<12>
「女の匂いがする。」
この日僕を出迎えた言葉は、お帰りなさいではなかった。
――誰が言ったか、竜の嗅覚は象のそれに数十倍優れるのだそうだ。その優れた特性は人間の姿に化けた竜にも、ある程度残されているようで、これまでの実験の結果、今現在縁の嗅覚は犬に匹敵するらしい。
「濃い女の匂いがする。」
じっとりと纏わりつくような視線。浮気を疑われる夫のような気分だった。全くぞっとしない。
「お、おい。言っておくけど、僕の通っている学校は男女共学なんだぜ? そりゃあ一日中真面目に学校生活を送っていれば、お前の言う、女の匂いが服だかに付着してもおかしくないだろ。」
「ではお主、その鞄に入っておる、お主の匂いと女の匂いとこの家のものではない洗剤の匂いがぐちゃぐちゃにまぐわったものは何なのじゃ?」
「待て。お前はまぐわうの意味を確実にはき違えていると思うんだけど。」
その言葉は、ここで解説するには些か憚られる類の言葉だったはずだ。
「ええい! 問答無用じゃ。早くその証拠物品を私に検めさせよ。」
「ちょ、こら、やめろ。」
いくら運動能力が向上しているとは言っても、本性が竜である縁のそれに比べれば、生命機能の一部を精霊術で補助、強化している縁と比べてしまえば、僕の力など些細なものであり、単純な力比べになれば十回のうち十回は縁が勝利することになる。今回もまたそうであったように……。
僕の鞄はあっさりと奪われ、そして入念にまさぐられた。
「……のお、お主。何故お主の鞄の中に、お主のものではない、女のものと思しき衣服が、それもお主の汗でびっしょりな状態で入っておるのじゃ? いや、お主がどんな相手とどんなことをしようと、それはお主の勝手であり、私が口を挟むべきではないのじゃろうがのう。しかしお主、これは一体、どんなプレイの結末なのじゃ? いやいやただ純粋な興味からの質問なのじゃがな。」
「ご、誤解だ。僕はただ、必死にバスケットボールをプレーしていただけだ。」
「ほう。バスケットボールでプレイか。中々想像し難いの。」
「僕のてにをはを誤魔化すな! 競技を穢そうとするな。違うよ。今日思いがけず果し合いをする機会があってだな……」
僕は今日の出来事のあらましを余すところなく縁に伝えた。縁の僕に対する疑惑を晴らすために、そうせざるを得なかったのである。
「……成程の。どこかで嗅いだことのある匂いじゃと思ったら、昨日の娘か。」
匂いも覚えてるんだ。人間の僕にはいまいち分かり辛い感覚だ。
――伏見空。昨晩、僕と縁が学校に忍び込み、教科書を救出した帰り道、僕たちは彼女と会っている。いや、僕たちが一方的に目撃したというのが、正確な事実だ。川上から川下へ、学校方面から自宅方面へ、がむしゃらにひたむきに疾走する伏見を、僕と縁は精霊術を隠れ蓑にして、文字通りの上から目線で見ていた。
……昨日の事、と言えば。
「お前、昨日窓の鍵かけ直すの忘れただろ。お蔭で変な汗を搔くはめになった。」
「責任を私に擦り付けるでない。あの時、私に離脱を急かしたのはお主の方ではなかったか?」
「にしたって、お前のことだから僕の気付かないうちに、ご自慢の精霊術でパパッと何とか出来たんじゃないのか?」
「お、恐るべき他力本願じゃ。お主、言っておくが精霊術で鍵を掛けたり解除したりするのはかなり集中を要する作業なのじゃぞ?」
「そうなのか?」
「そうじゃ。うっかり力を入れ過ぎて、窓を割ってしまっては、お主はもっと気まずい思いをしたことじゃろうよ。」
「それはそうだろうな。」
想像するだけで汗が出てくる。
「魔法然り、精霊術もまた万能というわけではない。壊すだけならば容易じゃが、あのような細々したものを操作するのは骨が折れる。」
「ふうん。へえ、そんな事情もあるんだな。と言うかそもそも僕、魔法とか精霊術のことって未だによく分かってねえんだよな。色々恩恵には賜ってるはずなんだけど。」
はずなんだけど、なんて言葉を曖昧にしてはいるが、実際、縁の精霊術にはかなり助けられているのだ。
彼女の精霊術が日常生活のどんな場面で役立っているかと問われれば、あらゆる場面と、僕は正直に答えなければならない。
縁の精霊術は日常生活のほぼ全ての場面で役立てられている。
例として調理について説明すると、彼女の放つ高火力な炎の恩恵で、家庭用ガスコンロでは実現が困難だった、パラパラチャーハンを作ることに我々は成功しており、これは昼食の献立に困った時の定番メニューとして重宝されている。
洗濯についてもそうだ。縁の精霊術によって大気中から掻き集められた水を僕は利用しているし、天気の悪い日には、同じように縁に頼んで乾燥を援護してもらっている。
他にも例を挙げれば切がないが、そうして縁と縁の精霊術の恩恵を受けた結果、我が家の家計がどうなったかと言うと、端的に言って、かなりのゆとりが出来た。
当然だ。精霊術を使って洗濯をすれば、その分水道代は浮くし、乾燥機能は最早使うことさえなくなった。電子機器と精霊術の相性が良くないという理由で、流石に全ての料理に縁の精霊術を転用することは出来ないが、それでも彼女の力によって月額の光熱費は目減りしている。
そういう背景もあって、便利な精霊術を便利に使っていたこともあって、僕は縁の精霊術をかなり汎用性の高い、それこそ万能に近い能力なのだと感じていた。と言っても、これは以前にも語っていたかもしれないが、彼女の精霊術が真の意味で万能でないことくらいは僕も理解しているつもりだ。精霊術にはメリットばかりでなく、デメリットもあると。
『精霊術を使うと疲れる。』と彼女は嘗てそう言った。つまりデメリットとは、つまり彼女の疲労感のことだ。その『疲れる』というのが、どの程度の『疲れる』なのか、僕は知らないが、しかしそれ程重篤な疲労を引き起こすものでもないようである。要するに、メリットとデメリットは対等ではないということだ。得られる効果に対して、対価は微々たるもの。それが僕の、精霊術に対する認識である。
――五月の初め、僕と縁が一緒に暮らし始めた頃、精霊術を提供すると言い出したのは縁の方だった。一つ屋根の下で暮らす以上、それくらいの貢献はしなければ対等とは言えまい、という彼女の申し出を、断る理由もなく僕は承諾した。当然のことながら、精霊術を行使することで発生する疲労感が、生活や生命に重大な影響を及ぼすものではないと分かっていての提案だったのだろう。事実、僕は縁の疲れている様子を見たことがない。寧ろ元気が有り余って、こっちが疲れてしまうくらいだ。
「何じゃ、今更。お主、それについて理解することは、諦めたのではなかったのか?」
「いや、そう思ってたんだけどな。だけど、そこのゴミ箱のワームホールと言い、昨日のお前の魔法の解除と言い、いつもの精霊術と言い、流石に何も分からずわけもわからないものを使い続けるのってのは、ちょっと無責任すぎるかもなって。そんなことをしていたら、いつか手痛いしっぺ返しを喰らうんじゃないかと思って。ほら、そういうことって往々にしてあるだろ? 昨日の失敗にしてもそうだ。あれも結局は理解する努力を怠ってたからああなったわけだし、まあ理解とまではいかなくとも、せめて概要くらいは知っておくべきなんじゃないかと思ったんだよ。」
「わけの分からぬものをわけの分からぬまま信奉するのが人間というものではなかったのかの。何が、とは言わんが。……科学然り、宗教然り。」
何がって言ってるじゃねえか。
「……他ならぬお前に言われると、説得力のある言葉だな。それ。」
何故だか妙に耳に痛い。
「まあ、お主がそう言うのなら、精霊術の何たるかを教示してやろうかの。尤もこの世界で唯一精霊術を扱う私もまた、その全容を、完全に完璧に把握しておるわけではない。じゃから精霊術、魔法に関して最低限知っておきたいというお主の要望に応えるには、本来、大賢者を自称するあの魔女だかに助力を仰いだ方が賢明なのじゃろうが、その方がお主も理解し易いのじゃろうが、そうは言っても魔女に頼り切りになるわけにもいかん。」
「ああ。それにあいつ、この時間じゃまだ寝てるだろうしな。」
昨日も眠い眠いと文句を垂れていた。ただ単に、夜型の不健康な生活をしているだけなのではないか、という疑念は無きにしも非ず、ではあったが事の真相は別として、そもそも魔女の献身をいつまでも当てにしている状態は健全ではないだろうという思いもある。
「しかしどうしたものかのう。何から始めれば良いか。ああ、これだけは先に述べておかなければならんが、これはあくまで私の導き出した結論であって、それがそのまま事実というわけではない。そもそも魔法や精霊術について全容を解明したものは存在せんのじゃ。ただまあ、幾万年にも生き続け、考え続けてきた、そして観察し続けてきた私という竜の導き出した答えじゃ。全てが正しいとは限らんが、ある程度は信用してくれて良いと思う。」
縁は暫く思案し、そして語り始めた。
――縁先生の精霊術講座の始まりである。
「この世界は多層構造になっている。」
などといきなり世界の成り立ちに関する解説から始まった時には、少なからず面を喰らってしまったが、成程話を聞いてみればやはりその必要性があったのだと納得せざるを得なかった。
「つまり、世界は見る者によって違って見えるということじゃ。勿論この言葉には、個人個人によってものの見え方が異なり、認識や理解に違いが生まれるという主観論的な意味合いも含まれておるが、しかしそういった狭義の意味だけでなく、実際的な、科学的な意味合いをも含まれておる。お主ら人間と、例えば犬や猫、魚、それに虫などでは光の、つまりはものの見え方が異なるであろう?」
それは確かにそうだ。どれだけの生物がどれだけ人間と違って見えるかは知らないが、人間と他の動物とでは見える光の波長の範囲が異なっている。以前どこかで聞いた話では、人間では視認できない、紫外線や赤外線が見える動物もいたはずだ。逆に、ヒトにとっては可視でも、ある動物にとっては不可視というパターンもある。
「これは何も視覚に限った話ではない。聴覚もまた同じじゃ。ヒトとその他の動物では、知覚出来る周波数の範囲が異なっておる。イルカや蝙蝠などは人間の知覚し得ない超音波を使いこなしておることくらいは、お主も知っておろう。」
当然だ。僕はお堅い動物番組のファンなのだ。その程度の知識は一応備えている。
「ヒトにはヒトの、虫には虫の、竜には竜の見え方があり、聞こえ方があるということじゃ。無論、他の感覚についても同じじゃ。実際、私はお主らの嗅ぎ分けられない臭いを識別できるし、より遠くの臭いを感知できる。更に言えば、同じ種の中であっても、認識能力には微妙な個体差がある。感度がより敏感な者もいれば、より鈍感な者もいる。これらの差異は受容器官の構造の違い、性能の違いに起因するものじゃ。ここまでは分かってくれたかの。」
「うん。それはまあ、常識と言えば常識だからな。理系科目は得意じゃないっつっても、流石にそれくらいは分かるよ。」
別に得意じゃなくても、嫌いってわけでもないしな。寧ろ文系科目よりよっぽど好きだ。悲しい適正ではあるけれど。
「お主は良き生徒じゃ。ではでは初めの話に戻そう。世界は多層構造になっている、と申したが、つまりじゃ、世界というものはそういった、ありとあらゆる生物種のありとあらゆる個体の、それぞれに異なる認識がいくつも重なって構築されているということじゃ。」
うん? 一気に胡散臭くなったぞ?
まあ、魔法や精霊術などと言う胡散臭いものを理解しようというのだから、その説明が胡散臭くなるのも当然と言えば当然なのだろうが。それに、竜や魔法の実物を目撃しているのだから、今更この手の話を訝しむのも不合理だろう。
「お主らが科学的に理解している、恐らくはお主らにとって最も親しみのあるそして信頼を置いているであろう世界を、或は現実と呼ぶ世界を仮に物質世界と呼ぶならば、その物質世界の上に更にいくつもの、位相を異にする世界がオーバーレイされている、と言えば想像し易いかの。そしてこれらの重なり合った世界は全く独立して、相互に不干渉に存在しているわけではない。身近な例を挙げれば、電脳世界がそうじゃ。コンピューターネットワーク上に広がるこの空間は、現実に、物質的に存在しておるわけではないが、しかし物質世界に作用されておるし、作用しておる。」
こいつ、竜のくせに使う言葉がやけに現代かぶれしてるんだよな。オーバーレイとかコンピューターとかネットワークとか電脳世界とか。お蔭でなんとなく分かり易い気もするけど、凄い順応力と言うか、不可思議と言うか、世界観が揺らぐな。
「まあ電脳世界は人間が生み出した仮想空間であるからして、インターフェイスを通じてある程度人間も視覚的に捉えることが出来るわけじゃが、ほとんどの場合、人間は別位相の世界を認識できない。お主らの信じてやまぬ物質世界の中でさえそうじゃ。人間は物理的空間の全てを認識しておるわけではない。――ダークマターというものの存在をお主は知っておるか?」
「ああ、何となくだけど。観測されていない、理論上の物質のことだったよな。確か、宇宙の質量の大部分を占めているとかいう。」
と言うか、僕がこんなにも曖昧にしか説明できない概念を、どうしてこいつは知っている風なのだろう。もしかしてだけどこいつ、ただの馬鹿じゃないのか? そんな馬鹿な!
「それらをお主らは観測出来ておらん。理論上でしか認識しておらん。それもごく曖昧にじゃ。言葉を換えれば、人間はその存在を曖昧に認識しておる、とも言える。しかし、科学と文明の補助があっても尚、確証は得られておらん。――精霊術や魔法が関係する世界、人間を含む全主観の意識の世界、仮にこれを精神世界とするが、精神世界もこれと似たようなものなのじゃ。未認識の世界、未確認の世界、不知覚の世界。しかしその世界がなければ説明のつかない事象、それが私の精霊術や、あの魔女の魔法じゃ。私や魔女は精神世界に作用し、また物質世界に効果を還元しておる。尤も、私の精神世界とあの魔女の精神世界は全くの別物なのじゃろうがな。」
わ、分からない。僕のSF耐性が低い所為だろうか。取り敢えず来年のカリキュラムに組み込まれてる倫理の授業、取ろうかな。
「つまりお前が言いたいのは、物心二元論みたいなことなのか? あの有名な哲学者が言ったみたいな。でもそれって、もうとっくに否定されてるんじゃなかったっけ。精神とか認識みたいなものは全て物質を根拠としているって。」
いや本当に、曖昧な知識なんだけど。有名な哲学者というのが誰だったか思い出せないくらいには曖昧な知識なんだけど。
「勿論そうじゃ。精神や認識などというものは例外なく物質的に存在するものに依存しておる。じゃがそれは、意識の世界を否定する根拠にはなっておらん。私の言う精神世界は、物質世界がなければ存在出来んが、しかし物質世界の、具体的に言えば思考や情報を蓄積する機関、人間や動物ならば脳があれば、必ずと言って良い程存在する。独立してではなく物質に強く依存してじゃ。じゃが、普通ならそういった数多ある精神世界は、個々人の頭の中に留められておる。それがその人間或は動物自身の行動以外で外の世界、物質世界に影響を及ぼすことはまずない。このまずない、というのがポイントじゃ。これはテストに出る。」
テストがあるのか! どうしよう。取り敢えず、メモメモ。
「まずない、ということは多少はあるということじゃ。身近なもので言えば、幽霊がまずそうじゃの。」
いや幽霊は全然身近じゃないんだけど。え? 僕が知らないだけで、本当は身近なの? 何それ怖い!
「幽霊は死んだ人間の霊魂が生み出すものではなく、生きておる人間の精神が、恐れのあまり生み出すものじゃ。いや、恐れそのものと言った方が良いかの。もっと砕けた言い方をすればストレスかの。まあ、その正体のほとんどが枯れ尾花なわけじゃが、しかし中にはごく稀に、本物が紛れていることがある。本当にごく稀に、滅多にあることではないのじゃが、人が正体の分からぬ漠然としたものに真に怯え、その怯えが極限まで達した時、常軌を逸した時、本物の幽霊は生まれる。裏を返せば精神世界はそれ程までに脆く、不確かで、不安定で、儚いということじゃ。存在しているかしていないか分からないくらいにの。
――人ひとりが生み出す精神世界などたかが知れておる。たとえある者が本物の幽霊を生み出したとしても、全く同じものを他の人間が認識することはない。精神だけの世界は、確固としていない曖昧なものであり、固定的に存続させることが極めて困難である上、物質的方法でしか他人と共有できないからじゃ。じゃからこそ、と一概には言えんのじゃろうが、少なからずその影響もあって、魔法は世の中に広く流布しない。と、まあ私から言えるのはこんなものかの。お主、何か感想は?」
それではお言葉に甘えて、全人類の気持ちを代弁しよう。
「長い! そして怪しい!」
説明が長い分、感想は簡潔だった。
「……その、動物が幽霊を生み出しちゃうってことはないのか?」
縁の人間に限定しようとしない話し振りが少し気になった。何か理由があるのではないかと。
「ないじゃろうの。あったとしてもそれこそ完全に、人間が感知することは不可能じゃろうし、幽霊を生み出してしまうほど動物の脳は発達しておらん。幽霊や、後は神などと言うものは、人間の卓越した発想力が生み出してしまうものじゃからの。説明の中で動物について言及したのは、認識の重なった世界を説明するためと、動物たちが精神世界を生み出す可能性を否定できなかったからじゃ。実際動物たちの世界にも、精神世界はあるじゃろうし。ただそれが人間のものより遥かに曖昧で刹那的というだけで。
……まあ何にせよ、先にも申したが、あくまで私が何千年だか何万年だかを掛けて導き出した仮説じゃ。確信はあっても、確証はない。」
「そうか。何となくだけど、本当に何となく分かった気がする。」
結局、精霊術や魔法が未知のものであるということは分かった。つまり、人間には見えないものがあり、知覚できない世界があり、しかし見えないからと言ってそれが存在していないわけでも、それが僕たちに影響を及ぼさないというわけでもないということだろう。
縁の話は余りにも荒唐無稽だったが、それより更に荒唐無稽な実体験を、魔法や竜、精霊術、それにあのゴールデンウィークを経験した僕には、余程現実的に思えた。
「いつかは科学が解明することじゃ。実際、魔法とみなされていたものが、科学によって解明された事例も少なからずある。ハンドパワーが超魔術ではないと説明されたようにの。――まあ人類の滅亡に間に合えばの話じゃが、しかしこれまでの急速な進歩の歴史を直接眺めてきた私から言わせてもらえば、その見込みは高いかもしれんの。人間というのは全く凄まじい生き物じゃ。」
いつかは科学が解明する。幽霊も魔法も精霊術も。じゃあお前は、竜である縁の正体もいつかは科学が教えてくれるのだろうか。
縁の正体、竜とは何か。その疑問が浮かんだ時、何故だか僕は少しだけ怖い気がした。