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第6項 -街への脱走劇

はあはあはと荒い息を立てて、立ち尽くす。

バタッ……。

しかし、首から上がなくなったことにより倒れた。

体と体が触れ合い、自分自身から流れる血と、大男が流す血が混ざりあった。

視界は赤黒いながらに光があった。

眩しく、何も見えなくなっていく。

白く、それは雪の如く……。白く、それは宵闇に光る炎の如く……。


目が覚めた。

なんとなく立ち上がってみた。

あたりは静かで真っ暗だった。

すべてが黒く、どこか恐怖心を煽る。


すると、50mほど先に何者かによってぼっと炎が立った。

重装で細身、背丈が2メートルはあるかのような大男だった。

腰に下げた剣は身の丈ほどもある大型のものだった。

右手には炎が光る松明を持っている。

大男は気がついていないようだ。

あたりをキョロキョロしている。

何やら背後から物音が聞こえた。鎖の音だった。

慌ててそちらを向くと、手足に枷をはめた男がひとり。

暗くて顔はよく見えない。

大男がよってきた。音に反応したのだろう。

部屋の中を松明で照らし、あたりを確認した。

すると男に歩み寄り、ひとさし。

サラサラな血がダラダラと流れ、目を剥いていた。

ひっ、と恐怖に怯えたが、男は生きていた。

わかる。心臓の鼓動。きっと死んだフリをしたんだろう。

それを凝視していたせいだろう。

後ろから来た敵に気が付かなかった。

おもいきり背中を蹴られた。

ふっとんで壁にぶち当たる。

頭痛がして唸るが、意識は正常。

男と同じようにすれば、同じように扱われるのだろうか。

そんな疑念を元に、同じように死んだフリをした。

担がれて、階段を上る。

見覚えのある部屋に剣や防具。

そして、覚えのあるバルコニー。

島を一望でき、荒々しい波の音が聞こえる。

ただ、大きな街が見えたことだけ違った。

ガチャガチャと鍵を開ける音がして辿りついたのは、篝火だった。

この篝火はどこかで見た。絶対に。

忘れないだろう。黒く光る火。

闇の炎。

その元に持っていた松明を置き、男と一緒に丁寧に床に置かれた。

次第に声が聞こえてきた。

なにを言っているのかはわからない。

男は立ち上がらない。顔をうつ伏せにして、その時を待つかのようにしていた。

それに続いて、同じように。

声が止み、なにやらまた動き始めた。

担がれて、どこかに放られた。

男はここで起き上がった。

手を引き、一言だけつぶやく。

耳に入らない、到底。

真っ暗に燃える篝火を抜け、バルコニーから飛び出した。

ジャポーン!

勢いよく音がなり、ドタドタと足音も聞こえてきた。

下を覗くと、そこに居たのは捕まった男。川に飛び込んだところを抑えられたようだ。

ジャポーン!

同じように飛び込んで、男へ向かって走り出す。

今思えば無謀だった。

大男の腰に下げてある大剣を握りしめ、振りかぶった。

悲痛な叫びと共に血が垂れる。

大男の体が崩れ落ち、あたりに血を飛ばす。

ふと男の方を見る。

男は死んでいた。

ひとりの大男が首にぎりりと、斧を突き立てていた。

斧を持った大男に大剣を突き立てる。

その後、後方から細身の魔法使いが氷の矢を放った。

ヒュンヒュンと飛ぶ、矢の中、ひとりのなにかは街まで逃げることにした。

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