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これは、今からちょっと前の話。
神原心珀、14歳。
私の彼氏は不登校(本当は保健室登校)、マスク依存、精神不安定。だけど優しくて、ピアノが得意で割とイケメンで頭がいい。
「優雨の家ってピアノあるんだよね?どんなの?」
「ペトロフのグランドピアノ、白いやつ…あと、KAWAIのアップライト…猫脚でデザインが良い。あとは、ピアノじゃないけど、エラールのハープとか。」
予想以上。いや、凄いよ本当。
「ハープも弾くの?」
「いや、俺は流石に弾けないよ…。母さんが弾いてたやつなんだ。」
「ふーん…。」
「何?」
「いや、ペトロフの白ピアノなんて可愛いなーと思って。」
「かっ、母さんの趣味!」
「それ弾いてるところふつうに見たいんだけどw」
「っ…。良いけど…。」
という訳で後日、優雨の家に遊びに行った。
お父さんは、遅くまで仕事で帰らないらしい。
いつもそんな時間まで1人なんだろうか…。
「おお〜、凄いね!」
ペトロフの例のグランドピアノを真ん中に、左の壁に猫脚のアップライト、右端にハープ、それから、別の部屋に電子ピアノもあった。
個人的には、アップライトの上に乗ってるグランドピアノ型のオルゴールもかわいいと思う。
「何弾けばいい?」
ペトロフに腰掛けながら、優雨は言った。
「んー、ショパンとか?」
とてきとうに返すと、
「ざっくりしすぎ」
と笑って、弾き始めた。
ショパン…の
「別れの曲?」
「そう。」
流れるように、柔らかい旋律。
「ゆうのピアノ…凄く好き。」
「え?」
「何でもない!」
〜♪
優雨の指…。
細くて長い、とても綺麗。
肌も、男子なのに白いからより一層綺麗に見える。
なんて思いながら、鍵盤を見つめていると、演奏の途中で音が止まった。
さっきまで滑らかに鍵盤を滑っていた優雨の手は…
…震えていた。
分かってる。知ってるよ。
その理由。
「交代。次は心珀の番。」
そう言って、手を握りしめている優雨。
「分かった。じゃあ私もショパンにしよーっと!」
私も、気丈に振る舞った。
本当はもっと、優雨の事心配して、色々してあげたかったけど…
そんなに簡単にはいかない。
人の家の事情にズカズカ乗り込むわけにもいかない。
だからせめてもの振る舞いだった。
優雨が…明るくなれるように。
そう願って、ペトロフの白いグランドピアノに腰掛け、弾き始めた。
たまたま、アップライトの譜面台に置かれていた、『ノクターン』を。
ハープが出てきましたが、私はハープは見たことも弾いたこともありません。
アンパンマンの『うきぐも城のひみつ』という映画でハープが出てきて、いつか機会があれば弾いてみたいなと思っています!
ノクターンですが、私が好きなのはノクターン2番です!今回もそのつもりで書きましたが、ご想像にお任せします(^^)
ペトロフのピアノが気になる方は、ペトロフの白ピアノ、で画像検索すればピアノ出てくると思います!
私もこんなピアノで弾いてみたいっ!