1.勇者なりません!
この作品を読もうとクリックしていただきありがとうございます。
こちらの作品は素人が僕でも小説書けるんじゃないかな~っと軽い気持ちで書いた作品になります。
最初は適当にちょろちょろ~…っと書いていこうと思ったのですが
やるなら皆様にも楽しめる、先が気になるような作品にしていき、
自分のスキルアップもしていける様にしたいので
お手数ですが、もしこの単語の意味違くない?とか
この漢字間違ってるよ~っ!とか
ここちょっとわかりにくいかな?と思った部分がございましたら
一声かけてくれると嬉しいです!。てか感激です(涙)
皆様を楽しめる様な作品になるかはわかりませんが
自分の考えた世界を皆様に見ていただけると大変うれしく思います!
それではごゆっくりどうぞm(__)m
「勇者」
誰もが憧れたことがあると思う。
魔物をバッタバッタとなぎ倒していくその背中は
頼もしく人々を魔物の恐怖から遠ざけ、誰が見てもかっこよく見える。
僕もその背中に憧れた一人だ。
しかも勇者の血筋を引いている僕。
勇者に最も相応しい器だと自負していた。
...がこの世界はそう上手くは事が運ばない。
だって...だってその勇者は...
僕の姉さんだからっ!
その昔、人々の心は清く
誰もが皆、平等に助け合いながら暮らしていた。
そんなとき一人の心の中に闇が生まれた。
その者は周りにいる人々に害を与え、自分の欲望に忠実になった。
「なぜ私は産まれたのか?」
「私は皆の様に協力しあわなければならぬのか」
その者は自分の為だけに生きるようになった。
その者は魔物を作り出し
人から物を奪い、抵抗する者は容赦なく殺された。
この時代の人々は人が人を殺めるという行為をするはずもなかった。
それを受け、
憎しみを覚えた者。
自分の欲望に忠実になり、心に闇を持った者。
「そんな中、立ち上がったのが我々の先祖クウガ様じゃ。
勇者の誕生という訳じゃのう。
それから...」
「もーいい!それ何回も聞いたよっ!!」
じいやの話はいつも長くて難しい、これを聞いていると
何時間も語り続けてしまうので早めに止めておくことにした。
「あー...そうだったかのぅ。
歳が重なる度、物忘れが激しくて敵わんわい」
じいやは自分の肩をぽんぽんと叩きながらそう呟いた。
「ん?それで今日は何のようじゃ。
話があるから来たんじゃろ?」
じいやはこういう所で勘が鋭い。
今まで僕が隠し事をしているとすぐに見破られる。
「え...と、その...」
うまく口に出せない。
今日僕はこの事だけは絶対に言う!そう決めていたのに...。
「んー?なんじゃい。言いにくいことなのか?」
「え...とね、その...」
言う、言うぞ。
僕は心に決めたんだ。
「ぼ...僕も勇者になりたいっ!」
じいやの顔を見ようとすると、
じいやは地面に転がっていた。
ビックリして転がっているのではない。
笑い転げているのだ。
「ぷっはははは、タツヤが?
無理じゃ、無理無理!!」
腹を抱え、地面に転がり
ひーひー...と笑いが有頂天に達しているのが見てわかる。
それを見ている僕はだんだん腹が立ってきた。
「なんでなんだよっ!
姉さんは勇者じゃないか!
僕だって血筋的にもなれるはずじゃないか!!」
笑い転げていたじいやがむくっと立ち上がった。
瞳からは涙が溢れている。
当然、笑い涙だ。
「そうじゃのぅ...
どうしてタツヤが勇者になれないのかはのぅ...ぷふぅっ...」
笑いを堪えながら喋っているので所々笑っているじいやにイライラするが、
そこをじっと堪える。
姉さんにあって僕にないものがわかる。
「タツヤは戦闘向きじゃないんじゃよ」
戦闘向きではない?
僕には言っている意味がわからなかった。
「わしはな、一目見るとその人の能力値がわかってしまうんじゃ」
笑っていたじいやが少し悲しい目で僕を見ている。
「じゃ...じゃあ僕の能力値は戦闘向きじゃないってこと...?」
「そういうことじゃ」
納得できなかった。
じいやの言うことにではない。
そうなんじゃないか?と思ってしまった自分にだ。
「じゃあ!僕と姉さんの能力値はどう違うっていうのさ!」
少しキレ気味にじいやに当たってしまった。
「ふぅ...今からタツヤにもわかるよう紙に写してやるから待っとれぃ」
すると引き出しの中から一枚の紙を取り出した。
「ここに手をかざしてみぃ。
それでお前の能力値を自分で見る事ができる」
心臓がバクバク鳴っている。
これで自分の能力値がわかってしまう。
恐る恐る手を伸ばしその紙にかざした。
すると白紙だった紙から黒い文字がパッと浮かび上がった。
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タツヤ 能力値 F~Sランク
体力F 筋力F 魔力F
総合評価 F
もう少し頑張りましょう
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僕は目を疑った。
さすがに自分がこんなに酷い評価を受けるとは思っていなかったのだ。
「こんな評価受けるのを見るのはタツヤが初めてじゃわい」
じいやの声が耳に入らなかった。
こんな能力値じゃ勇者どころか戦士にもなれない。
「戦闘向きではない」
その言葉が僕の胸に突き刺さる。
「じゃが...タツヤ。
お前にも才能があることだけはわかる」
じいやの顔を見るとこれまでになく真剣だった。
やっぱり僕は勇者の血を引く一人なんだ!
「ほ、ほんとう!?
僕にはなんの才能があるの?
なんだろう?剣術の才能かな?それとも弓とか槍とかを
使いこなせる才能なのかな?」
「知りたいか...?」
じいやの目は真剣だ。
僕はごくりと唾を飲み込み
うなずいた。
「家事全般」
「え...」
素直にその言葉を受け入れられなかった。
火事全般ってなに?
火事全般ってことは火を扱うエキスパートに
なれるってこと?。
「料理に裁縫...すごいのぅ!
家事に関してはオールSじゃ」
「そんな能力いらないよ!」
「バカ言うんじゃない!
この能力が欲しくても手に入れられない者だっておるのじゃぞ!
主に主婦の方々がのぅ。」
「まぁ、タツヤは姉さんと
違って能力が真反対じゃからのう...」
その言葉を聞き僕は姉さんの能力を知りたくなった。
「姉さんの能力値はどれくらいなの?」
弟として気になったのもあるがやっぱり勇者になれた姉さんの能力値が気になった。
「あの子はちと特別じゃからのぅ。
昔タツヤと同じく能力値を測った紙が残ってるから
ちょい待っとれぃ」
そう言うとじいやは大事そうに飾っている額縁を
取り僕に見せた。
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ヒトミ 能力値 F~S
体力S 筋力S 魔力S
総合評価S
文句なしです。
てかお前チートじゃね?
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確かに僕の能力とは真反対であることが一目でわかった。
予想はしていたがここまでの差があるとは...
わが姉ながら恐ろしい能力値だ。
「まぁ、あの子はクウガ様の生まれ変わりとも言われた子じゃからのぅ。
ここまでの差があるのも無理はないじゃろ」
クウガ様の生まれ変わり?
ここまでの差?
僕だってクウガ様の血を引いているのに...
なんで姉さんだけ...
そう思うと思うほどに自分の情けなさに苛ついた。
「じゃがのぅ、わしはお前の
能力値のほうがずっと素晴らしいと思うぞ」
「な、なにいってんだよ!
僕は誉められる能力値じゃないだろ。
逆に蔑まれる能力値じゃないか!」
じいやの唐突な言葉に僕は困惑した。
素晴らしい?総合評価Fの僕が?
「なに言っとるんじゃ、
その能力値はな、平和の象徴なんじゃよ。
わしがいつも話していたように昔、人が心に闇を背負う前は
タツヤの様な能力値の人ばかりだったんじゃないかと考えておる」
じいやの言葉は嘘偽りはなく
本気で言っていることなのだと理解できた。
じいやは僕の目をしっかり見て話しかけてくれた。
「今の人達は闇と戦う為なのか変化していった。
もちろんそれは悪いことではない、仕方がないことだったんじゃ。
そのせいか、わしが生きてきて能力を見てきた中で
タツヤの様な能力値を持ったものはおらんかった... 。
でもわしはタツヤの能力を一目見て思ったよ。
あぁ、まだ清い心を持った者がいてくれたんじゃな...と」
「...でも僕は勇者の血を引いているんだよ?
姉さんは3年前、魔物と戦う為に旅に出た。
それなのに僕は戦いもせずにじっと指をくわえてろって言うの?」
僕は涙が出そうになった。
自分の能力のなさもあるが姉さんは女性なのに戦って
僕は何もできていないこと。
そしてじいやに優しくされて納得していることに。
「戦わなくてよい...
タツヤはこの村、いやこの世界の中で最も清い心の持ち主かもしれぬ。
勇者の血を引いている?そんなの関係ないんじゃよ。
魔物のとの戦いは勇者の義務、タツヤは幸せになることが義務じゃ、よいな?」
僕は気づいたら涙が溢れていた。
「勇者になんてなるもんじゃない、
勇者は皆から尊敬されるが、
わしはお前の姉さんも勇者と認めたくはなかった」
「え、なんで?あれだけの能力の持ち主なのに?」
僕は疑問に思った。
誰よりも優秀な能力値、
クウガ様の生まれ変わりと呼ばれた姉を勇者と認めたくない?
じいやの言ってる意味が理解できなかった。
「お前の姉さんヒトミはな、
それは健気な女の子じゃったんじゃよ。
少し男勝りな部分もあったがタツヤの姉さんじゃ、
誰よりも優しく誰よりも元気じゃった」
知ってる...
そんなこと全部知ってる
僕の姉さんなんだから。
僕が同い年の子にいじめられているときも助けてくれた。
全く知らない人でも助けてしまう性格、
闇があるなら姉さんは善という言葉が最も似合うような人だった。
「そんな彼女は能力値が高く、勇者の血を引いている。
それだけの理由で彼女は周りの人々に新たな勇者と崇められ
彼女の平穏はなくなってしまったんじゃよ」
その言葉を聞いたとき僕の中の勇者への憧れは少し改められた。
じいやの真剣な眼差し。
それほど悲しいことなのか、瞼には少し涙が溢れている。
「今はどうしているのか、
魔物達との戦いの中にいて安全ということは絶対にない。
わしは勇者だったクウガ様を心から尊敬しておる。
じゃが...ヒトミにとって勇者という立場は血縁上の呪いだと思っておる」
じいやがあれほど尊敬している勇者のことを呪いという
その重みを僕は理解できなかったが、
じいやが僕に伝えたいことは心に届いた。
「じゃから、タツヤは勇者になんてならんでよい。
自らお前の姉さんと同じ道を歩まなくてもいいんじゃ。
お前には幸せになる資格がある、
じゃからお前は...」
「じいや...もういいよ
じいやの気持ちは伝わったから。
僕は...勇者にはならない」
勇者になりたい。
そう思っていた気持ちがなくなったと言えば嘘になる。
でもじいやの話を聞いて、
僕はこう言うしか、
いや...勇者にはならない。
そう思った。




