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雨音の旋律  作者: rit.
2/8

♯1

「えっ!つゆり彼氏と別れたの?!」


彼氏、というのは、学年1女子人気の高い桧山優雨のこと。


つゆり自身も男子人気の高い女子ランキング1位である為、このカップルはある意味最強だった。


それが、最近別れたという噂が漂っていた。


当の栗花落は、


「別れたっていうか、そもそも付き合ってるっていうのがデマっていうか?部活一緒なだけで付き合ってると思ったの誰まぢ。」


と大笑いしている。


「そりゃだって、男子1人だけで調理部なんて彼女でも居ないと普通入らんっしょ!」


取り巻きたちもそう言って騒ぎ立てている。


一方桧山の方も、


「付き合ってないよ。」


と少々めんどくさそうに言う。


どういう事かと問いただすと、訳あって無理やり栗花落と同じ部活に入部させられ、言う通りにさせられていたとか。


ところで、何故私がこの2人の事を探っているのかというと、ある人に頼まれたからだ。

それも、半ば強制的に。


というのも、ある理由でその頼みを断れなくなったのだ。


ある理由、それは、私が桧山の中学時代の元カノだという事。


そして、私にお願いをしてきたある人こそ、その事を唯一知っている桜河れいである。


れいは桧山の幼なじみなのだが、小1の頃、親の転勤でしばらく都会に出ていて、最近帰ってきたという。


運がいいのか悪いのか、まさか桧山の幼馴染とは知らずに、れいと仲良くなってしまった。


れいに桧山と付き合っていたことを話したのも、単なる話の流れだった。


そして、れいの桧山に対する想いも知ってしまった。


でもこれは、完全に片思いだ。


話を戻すが、こんな訳で私はれいの言う通りに、桧山に事情を聴くこと…をしている。


クラスでもパッとしない私が桧山の元カノでした…なんてバラされでもしたら、今後の高校生活に支障が出るからだ。


「久しぶりだね。心珀。」


「うん…高校、一緒なのにね。」


本当は私が関わりたくなくて話しかけなかった…なんて言えない。


以前、れいにこんなことを聞かれたことがあった。


「こっちゃんさぁ、ゆうくんのことまだ好きなの?」


「私は…。ううん、好きじゃないよ。」


大嘘だ。私は、まだ…。


けど、今更そんなこと言って迷惑かけたらもっと嫌だから。


だから私は桧山と距離をとった。


近づけばきっと、気持ちを隠しておけないから。


それなのに…。


「ごめん、もう行くね。」


「心珀っ…嬉しかった…話してくれて。その…嫌われたと思ってたから。」


「嫌ってなんか…ないよ。」


それだけ言って、私は逃げるようにその場から去った。


れいは、ここまでして何がしたいのか。


いや、それはもうわかってる。


要は桧山とつゆりが付き合っているのかいないのか問題。


この真実を知りたがっている人は、おそらくれい以外にも山ほどいる。


最も、私には関係ない話だ。


もう私と桧山の間には…何も無いんだから。

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