第3項-闘いは終わらない
敵はゆっくり歩を進め、確実に距離を詰める。
叫び声は観客を沸き立たせ、ほとんどの観客は立っていた。
剣をより強く握りしめる。
およそ5歩手前で敵の進軍が止まった。すると同時に、勢いよくカラパイア振り回して飛びかかってきた。
暗い部屋に火花が散り、相手の表情がよくうかがえる。
楽しそうだった。蔓延の笑みが広がっている。
あっという間に、再び飛び掛かってきた。
これを見事にかわすと観客席は更に熱気を放った。
一瞬の油断が命取りとなる状況で対峙する。
はぁはぁと荒い呼吸を繰り返す。
敵は隙が見当たらず攻撃が当てにくい。
それでも、目を凝らし探し当てようとする。
交戦が再び起こる。
熱い鍔迫り合いで押し負けそうになるのを堪える。
押しこらえ敵が怯み隙がうまれた。
勢いに任せ、剣を振る。手応えはあったものの、しかし脇腹に少量の傷が出来たばかりだった。
距離を置く数秒に、カラパイアの振り回しに直撃した。盛大に吹っ飛ばされ闘技場の中央から端までおおよそ20余mという距離を浮遊させられた。無様に尻餅をつき、口から血が出て衝撃でできた傷口が傷んだ。剣が手から離れていた。
これまでかと思われたが、負けじと立ち上がる。
敵はまだやるのかと言わんばかりの表情をみせ、なにやら手で形を作った。
口がもごもごと動いている。
次の瞬間に、ピシュンという音をたてて氷の刃が突撃してくる。あれは一種の魔法というやつだろう。ローリングで回避する。
後ろでは、氷が花を咲かせていた。きっと触れたら寒さで凍り死ぬだろう。
前を向くと敵が目の前でガン垂れていた。
慌てて迫り来る攻撃を回避する。
距離を置いて剣を取る。
再び詰められた一撃は重かった。