3人寄れば火花が散る
「それで、君たちはいったい何しに来たんだ?」
遠藤と佐々波を家の中に招き入れて問いただす。
なぜこの家に来たのか。そもそもなぜ俺の家を知っているのか。
個人情報の漏洩にも関わってくるのでぜひ聞いておきたいところだ。
俺が問うと、二人は目を不自然に逸らし、
「いや、あれだよ?休日にたまたま見かけてそのときにこのマンションに入って行くのを見かけてそのときにちょこっと部屋を確認しただけだよ?」
「そうそー決してこれはちょうどいいからあとで訪問ついでに遊びに行こうとか思ってなかったんだよー」
「すんごい分かりやすい説明ありがとうございます!」
もはや怒る気にもなれない。
この二人はどんだけ暇人なんだよ………。
わざわざGWに人の家に来るって。しかも男の家に。
あれか?最近ではこういう行為が普通なのか?
俺の中の常識が崩れそうになる。
「それならもう気は済んだろう?さっさと帰って頂いて結構です」
「そんな!紅葉くんはか弱い女の子を見放すっていうの?」
「か弱い女の子はGWに男の家に来るという行動力は発揮しない!」
どうやって追い出そうかと悩んでいると奥の部屋から人が出てくる気配がする。
あ、そういえば
「あれ?お兄ちゃん誰かいるの?」
奥の扉から入ってきたのは桜だった。
しまったぁぁあ~~~!
桜がいるの忘れてたぁぁあ~~~!
桜はそんな俺の心境に気づかず俺の後ろにいる遠藤と佐々波を見て顔が固まる。
「あれ?女の人?」
ヤバい!どう説明しよう!
この状況誰がどんな説明したって……!
「もしかしてお兄ちゃんの彼女?」
そうですよね!絶対そうなると思ってたよコンチクショウ!
状況が悪化する前になんとか桜に説明を………!
「久城くん?もしかして彼女さん?」
あぁぁ~~!手遅れだったぁ~~!
落ち着いて遠藤さん!黒いオーラ出してるよ!
おかしいな!俺は別にやましいことは何一つないはずなのにこんなにビビってる!いや当事者じゃなくてもビビりそうだ!
するとそこに救いの手が。
「違うよー。きっと同棲してるんだよー」
救いじゃねぇ!地獄へ誘う手だ!
佐々波さぁん!この状況をさらに悪化させて俺になんか恨みでもあるんですかぁあ!?
とりあえず取り残された道は説得しかないのでなんとか説得を試みる。
女性3人相手に負けてたまるか!
――――――
「…………ということなんだよ。わかったか?」
「「「なるほどこの人は愛人ですか」」」
「よしわかってないな。そこに正座しろ」
説得するために何度も訴え続けようやく納得してもらえた(?)。
なぜ妹だと友達だと教えるだけでこれだけ時間がかかるのか……。
絶対数におかしい。
「あのお兄ちゃんに友達がいたなんて……」
「着眼点おかしいだろ!」
俺にも友達くらいはいる。
中学校のころ仲良かった友達は今でも連絡はとっているし、遊びにも行く。それに今は川谷という男友達もいる。
決してボッチじゃないからな!
「妹なんだ………」
「良かったー」
「何が?」
「「何でも」」
遠藤と佐々波は何故か安堵している。
でもときどき桜を目の敵のようにして見ているのでいろいろと不安だ。
これは話題を逸らしたほうがいいかな?
「ところで聞くけど二人は何しに来たんだ?」
「紅葉君の部屋を探索してみようと思ってたの」
「こんな良い天気なんだ!外へ行って遊ぼうぜ!」
遠藤が恐ろしいことを言い出したので外出を促す。
させねぇよ!俺のベッドの下や棚の裏には女子には見せられない宝が詰まっているんだからな!
「えー折角来たのに……」
「でもデートもいいかもねー」
「え、これデートなの?ま、いいか」
別にデートのつもりでは無かったがそれで二人が家から離れてくれると言うならば喜んでデートしようではないか。
ただ俺はデートのノウハウは知らないから難しい展開にほなるだろう。
どこ行こうかーという話をし、チラッと隣にいる桜を見る。
桜はどこか不満気な表情を浮かべ遠藤と佐々波に敵意を向けていた。
遠藤と佐々波何もやってないよね?
「私も行く」
「へ?」
「私も行くって言ったの!」
何と桜も行くと言い出した。
家にいるのは暇だったのか?いやでも……
「今日は友達と遊ぶと言わなかったか?」
「香織ちゃんは今朝骨折したから無理だって」
「友達重傷!?」
コソコソと俺に見えないようにメールを打っているのが見えた。
恐らく美坂に連絡しているのだろう。
あからさまな嘘をついて友達に迷惑をかけてまで期待のか?
正直言って来る価値がないと思うのだが。
ちなみに桜の言う友達は美坂香織と言って桜の同級生。
自宅に遊びに来たときが何度もあったのでよく覚えている。
「そ、それじゃあ早速行くか」
「「「………………っ!」」」
俺がそう告げると3人がにらみ合い火花を散らせた。
………………バトルはしないぞ?
久し振りの投稿です。
本当に久し振りだ……。