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全生物進化計画

作者: C・トベルト

~全生物進化計画~


 ある科学者が唱えた全生物進化計画は、世界を大きく変えた。


「我々人類は楽をしたいが為に木を切り、町を作り、沢山の消費物を開発し続けた。

 しかしその裏で幾重もの生物や自然が消えていく事に対しあまりに無関心な事か。

 故にこれからは他の生物達もまた彼等の世界を作り上げるのが、この地球を更なるステージに発展させる近道なのだ」


 その言葉は動物愛護団体だけでなく、多くの発展途上国や民族を動かした。

 獣と共に生きる彼等にとってはそれはすはらしい言葉に聞こえたのだ。

 そして、先進国も人材不足や資源不足に悩んでいた為生物を進化させる事は結果的に我々の手助けになると考え、

 彼等もまた賛同した。

結果として、カース&キュアー博士の提唱した全生物進化計画は形を得て動き出した。


 博士の考えによれば生物の短所となる部分を切り捨て、長所となる部分を成長させれば彼等は更に進化させられるらしい。

 しかしそれでは自然界のバランスを大きく崩す要因になってしまう。

 生物は沢山のサイクルに組み込まれて生きているからこそ、今日まで生き続ける事が出来たのだ。

 ならばサイクル自体を大きくすれば、多少生物を進化させてもすぐ修正できるのではないか。


 そう考えた博士はまず賛同した国の家それぞれにペットを飼わせる事を義務付けさせた。

 人々が育てる楽しみ、別れる哀しみ、命の重みを深く感じられ始めた頃に博士は政府に自然を大切にするだけでなく、自然を育てる施設を造り上げた。

 施設で畑や、水田だけでなく人工林の種や腐葉土を大量に生産する事で、様々な自然を取り戻す手伝いをしたり、焼林による環境破壊を早期修復する手助けをした。

 ここまでやって、ようやく自然が育ち始めた頃に博士は生物を進化する計画に乗り出した。

 昔、進化の為に短所を捨てる不要説を裏付ける為に尻尾を切った鼠を二十二代育てたが鼠の尻尾は短くならなかった事から、不要説は批判の的にもされてきた為最初に提唱された学説を科学に生かす事は出来なかった。

 だが博士は特別な環境で生き続けた動物の遺伝子をでそれをクリアしていこうと思った。

 沢山の山を進み、荷物を運ぶ牛の遺伝子を山羊に組み込ませた所、その山羊もまた牛のように思い荷物を幾つも運べるようになった。

 こうして他者の動物が遺伝子に刻んだ生き方を他の動物に分け与える事で生物を育てさせる計画はようやく、始まりの地点に立てたのだ。


 それから、三百年の月日が流れた。


 生物達は少しずつ進化し、レッドリストから少しずつ動物の名前が消えていった。

 今や山の荷物を運ぶのは鼠の役割であり、盲導犬は人語を話したり、猿は電子機器を操れるようになり、豚や牛は更に食べられる部位が増えるようになり様々な生物の肉が食料店で並ぶようになった。それに伴い経済が発展し、世界は新しい時代を感じなから動物達と共に平和に生きるようになったのだ。


P.S 最も、これは『全人類が計画に協力的になり動物達の実験が全て上手くいった場合に進める未来の形』であり、全人類がバラバラで自分が一番だと信じきってる上に自然を好き勝手破壊している今では、数千年先になってもこの計画が上手くいく事はないだろう。


Mrs.カース&キュアーより

 

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