第1項 -最初の監禁施設
コツコツ…。
そんな硬い足音で目を覚ます。
壁に体を任せていた状態で寝ていた様だった。
壁や床は冷たく、視界は真っ暗でなにも見えない。
おまけに手に鎖が繋がっているときた。行動がちっとも出来ない。
足音はだんだん近づいてきて目の前で止まった。
顔をあげると斧を持ち甲冑を着た大男が立っていた。
男は手に持つ斧を振りかざし、攻撃してきた。
「や、やめろ!」
言葉を放つも声は届かず男の手は止まらない。
避けようとしたが、手に鎖が邪魔をして攻撃をくらってしまった。
攻撃は脇腹を裂き、血を流した。
大量の出血は自らの意識を保つことが出来なくさせ、目の前は真っ白になっていった。
ふと起き上がると脇腹の痛みはなく再び暗闇が視界を覆った。血も完全に止まっていた。傷は反撃出来なかった悔しさを思い返させた。
「それにしてもここは、どこなんだ…」
弱々しく放った一言は、虚しく小さく響いた。
顔をあげ、見えない周辺を目を凝らして見る。
しばらくして目が慣れてきて、少しは見えるようになった。
すると通路と、通路の目前にいるあの大男を目視することが出来た。
どうやら巡回しているようで、定期的に辺りをぐるぐると回っていた。
どうにか逃げようと手の鎖を外そうとした。
男は音に気がついて寄ってきた。必死に気が付かれないようにするしか無く、静かにしているとスッと消えて元の場所をまた巡回し始めた。
「危ねぇ…バレないように気を付けないと」
手の鎖をやっとの思いで外すことに成功した。
しかし、更に問題が発生した。
それは格子だった。鋼鉄の硬い格子で抜け出すことは容易ではなかった。
どうやって逃げ出すか頭を抱えたがひとつの結論にたどり着いた。
決死の覚悟で行動に移す。
はじめにその辺にあった石を持ち音を作る。
すると男は鍵を開けて確認しに来る。
その隙に逃げ出す。
「上手くいった!」
喜びをあらわにしていると、男は鎖に繋がっていないことに気がついて声をあげた。
新たに2人の男が通路来て、ウーウーと警戒音が鳴った。彼らは辺りを探し始めた。
気がついていない隙に通路に逃げ出した。
通路からは階段が伸びており警戒しながら上ると、明かりが灯っているのが見えた。
階段を上りきると、最近まで使われていたかのようなコップがのせられた机と木でできたシンプルな棚が備えられている部屋に出た。
棚には男たちとは違う軽いものから重いものまで多種多様な装備が複数並べられていた。
その中には自分の装備していたものまであった。
これを装備して、再び脱出しようとするのであった。
どれくらい時間が経っただろうか?
警戒音は消えて、会敵せずに歩いてこれた。
「どうやって脱出すればいいんだ?」
検討しながら歩いていると、大きな門が開いていた。
外に出られるようだが、敵が2人立っていてこちらを見ている。
こちらを指さして、斧を持って走ってくる。
あと少しで外に出られるのに1度逃げ切らないと行けないようだ。
そうして、この城からの脱出は遠のいていくのであった。