砂漠攻略 舞う砂に煙る紫煙
「マスターは何か武道とか、格闘技系スポーツの心得は?」
「知識はあるが記憶も心得もないな」
「使えなっ!ホント何しに来たの!」
お供にここまで言われ続ける主人もそうそういないだろうな
「剣は振り下ろす。槍は突く。薙刀は薙ぐ。弓は押す。銃は撃つ。くらいの知識はあるぞ!」
剣に関してはそうなんじゃないのか?って位だけどもね
「そんな実物を見れば誰でもわかりそうなものを、そうどや顔で言われてもね…
マスター、僕の後ろに下がって。マップに反応があった、近いよ!」
すごく異世界感。
「さっきの説明からして、武器は振るえるってことだよね。だったら話は簡単。
援護、サポートは勝手にやるからマスターには僕を纏って戦ってほしい」
話がトントン拍子で進んでいるから、みんなを含め俺も理解ができませんね、はい。
「纏って何だ?お前に取り込まれるような感じなのか?」
「取り込みもしないし、食べもしないよ
そのままの意味さ、僕が武具として、防具として変形する。それを使って戦ってほしいのさ」
取り込まれたらどうしようかと思っていたが、どうやらそう言うことはないらしい。
スライムが変形する
↓
それを使って戦う
って流れか…ふむふむ、なるほどー
肉体労働は俺が担当ってことか
まあ、一つ異世界らしく盛り上がっていこうか!
「マスター、来るよ!
最初はこれでも構えてて!」
相変わらず雑だな…
小言もそこまでにし、スライムから渡されたのは片手でも使えるサイズの剣と盾。俗に言う片手剣スタイルだ。
「来たよ、マスター!」
地響きと共に砂中から現れ、雄叫びをあげる
『ティントゥントゥンティントゥントゥン』
現れたのは目が退化し、細く潰れたような目を持ち、口には鋭くとがった牙を並べた顔。しなやかな蒼色の鱗を持ち、鋭い爪を持つ2本の腕。
翼と足は無く胴体は蛇のような肉体をしていた。
「だぁぁかぁぁらぁぁ音ぉぉぉおおおおおおお!!!!!!」
登場音なのか鳴き声なのか分からないけど音からして鳴き声で無いでほしい!
「極々一部の人にしか伝わらないような雄叫びをあげてんじゃねぇぇぇぇええええええ!!!!!」
シャウトしながら無我夢中で突撃をしかける
「ば、バッカ!止まれマスター!」
俺の突撃に対し読んでました、と言わんばかりに咆哮で迎え撃つ。
「なぁめるなぁぁぁぁぁあああああ」
咆哮が到達する前に、ジャンプで交わし盾で上から頭に叩き付ける
「ダメだ、マスター下がってくれ!」
スライムの声と共に、武器が溶けだし俺の口と鼻を覆いだした。
その直後、咆哮により変化した地面から紫色煙が沸きだした
(毒か…砂竜なんてよく言うぜ)
武器もなく、スライムのマスクもいつまで使えるのかわからないのでスライムの元へ戻る
「バカマスター!戦闘能力も無いくせに勝手に飛び出すんじゃないよ!
あの砂竜は僕が殺る。マスターを狙ったのは許せない…生まれたことを後悔させてやる」
え、スライムってこんなキャラだったの?
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砂竜 シュノロス
別名 毒竜
体長 最大50m最小10m
スキル 毒咆哮、毒爪
毒抜きに成功した肉は栄養価が高く、毒袋は漢方薬として高価で取引されている。