第2項 -繰り返される戦闘
ハァハァと荒い息をしながら走っている。
敵はすぐそこまで来ていた。
しかし、目に入ってきた光景に残酷さを覚えた。
なんと敵が正面にも立っていたのだった。
後方から追いかけてきた2体と前方に現れた2体で計4体になった。
どうにも逃げられそうにない。
暗闇の中にも怪しく光る火の粉が舞い目立ちたがる。
「闘うしかないか…」
腰から剣を引き抜き身構えた。
恐怖で身が震え、久しく持たなかった剣はずっしりとしてひんやりとした触感だった。懐かしさを覚えた。
してる間に、1人の男が叫びをあげながら突撃してきた。
これは、左に避け難なく回避する。
続く第二撃。大きな動きで刃をちらつかせる。
しかし、完全な見切りで攻撃を剣で受け流しカウンターを決める。
剣は男を切り裂き血を流させる。男は力なく倒れていった。
流れる血の向こうに映ったのは、次の敵だった。
これをも呆気なく膝を崩して倒れていった。
二体目を倒してすぐ隙ができた。
次も瞬間走り出して、逃げ切ろうとした。
2体ついてきていたが、いつの間にか追って来なくなってきた。
しばらく警戒しながら歩いてると、大型の門があった。
外に出る門とは一風変わった印象だ。単純で硬くて重そうな門は近未来的な自動ドアを思い起こさせる門になっていた。
案の定、近づくと簡単に開門した。
中は広い闘技場のような楕円形になっており、見世物にされている様な感覚からか嫌な雰囲気を漂わせていた。
誰もいないのに見られている様な感覚は不安を煽り、頬に冷やかな汗を伝わせた。
キー..バタン、ガチャ....。後方から嫌な音がした。
なんと門が閉まっていたのだ。急いで駆け寄り門を叩いて開けるのを待つ。
返事は帰ってこず、閉じ込められた。
火の元で揺れる暗がりを眺め悪態とため息をつく。
「クソッ....」
ガラガラガラ....。その音だけで嫌な予感が全身を覆い、剣に手を掛ける。
振り返り剣を構えると、いつもの男の持つ斧ではなく巨大なカラパイアを手にした軽い鎧を着こなした細身の男が自分から対角線の格子の先から出てきた。
謎の風格を放ち、殺気立っている。完全に殺す気だ。
観客席に目を移すと人ではない人が押し寄せ、殺せ殺せと叫ぶ姿や、賭けをしている姿が多々見受けられる。
逃げることもできない状況が続いて起こる不運な自分を見てこの世の辛さを噛み締める。
しばらくして、銅鑼が闘技場内全体に鳴り響いた。
カラパイアを振り回す細身の男はゆっくり歩きながら、叫び声を闘技場全体に響かせた。