第9項―新たなる運命
ガヤガヤとした音。誰から彼から立ち止まっては消えていく。歩き出す音はカタカタと硬い石の音で、カラカラと車輪が回る音が聞こえてくる。
地面は湿っぽくて、冷たい。ヒンヤリとしたその感触は、冷蔵庫に冷やしておいたアイスに近似していた。
目を開けようとするが、目は開かない。眩しさでいっぱいだった。明るい日の光が全身を包み込むように纏わっている。
うつ伏せの状態であることがなんとなくわかった。顔の前の冷たさと、腕の当たる位置だろうか。なんとなく、地面な気がした。
ある時、背中を触れられた。その次に腕。そして、手首へと、移っていく。手首で止まったかと思うと、優しく地面に置かれた。すると、担がれたような感触に襲われ、全身が布状の何かで覆われる。やはりこれも冷たい。人々は足を止め、足音がほとんど聞こえなくなる。
カラカラという音がどこか遠くまで聞こえていった。ずっと、ずっと遠くまで聞こえて、消えていく。また人たちは一斉に歩き始めたように、けたたましい足音を響かせた。
水がぽつんと、零れ落ちた。湿り滴り落ちていく。無情なその活動は、感動のための視線をより引き立たせ、一言目には何も無かった。 何故なのか、心が苦しくて苦しくて、今にも吐き出しそうな気分だった。
匂いが漂ってきた。美味しそうな匂いだ。人はこれに釣られて店に立ち入ったり、金品を落として帰る。当然のように、自身もそれは同じだった。
うつ伏せから反転して仰向けになる。が、壁に阻まれ横向きで終わる。動きたくない衝動と動かなければならない理性が葛藤していた。目を開くには時間がかかった。人がなにからなにまでしようとするのは困難を極める。だから、今のいっぱいいっぱいな現状を動く必要はないと勝手に決めつけ、やはり動かなかった。背中から伝わってくる感触と、地面から受ける感触に心地よさを感じて、ただひたすらぼーっとしていた。
だが、運命は簡単にひっくりかえった。手足を持たれてびっくりして暴れた。すると、手足は鎖のようなもので固定され、怖かった。もしや過去になにかあったのか、と考えるも、思いつかなかった。というより、ガヤガヤとした音以前の記憶がない。ただ恐怖に身を包まれ、ここから逃げないといけない気がした。がその思いも届かずに、どこかへ運ばれる感覚を背負いながら、ゆらりゆらりと運ばれた。
雰囲気がガラッと変わりましたが、当作品は主に作者の文章力向上並びに、設定の矛盾などを減らすための学習用に作成されています。そのため、今回の雰囲気が変わってしまったのは、勉強する部分を変えていこうとしているわけであります。それ以外にも雰囲気を変えなければ……ゲフンゲフン。これ以上は作品のネタバレになるので遠慮させていただきます。次回も宜しくお願いします。