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068 幼女の撮影会

 絶対幼女領域・ろりぃたぱみゅぱみゅ。

 略してろりぱみゅ。



 ……。

 …………。



 ろりぱみゅのSNSのつぶやき(1/4)。


「今日は幼女株式会社の『瀬古いのり社長』にご来店いただきました。幼女カフェの利用は初めてとのことです。お店の特等席にご案内しました。壁には看板タイトル『幼女コレクション』の一周年記念ポスターを飾っています」



 ろりぱみゅのSNSのつぶやき(2/4)。


「こちらは超常連客の『ゆりお嬢さま』です。暗黒天使(?)をモチーフにした服装をしています。幼女株式会社を陰から牛耳っている青い眼をした幼女さんです。この可愛さなら秋葉原の街も牛耳れる⁉︎」



 ろりぱみゅのSNSのつぶやき(3/4)。


「当店自慢のミルクチョコレートキャラメルラテ。甘さなら最強クラス。もっとも糖度の高い激甘メニューです。ALLトッピングした完成形はラテというよりケーキですね」



 ろりぱみゅのSNSのつぶやき(4/4)。


「記念の幼コレ対戦をするいのり社長とオーナーのカヲリさん。どちらも幼コレの超一流プレイヤーです。負けた方には恥ずかしい罰ゲームがある?? その対戦結果は……」



 SNSに次々と投稿される社長とカヲリさんの写真。

 このふたりを近くで観察していると、なんか俺まで有名人になったような錯覚がしてきた。



        ※        ※



 先ほどまで社長が腰かけていた席を見つめた。

 そこには折り畳まれたジャケットが置かれている。


 当の本人はいまお着替え中だ。

 もちろん罰ゲームを遂行するためである。


 だから姫井が反対したのに……。

 後悔しても遅いだろう。


「待たせたね……。渡された衣装を着てみたけれど……。変じゃない……かな?」


 お店のバックヤードから社長が出てきた。

 そしてカヲリさんの前でくるりと一回転した。


「おぉ!」


 俺は感嘆の声を漏らしてしまう。


 これはお店が用意したメイドドレス。

 つまりカヲリさんとペアルックなのである。


「ねえ、姫ちゃん。ちょっと確認なんだけれども……」

「はい、何でしょうか? あとメイドドレスが大変似合っておりますよ」

「ありがとう。とても可愛いドレスだよね。サイズも私にぴったりだし……。じゃなくて罰ゲームの内容……」


 社長が恥ずかしそうに体をモジモジさせる。

 そしてショーツがチラ見えしそうな短いスカート丈を手で押さえた。


 もちろん下半身に履いているのはニーソックスとメイド靴だ。

 フリルのついたヘッドドレスも可愛らしい。


 瀬古いのりのメイドさんバージョンである。

 これがかなり似合っている。


 何といっても注目は『絶対領域』だろう。

 黒と黒の隙間からのぞく肌の白色がまぶしすぎる。

 神宮寺の専売特許みたいになっているが、社長のそれは非常にレアであるぶん、希少価値が高いともいえる。


 あとスーツ姿のツインテールも悪くなかったが、やっぱりメイド姿の方が破壊力は増し増しとなっている。


 このまま神田のオフィスまで連れて帰りたい。

 そして道行く人々に見せつけたい。

 それくらいの可愛さなのだ。


 社長の隣にいるカヲリさんが、むふふ、と意味ありげに含み笑いをした。


 念願だった幼コレ対決が実現してご満悦といった様子である。

 そしてこれから有名幼女によるツーショット撮影にのぞむべく髪型を整えている。


「幼コレ対決! 一勝一敗だったよね! 完全に互角だったよね! だからお互いに一回ずつ罰ゲームだよね! 一回ずつ相手のリクエストを飲むという認識で合っているよね!」

「そうです。社長が先勝したので、まずは僕たちに命令権があります。そこで社長とカヲリさんのラブラブシーンを撮影します。カヲリさんにはまあまあ恥ずかしいポーズを決めてもらいます」

「カヲリちゃんはいいよ! いつもメイド姿だから! なんで私までメイド姿なの! むしろ私の方が恥ずかしいんだけれど! これってむしろ私の罰ゲームになってない⁉︎ というかカヲリちゃんは全然恥ずかしくないよね⁉︎」


 姫井は三秒ばかり考え込む。

 そして社長が喜びそうなことを口にした。


「冷静に考えてみてください。社長のメイド姿が人気になる。すると生で観賞したいという人が現れるでしょう。それこそ幼コレカフェの潜在顧客なのです。いずれカフェに出資するという話をしましたが、戦いはすでに始まっているのです。これはそのための布石です。いわば前準備なのです」

「う〜ん、なんか騙されているような気もするけれども……。そうか。布石か。すでに前哨戦は始まっているんだね」

「さっさと撮影しましょう。お店の正式なオープン時間までに僕たちが退散しないと、カヲリさんにも迷惑がかかりますし」

「それもそうだね」


 まずは一枚目。

 姫井からの指示はシンプルだった。


 二人の手でハート型をつくる。

 そしてお互いの肩をぎゅっと抱きしめるというポーズ。


 これは若年のカップルがやるやつだ。

 たまにSNSで見かけるが、いざ実践するとかなり恥ずかしい。


 社長とカヲリさんが肩をぴったりと密着させた。


 どこか落ち着きのない社長。

 ノリノリのカヲリさんとは対照的といえる。

 これがIT屋のトップと喫茶屋のトップの差であろうか。


 撮影のためお互いの指先をリンクさせる。

 そして空間に可愛いハート型をつくる。


「いのりちゃん、なんかハート型が崩れてるで」

「あれ? こうかな? カメラの位置があっちだから……」

「そうそう。ええ調子や」


 ぱしゃり。

 これで一枚目は撮影完了。


 ちょっと照れている社長も可愛いな。

 繰り返しになるが幼コレ対戦は一勝一敗。

 これはカヲリさんに対する罰ゲームである。


「では次の構図ですが……」

「姫ちゃん! ちょっと待った! メイド服で何枚撮影するの⁉︎」

「三枚の予定です。さっきのは序の口です。肩慣らしです。これから過激になります」

「うっ……」


 社長が渋面をつくった。

 そして俺に救いを求めるような視線を向けてくる。


「社長のメイド姿、とっても似合っていますよ」

「そう……かな。変じゃない? いつもフォーマルなスーツ姿だから違和感が強くて……」


 社長がツインテールを指先でクルクルさせながらいう。


「いやいや! 俺の超好みですから! 絶対に似合っていますから! 自信を持ってください!」

「マサくんがいうのなら……頑張ってみる!」

「その意気です!」


 俺がガッツポーズをつくると、社長もそっくり返してくれた。


 迫っているオープン時間が気になる。

 ここに一般客が混ざってくるのはマズいから。


「次は二枚目です。二人で顎クイをお願いします」


 姫井が指を二本立てながらいう。


「どっちがどっちにするの⁉︎ てか顎クイとか初体験なのですが⁉︎」


 ちょっとテンパる社長。

 その頭をカヲリさんが優しくナデナデしてあげた。


「まあ、落ち着きや。表情がかたいと写真映りも悪くなるで」

「うぅ……まぁ……」


 姫井の要求というのは互いが互いに顎クイをするシーンらしい。

 なんでも『気高い幼女の対決』という構図にしたいそうだ。


 その指示に唯々諾々と従う社長たち。

 互いに見つめ合うぶん、さっきのハート型よりも恥ずかしそうだ。


 さすがのカヲリさんも照れを隠しきれていない。

 社長の顔だって真っ赤になっている。


 これは百合本の表紙を飾れるレベルじゃないか。

 そのくらいの激甘ポーズである。


「姫ちゃん、シャッターはまだかな?」

「もう少し距離を詰めてください」

「ひえぇ……攻めるなあ……」

「はぅ……永遠にこの構図でいてほしい」

「いやいや! これはさすがに過激すぎるよね!」


 ぱしゃり。

 これで二枚目も撮影完了。

 顎クイから解放された二人は少し呼吸を乱している。


「幼女同士でもこれは恥ずかしいね。うちだって初体験やわ。しかも相手が社長さんやし。ゆりちゃん、要求レベルが高いわ。えぐいことを考えるわ」


 カヲリさんが頬をポリポリと掻きながらいう。


「カヲリちゃんはいいよ。私なんてメイド姿ってだけで恥ずかしいもん」

「そやね。うちはポーズだけやから。いのりちゃんは服装&ポーズやもんね。このぶんやと三枚目はもっと過激になるで」

「はぅ……まだ一枚あるのか……」


 社長ががっくりと肩を落とす。


「まあまあ。俳優さんになったつもりで演じるしかないな。いまは我慢や」


 その手を握ってあげたのもカヲリさんだ。

 くどいようだが、これはカヲリさんに対する罰ゲームである。


「次は三枚目です。互いに抱き合ってキスシーンをお願いします。本物の恋人になったつもりで。本気でラブラブしてください。これが最後です」


 姫井が指を三本立てながらいう。


「キスだって‼︎」

「キスかい‼︎」

 

 社長とカヲリさんの声が重なった。

 なんとも大胆なキス指令。

 これには俺も耳を疑った。

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