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恋愛学園  作者: りん
入学
3/17

早起きは二文の得と一文の損

「ふあぁ~~」


いつもより早く起きてしまったかな。時計を確認してから部屋を出て洗面所に向かう。顔を洗い目を覚ましたあと台所に移動、そして冷蔵庫の中から鍋を取り出してコンロにかける。



俺が今住んでいるところはマンション11階建ての4階に位置している。俺の両親はここにはおらず、妹の桜との二人暮らしだ。そのため基本的な家事は全て俺ら兄妹でこなさなければならないのだが………

そのときちょうど妹が起きてきた。


「ふあぁ、お兄ちゃんおはよう。」

「ん?起きたのか。早く顔洗ってこい」


「う~~ん。お兄ちゃんは相変わらず早いね。たまには私がご飯を作る?」

「やめて。それだけはやめてください。お願いいたします。」

「むぅ、これでも前よりは上達したんだよ。この前はちょっと加減を間違えちゃっただけなんだから………」

「どう加減を間違えたらナポリタンがスープになってしまうの!!!???それはちょっとじゃ済まされないと思うけどな!!!」


そう。桜は極度の料理オンチなのだ。しかもちょっとミスっちゃった♪で済まされないレベル。今までお前が料理するたびに何度死にかけたことか……。麺料理をどう調理したらスープになるんだろうね?プロの料理人も驚くこと間違いなし。


だからと言って家事が全部出来ないというわけでもないのだ。洗濯だってできるし掃除もする。料理以外は普通にこなせるんだよ、我が妹は。だからいつもは、俺が料理をつくり、桜はその他の家事を担当することになっている。俺が台所に立つ限り敵(桜)の立ち入りは許さん!!


「それじゃいってくるね~」


俺が解説をしている間にいつのまにか飯を食べ終え、準備も済ませ、学校に向かった桜だった。それじゃ俺も学校に行きますかね。



―――――



「今日は思ったよりも早く着いたな」


いつもよりも早く起きてしまったせいか。予定より早く着いてしまった。まあ早起きして損することはないだろうと思い教室に入る。教室の中にはクラスメイトが数名ほどしかいなかった。中学のときも俺は早いほうだったから特に目慣れない光景でもなかった。窓際の後ろから3番目の席に腰かけると、声をかけられた。


「あ、久城くんおはよう」

「ん?遠藤か。おはよう」


そしていつも通り本を手に取ろうとする。

…………………いやいやいや待て待て今の明らかにおかしいぞ。

そして隣にいる少女に確認をとる。


「えーと、遠藤だよな?」

「うん。そうだよ」


向こうも普通に返事を返してくれる。うん、やっぱり普通………じゃねぇ!!!


「遠藤って隣の席だったのか!!!???」

「あ、やっぱり気づいてなかったの?ひどいなぁ、私は気づいてたんだよ?」


遠藤が諭すように言う。いやだってあんまり興味なかったからさ。それよりも、どうやってこの学園生活を乗り切ろうか、とかしか考えていなかったんだよ。


でもポジティブに考えてみれば知ってる人が隣なんだよな。それはそれですんごい助かる。フリートークさまさまだなこれは。なんだ。案外あのフリートーク役に立ってるじゃないか。


「ゴメン。これからもよろしく」

「うん。よろしく」


遠藤と言葉を交わす。まあ一人くらいだったら仲良い人いてもいいよな?でもなぜだろうか。さっきから複数の視線を感じる。



――――――



『えー。遠藤さん、そうだったの?』

『私なんてねー。』


隣で遠藤がクラスの女子と話をしている。なんというか隣で楽しそうに話をしていると除け者感が半端ないんだよな。まぁ相手は女子だから仕方ないとして。極力隣を見ないようにしていると、不意に声をかけられた。


「おーい。久城、ちょっとこっちこいよ。」

「ん?」


見ると手を振ってアピールしている。あいつは確か……あ、そうだ中学のときの同級生だ。名前は川谷[かわたに]俊也[しゅんや]。いきなりなんの用だろうか。席を立ち川谷のほうに向かう。


「おい、久城。いつの間に遠藤さんと仲良くなった?」


川谷は真剣な顔だったが何を言われているのか分からなかった。正直それがなに?と思ったけど一応応えた。


「フリートークのときだよ。なんか悪いのか?」

「くそ!マジか、お前運いいな。遠藤は学年ランキングNo.1の美女なんだぞ」

「ランキング?」


川谷が言った言葉に俺は首を傾げる。ランキングって一体なんだ?そしたら川谷が無言でスマホを取り出して画面を見せてくる。

そこにはランキングらしきものが載っており、そこの1位のところには《遠藤 明日菜》の文字があった。


「これなに?」

「学校の公式サイトだよ。入学初日から現在までの投票数だな。いわゆる美男美女ランキングってやつ」


それ学校でやることだっけ?疑問は山程あったがまあ恋愛学園ならしょうがないかと思いスルーする。


「誰が投票してんの?これ」

「俺たちだよ。入学した瞬間から投票権が与えられて好きなやつに

投票できる。ただし異性のみだけどな。ちなみに投票権は3ヶ月ごとに更新されるらしい。」


自分のスマホを取り出して学校の公式サイトを調べる。公式サイトに入って、スライドさせていくとそこには美男美女ランキング投票の文字があった。ランキングは学年順位と全校順位の二種類。なるほど、ということは遠藤は学年で一番の美女ということになるのかな?でもこれ美男美女じゃなくても人気者という観点でもとらえられそうだけど。


「ま、ようするにだ。今お前は全生徒を敵に回している状況にいるんだよ。」


川谷が楽しそうに言う。いやちょっと待て。なんでそうなる?


「いや、俺何もやってねぇし。」

「お前が何もやってなくとも遠藤と楽しそうに話しているというだけで妬むには充分なんだよ。自覚しとけ。」


川谷も妬んでいるかのようなお言葉。そして直後に再び感じる視線。なるほど、さっきから感じていた視線はそういうことだったのか。ちらっともう一度スマホの画面をよく見るとランキングの下にコメントもあった。どうやらリアルタイムで全て更新されているらしい。そしてそのコメント欄には


〈久城くたばれ。〉

〈久城いなくなれ〉

〈久城は男の敵〉


などなど。……………………………………泣くぞ!!!???人によってはイジメと受け取れる内容なんだけど!!!???



――――――



この時俺は気づいてなかった。

さっきまで遠藤がずっと俺を見ていたことに。

読んでいただいてありがとうございます

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