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魔王と国王

「学校とは一体どういうことなのだ?」


「わけが分からん、誰か説明してくれ!」


 混乱する貴族達。


「学校? こんな得体の知れない者がいけるわけないだろう……」


 貴族の一人がポツリと漏らした言葉。

 その言葉に、ウルリカ様が敏感に反応する。


「もしやダメなのか? それは残念じゃ……学校にいけないのならば、この世界を滅ぼそうかのう……」


 ウルリカ様の物騒な言葉に、ますます混乱する貴族達。


「世界を滅ぼす? そんなこと出来るわけがない!」


「しかし伝説に出てくる魔王ならば、世界を滅ぼすくらい……」


「魔王などおとぎ話に決まっている!」


 緊張感に包まれる謁見の間。

 そんな中、突然大きな笑い声が響く。


「ハッハッハッ! 学校? 魔王が学校にいきたいのか?」


 腹を抱えて笑いだすゼノン王。

 玉座から立ち上がると、堂々とした態度でウルリカ様の前まで進む。


「なんじゃ? お主は妾が怖くないのか?」


「怖い? むしろ面白いではないか、本物の魔王ならばなおさら面白い!」


「そうか! 面白いか!!」


「ああ、面白いぞ! ハッハッハッ!」


「そうかそうか! はっはっはっ!!」


 ウルリカ様とゼノン王、そろって笑い声を上げる二人。

 そんな二人の様子に、大臣達はポカンと呆けてしまう。

 しばらくして笑いの収まったゼノン王は、ウルリカ様に質問する。


「ウルリカといったな? お前は本当に魔王なのか?」


「そうじゃ、千年前から魔界を支配しておる」


「どうやってこの国にきた?」


「時空間魔法で世界を飛び越えたのじゃ」


「なぜ学校にいきたい?」


「魔界からお主の国の学校を覗いたら、とても楽しそうに見えたのじゃ! 妾も学校にいってみたくなってのう、そして友達をつくりたいのじゃ」


「なるほど、流石は魔王! 考えることもやることもブッ飛んでいるな!!」


 ウルリカ様の話を聞いて、大きく頷くゼノン王。


「よし、お前が学校にいくことを認めよう!」


 ゼノン王の唐突な決断に、貴族達が慌てて止めに入る。


「いけません陛下!」


「どうかお考え直し下さい!!」


「黙れ、騒いでいるだけの無能共が!」


「ぐうぅ……」


 ゼノン王の厳しい言葉に、ぐうの音も出せずに黙り込む貴族達。

 静かになった謁見の間で、ウルリカ様とゼノン王は再び向かい合う。


「さてウルリカよ、こちらからも一つ頼みがあるのだが」


「頼み? なんじゃ?」


「俺と友達になってくれないか? 俺の名はゼノン・ファン・ルイス・ロムルス、この国の国王だ」


「友達か! それは嬉しいのう! では今日からゼノンは妾の友達じゃ!!」


「ああ、よろしく頼むぞウルリカ」


 貴族達が絶句する中、固く握手を交わすウルリカ様とゼノン王。


「では、ちょうど二日後に入学試験が執り行われる、心してかかるように!」


「うむ! ……ん? 入学試験? なんじゃそれは、聞いておらぬぞ!?」


「学校にいきたいなら試験を受ける必要がある、当然だろう?」


 慌てるウルリカ様を見て、ニヤニヤと笑うゼノン王。


「安心しろ、学校のことを知っている者を世話係につける。頑張るのだぞ、わが友ウルリカよ」


「ぐぬぬ……当然なのじゃ!」


 こうして、入学試験を受けることになったウルリカ様。

 入学への道のりは長い。

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