に庇われて……民を守らずして、なにが王族ですの!!」


 三度も頬を叩かれて、エリザベスは膝をついて倒れてしまう。

 唖然とするエリザベスに、シャルロットはギュッと抱きつく。


「心配ばかりかけて……本当に……っ」


 ボロボロと零れ落ちてくる涙。


「お姉様も……スカーレットとカイウスも……生きていてよかったですわ……うぅ……」


 声をあげて涙を流すシャルロット。

 エリザベスはそっとシャルロットの頭をなでる。


「シャルロット……すまなかった……」


 ギュッと抱きしめあう姉妹。

 一方、ウルリカ様に刀を掴まれていたオニマルは、強引に刀を引き抜いて距離をとる。


 ガシャリと音を立て、上段に刀を構えるオニマル。

 その気配に気づき、エリザベスは慌てて立ちあがろうとする。


「しまった! 先に魔物を倒さなければ!」


「ここは妾の出番なのじゃ、お主はゆっくり休んでおるのじゃ」


「バカなことを言うな! お前のような少女が、たった一人で勝てるわけないだろう!!」


 剣を拾おうとするエリザベス、その手をシャルロットはそっとおさえる。


「心配いりませんわ、なぜならウルリカは──」


 笑顔のシャルロットは、ウルリカ様の小さな背中を見つめている。


「最強の魔王様ですもの!」


「うむ! 任せておくのじゃ!!」


 ニッコリと頼れる笑顔を浮かべて、全身から魔力を迸らせるウルリカ様。


 そして、ウルリカ様とオニマルの戦いが幕を開ける。

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