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恋愛学園  作者: りん
入学
2/17

後ろの正面は可愛い少女でした

「それでは皆さんレクリエーションを行いますよ~」

『『待ってました!!!!!!!!!』』


レクリエーション当日、体育館に集まってみれば、やけに皆のテンションが高い。よくそんなにテンション上がるよな。俺だけ空気の温度を下げてやろうか?そんな俺の気持ちを他所に教師の説明が続く


「皆さんは朝にクジを引いたのを覚えていますか?」


そう言われたのでポケットに入れてた紙を取り出してみる。確かにレクリエーションで使うって言ってたな。。これをどうしろと?


「男女それぞれ両方のクジには1~100までの数字が書かれていると思います。これから同じ数字の人と話してください。以上。」


先生がはっきりと今回のレクリエーション内容を告げた。ずいぶんと適当だなおい。てか女子と話すの!!!???二人っきりで!!!???

自慢ではないが俺は中学生のころにまともに女子と話したことなんか微塵もない。それ以前に人数的に大丈夫なのか?これ。男子と女子の人数同じじゃないと成立しないよな?

そんなことを考えていると近くの男子の会話が聞こえてくる。


『これ人数大丈夫なのか?俺だけ除け者とかいやだぞ?』

『なんでも男子と女子の人数は面接の際に調整しているらしいぞ。全生徒が卒業までにカップルにするのが目標だとか』


それマジ?



――――――



『お、君俺と同じ数字じゃね?』

『仲良くしようぜ~』


一人で悩んでいるうちに周りは動き出す。いやいや無理無理。話しかけられるわけないじゃん。こういうときはあれだ。最後の一人になるまで待てば女子も一人余るはずだから、その人が俺と同じ数字だろ。俺頭いい~。

……そういえば俺自分の数字なんだっけ?

ちらっと確認してみると《35》という数字があった。


「あれ?もしかして35番ですか?」


肩越しに声が聞こえた気がした。でも今はそれどころじゃない。この状況をなんとかして打開せねば。

…………………………いや気のせいじゃないぃ!!??

慌てて後ろを振り返るとそこには一人の少女が立っていた。


さらさらのショートヘアーで目は大きく綺麗な子だった。人目で間違いなく美人の枠組みに入るだろうと思われる。


「あ、もしかして君も35番?」

「はいそうです。よかった~見つかって」


目の前の少女は心底安心したように息を吐く。女子とまともに話すのはこれが初めての俺にとってこの会話だけでも充分緊張した。いやだってさ。やっぱり緊張しない?初めての人との会話って。しかも女子だよ?ついでに言えば美人さんですよ?

一人で考え込んでいると目の前の少女がちょっと困った顔になっていた。と、ヤバいヤバい。ここはなんとか会話を繋げなければ。


「えーと、君の名前はなんて言うの?」

「あ、はい。私は遠藤[えんどう]明日菜[あすな]と言います」

「そうなんだ。俺は久城 紅葉。よろしく」

「よろしくお願いします」


これで会話が途切れる。ておぉい!!何も状況が変わってねぇじゃねぇか!!!

一人でまた考え込んでいるとそんな俺を見て目の前にいる遠藤は控えめに笑いだした。こうして見てもやっぱり可愛いな。俺なかなか当たりを引いたんじゃないだろうか。て、そうじゃないな。なんでいきなり笑いだした?

ちょっと気になったから聞いてみた。


「なんか俺おかしなことでも言った?」

「あ、いえそうじゃないんです。ただ……なんというか顔に出やすいというか正直な人だなと思いまして」

「え?マジで?」


慌てて頬を触ってみる。俺そんなに顔に出ていただろうか。自分じゃよくわからない。もし顔に出てたならちょっと恥ずかしいな。間抜けことばかり考えていたから。


「あ、今自分のこと間抜けだと思いませんでした?」


なぜわかる。


「なんでわかんの?確かにそう思っていたけどさ」


しかもなんでピンポイントで〈間抜け〉だってわかったんだよ。定番だったら〈バカ〉だろうに。逆に怖いわ。


「ふふっ。なんとなくです。」


遠藤は誤魔化したように言う。その仕草がいちいちかわいかったり。いやいやそうじゃない。そこ気になるところ。あなたはあれか。超能力者だとでも言うのか。これじゃへたなこと考えたら全部バレるってことじゃないか。

………遠藤は要注意人物に枠組みしよう。いろんな意味で。

そして知らず知らずのうちにまた会話が途切れる。居たたまれなくなったのか今度は向こうから聞いてきた。


「久城さんは、この学校になんで入学したんですか?」


おぉう。それな。俺も知りたいよ。いったいなんのために入学したんだろうな。正直に言えば笑われそうだから若干誤魔化して言うことにした。


「ちょっとな、この学校に興味あったんだよ。ほら恋愛を推奨してる学校って珍しいだろ?せっかくの高校生活なんだから灰色の青春なんて嫌だし。」


若干でもなかったな。自分の気持ちと真逆のこと言ってしまったな。その言葉にたいして遠藤は可愛らしくコテンと首を傾げて


「今の嘘ですか?」


…………なんか俺悲しくなってきたぞ。この人と会話するのが怖いわ。どんだけ思考を読まれているのよ。本当に超能力者じゃないだろうな?表情だけでここまでバレるものなのか?


「いえ。久城さんが顔に出やすいだけだと思いますよ。」


うおぉい!!!???とうとう会話になってしまったぞ!!!???人の思考と会話できるってスゴすぎだろ!!!???心を読むにも限度があるだろ!!!なすすべがない俺はとりあえず話を逸らすことに


「というかさ。敬語じゃなくていいぞ」

「はい?」

「いや。なんというかさ。同級生に敬語使われるの苦手なんだよね。」


これは紛れもない事実だった。だってさ。なんか嫌じゃない?同級生に敬語使われてるのって。なんか戸惑うというか、遠慮されてる気がしてさ。そんな俺の発言に遠藤は少々戸惑いの表情を浮かべたあと満面の笑みで


「わかったよ。久城くん。」


…………やべ。鼻血出てきそう。やましい気持ちなんてないはずなのに。


そのあとも他愛いもない会話をしてたら時間になってしまった。案外話してみれば話せるもんだな。俺には積極性が足りないからあまり仲良い友達とかできなかったのかも。

ちゃんと会話できたことに安堵しつつ心の中ではもっと気楽に過ごしたい、思ってしまう。



――――――



「お兄ちゃん学校でなにかあったの?」

「ん?なにが?」


晩飯の会話。桜が突然聞いてきたが心当たりが全くない。


「なんというか明るくなったよ。仲のいい女の人でもできたの?」

「ブフォォ!!!???」


思いっきり吹き出してしまった。我が妹はいきなりなにを言いだしてるんだ!!!


「そんなわけないだろ!!!???」

「へー、本当に?」


桜が面白いものを見つけたように、ここぞとばかりにからかってくる。くそ、別に何もないもん。確かに可愛い少女と会話をした覚えはあるが別に特別親しいわけではないもん!!!


「ま、お兄ちゃんが楽しいなら私はそれでいいよ。見てるこっちも面白いし」

「何気に仲良くなったの部分は否定してなくないか!!??」


まさか桜にまでバカにされるとは。でもよく考えてみれば明日からは特に何もないはずだからやっと静かに過ごせそうだ。それでも心のどこかで不安になってしまうのが人間の性だよね。

お読みいただきありがとうございました。

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