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恋愛学園  作者: りん
入学
13/17

俺はもう萎えている

今日もいつも通り歩いて登校する。

だがいつもとは違う気がする。

廊下を歩いても同じだ。

変な視線を感じる。


教室に入り椅子に腰掛けてもやはり視線を感じる。

なんなんだ。なんなんだこの視線は。


困惑する中、遠藤が教室に入ってくる。



「久城くん、おはよう」

「おう、おはよう」



挨拶を交わす…………その瞬間。

今日一番の視線を感じた。


あぁ、なるほど。さっきまでの視線は妬みの視線か。

妬みで人を殺したいと思っているバカどもの仕業か。

ははっ、バカなやつらだな。妬みで人を殺せるはずが…………あ、痛い。痛いですよ、その視線。



「どうしたの?」

「あ、いやなんでもない」



まあ、スルーしよう。

こういうのはめんどくさいだけだ。

そんな中、一際大きな声が聞こえる。



『キサマァ~~~!!女子とイチャイチャとはいい度胸だなぁ~~~!!』

『俺はもうリア充撲滅会は抜けることにしたんだよ!』



「騒がしいねぇ~~」

「それで済ましていいのかしら?」



こういうのにいちいち驚いていたら身がもたない。

成長したな俺。


そんな感じで一時間目が始まるが、いまだ授業は始まらない。

なぜかというと、リア充撲滅会による刑が執行中だから。

端から見ている分には授業がなくなるから楽でいいなこれ。


勉強もせずに本を読んでいるとドアが開きリア充撲滅会の会員と思わしき男が入ってくる。


なんだもう終わったのか、と思っているとなぜかその男は俺の机の正面に立った。



「……………………いったい何用で?」

「あんたこんなところでなにやってるんだよ!?」

「なんの話!?」

「あんたが指揮をとんないと意味がないだろ!?」

「無関係者を巻き込むな!」

「は?何を言ってるんだ。支部長なんだからしっかりしてくれ!」

「………………………はい?」



目の前の男が身に覚えがないことを言ってくる。

支部長?なんの話だ?

そういえば篠沢先生がそんなことを言ってたような気もするけど俺はまず会員でさえないんだぞ。

なんでそんな話になる。



「俺引き受けた覚えがないぞ?」

「言う意味がないからな」

「そこ重要ですよ!許可とるの必須ですよ!」

「疑うんだったら確認とればいいだろ?」



確認って…………あ、そういうこと。

即座にスマホを取りだし恋愛学園サイトを開く。

この作業もスムーズにやれるようになってしまった。

そして、メニューからリア充撲滅会の項目に入る。

その中から必要だと思われる情報を見つけ出す。



いわく、

支部長の転任について、代表取締役(以後、総会長と呼ぶ)が認めた場合において転任が可能。会員全員からの了承が得られれば相手の意志は無視できる。ただし、それ相応の実績がある相手ではないと成立しない



ふざけんなぁ~~~!!


なにこのふざけた条約!自由すぎるだろ!?

人の意志は無視かよ!

人の知らないうちに人を支部長にしてんじゃねぇ~~!



「これでわかったな?」

「わかってたまるかぁ~~~!!」

「なんでだよ?遊びに行くときに親に買い物を頼まれた程度のことだろ」

「絶対違うよなそれ!?例えからしておかしいし、そもそもこれはそんな優しいレベルじゃない!」

「お前ごときに拒否権があると思ったか?」

「俺の扱いひどくねぇ!?よく俺のことを認めたよなお前ら!というか人の話無視したな!」

「細かいことを気にしてたらモテねぇぞ」

「お前らにそれを言われるとは思わなかった!一番言われたくないやつらに言われた!しかも細かくないし!学校全体の問題だよこれ!」

「たく、実績がすでにあるのになにを………」

「それだよ!それがよくわからん!」

「自覚してないのか?」

「わかってたま、る、か………?」



そう言われ篠沢先生が言ってたことを思い出してみる。



『あと他の生徒の証言だと無関係の男子生徒の首をへし折ろうとしてた、とも言ってたな』



………………ふむ。



「身に覚えがないね!気のせいじゃないのか?」

「いや、今絶対なんか思い出したよな!?」



は、知らないね!たかがそれぐらいで実績と呼べるかどうか怪しいもんだ!それくらい他の人だって言って

……………………………………………

まぁその話は置いといて!



「俺は絶対に認めないからな!」

「もう諦めろ。ここがお前の人生の墓場だ」

「そんなドヤ顔決めなくていい!それに勝手に人を殺すな!それによく考えてみればあのときは川谷が悪いだろ!別に妬んでいたわけでもないし!」

「え?自分の好きだった女子を取ろうとしたからものすごく妬ましく殺したかった、じゃないの?」

「どういう状況だそれ!?どうやったらそんな根も葉もない噂が広がる!?」



あのとき教室には他にもたくさん人がいたよな!?

どうやったらそんな解釈になってしまう!?



「どうでもいいから行くぞ!支部長!」

「いやだぁ~~!俺は一般人だぁ~~!」



一般人からリア充撲滅会1―B支部長に出世しました。




――――――




「…………………………(シクシク)」

「なんで声を殺して泣いてるのー?」



佐々波が聞いてくる。

できればそっとしておいてほしい。



「ちょっといろいろあったの」

「へぇー」



遠藤が説明してくれる。


現在いるところははれて恋愛活動部の部室となった元空き室。

やっと本格的に部活が始動するのだが…………今はそっとしておいてください。

もうそれは萎えています。



「なんでこんなことになったのー?」

「とりあえずこれ見てくれる?」



そう言ってスマホの画面を見せる遠藤。

そこには恋愛学園の公式サイトがあった。

そのサイトのランキングが表示されている。



「え~と、美男美女ランキング、て普通のやつじゃないのー?」



普通なのかこれ?



「その一番下なんだけど…………」



一番下=ワースト1位

そこには、



美男ランキング1年の部(?/100)

・・・

99位 山下茂 〈2〉

100位 久城紅葉 〈-85〉




「………………ビリ?」



言うなそれ!



「この数字はどういう意味ー?」

「投票する際にマイナス評価があるとその分投票数が減らされるんだけど……」



つまり俺は85人もの人に悪い評価をもらっている。

え?なんで85人だとわかるって?

それは………聞かないでくれ



「紅葉くんに対する投票が1票もないから85人にマイナス評価を貰ったと」

「それ言うなぁ~~!」



そうです。俺には1票もありませんでした。はい。

しかもコメントには


〈死ね死ね死ね死ね死ね死ね〉

〈クズはこの世から消えろ〉

〈はぜろ〉


前から悪化してるぅ!!

もうこれただのイジメだよね!?

これ公式サイトだよね!?

全国に晒してるんだよね!?


ちなみにマイナス評価は同姓からの評価も加わるらしい。


俺も自分のスマホを眺めていると、数値が変化した。



100位 久城紅葉 〈-85〉

→100位 久城紅葉 〈-84〉



あれ?上がった。


顔を上げてみると遠藤が自分のスマホを操作していた。


もしかして………



「遠藤、お前が?」

「うん、私はまだ誰にも投票してないから」



うおぉ~~!マジか!遠藤さん、神ってるわ!



「久城くんの良いところを私は知ってるから」



遠藤が女神に見える………!

ありがたやありがたや。



「それじゃ私もー」



佐々波もスマホを操作したかと思うと数値が84から83に変わる。


あなたたちの優しさだけで俺は生きていけます……!



「でもー紅葉くんは投票しないのー?」

「へ、俺?」



投票権は全生徒に与えられる。

つまり、俺も投票できるわけだけど………



「いや、俺はしないよ」

「なんで?」



遠藤が聞いてくる。

だってさ………



「人に優劣をつけて何が変わるって言うんだ。友達だったやつが友達じゃなくなるのか?周りがどう言おうが他人は他人、友達は友達。人の見方は優劣で決まるもんじゃないよ」



結局はそうだ。

最下位になったから友達じゃないとかはそんなのあり得ないだろ。投票するほどの価値はない。


だからね。決して今俺が流している涙は悔し涙じゃないんだ。

それだけは納得してくれ…………!



「うん。そうだね。友達は友達だもんね」



遠藤がそう言って微笑む。

納得してくれたようでなにより。

ところで……………



「遠藤と佐々波って何位だったりするの?」



やっぱりどう言い繕っても好奇心は抑えられない。

聞くとなぜか目を逸らす二人。

ん?まぁいいや、自分で確認しよう。


そしてスマホを操作して美女ランキングを確認する。



美女ランキング1年の部(?/100)

1位 遠藤明日菜 〈23〉

2位 皆葉京華 〈18〉

2位 佐々波美麗 〈18〉



「落ち着いて!ここ3階だから!」

「そうだよ!なんで飛び降りようとしてるの!」

「止めるな!俺はもう生きていける気がしないんだ!」



裏切られた気分だ。

今回は伏線の回収と伏線張りの回です。


次回はGW編に入りたいと思います。


→これまだ入らないフラグだと思ったら評価

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