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私も女の子なんですけど!?

一応これで連続投稿は最後にします

お付き合いありがとうございました!

また不定期に一、二週間に一話ペースに戻ります。

「や...やっと着きましたね......」

「長い」

「し、仕方ない。秘匿されてる里だがら」

「グルゥ......」


 疲労困憊のリシュ達。光指す方を目指しながら、意気揚々と繰り出したは良いが、その先が山あり谷あり魔物ありの道中。


 さらにいつまでたっても村らしきものが現れず、三日三晩歩き続け遂に村の入口らしきものを見つけたのだから、疲労の顔がよく出ている。


 リシュの髪の毛はベタつき、ポポには若干蝿がたかり始め、サンドラの綺麗な毛並みは茶色く濁っている。


 唯一汗をかかないジアはその様子に鼻をつまみながら眺めているような状態だった。


「ジア...ずるいですよ......」

「ふっ。これが私の秘められた―」

「誰の影響ですか...まったくぅ......」


 そう言いながら、ジアのふみふみとした頬をつまみながら文句を言うリシュ。それに文句を言いながら、そのままのジア。


 傍から見れば美少女たちの戯れだろうが、二人の間にあるのは異臭だ。


 本当に臭い。


「姐さんたちもういごう。」


 ポポはそう言うと、いそいそと何の変哲もない太い幹に近づき、通り抜けてしまった。


「......え?」

「ポポが飲み込まれた?」

「早く早く」


 幹に呑まれたと勘違いしたリシュとジアだが、幹の間からぬるっと出てきたポポの顔に絶叫した後、いそいそとエルフの里に入ることにした。


 太い幹は風のように軽く、感触のない目に映る世界とのギャップに驚くリシュだが、その直後に広がる世界に目を奪われた。


 深紅の瞳が大きく見開かれる。


 光の粒が地面から空へと伸び、至る所の木々からは薄く七色に輝く水が水溜まりを作っている。

 木造建築のような家々が立ち並び、それを囲うように光の結界が立ち並ぶ。水と木と光に包まれたような幻想的な世界。


 この世界とは隔離されたかのようなあまりの美しさに、ジアも言葉を失っていた。


 リシュとジアの姿を見ると、耳が細長い小さなエルフと思わしき子どもたちは木々の後ろへ逃げ、祭りでもあるかと錯覚するほど楽しく演奏をしていたエルフ達はゆっくりと距離を取る。


 歓迎されていない。それは誰がどう見てもそう感じられる雰囲気で充ちていた。


 綺麗な世界から一転、唾さえ飲み込めないような緊張感が三人を包んでいた。


 いつしか流れ出る雫が地面と一体化する音が大きく聞こえるほど場は静寂する。


「......」


 誰しもが相手の出方を見るその場で、カラカラと何かが走る音ともに、大きく何かが引きずられる音がリシュの耳に届く。


「ポ...ポ......?」


 前方からカラカラと音を鳴らしながら、木製の車椅子のようなものに乗った人物が現れる。


 深くローブを被ったその人物は、片手でポポの巨体を服を持ち上げながらリシュ達との間を詰める。


 木が地面を歩く軽快な音と代わり、リシュ達には汗と焦りが募っていく。


 ボロボロに汚れ、両肩をぶらりと提げたポポ。


「う、うぅぅぅう......」

「ポポ!」

「ふむ、こやつを知っているのか。して、そこの旅人よ。何用じゃ?銀髪の少女、そして機械人形の生き残りよ?」


 巨体を持ち上げているとは思えないような綺麗な女性の声色が場に木霊する。


「...!」

「かような素晴らしい隠匿技術を持ってしても、儂の目からは逃れられんのじゃ。」

「その前に私達の仲間に何をした。」

「ほう、仲間とな?こやつの正体が化け物であってもか?人間と機械人形と、この化け物が仲間?カッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカ!!!」


 太鼓を叩いたかの如く笑い声が響き渡る。


「ふぅ、数十年ぶりに声を上げて笑ってしもうた。面白いことを言うなぁお主ら?」


 なおもカラカラと音を響かせながら、リシュ達との間を詰める。緊迫した状況に、リシュとジアは武器に手を添える。


「ポポはここまで旅をした仲間です。貴方がどうであれ、私達の仲間にした仕打ちを許しはしません!」


 レイピアを抜きながら、ゆっくりとローブの女性に向ける。


 ローブの女性はなおも近ずきながら、ゆっくりと言葉を吐き続ける。


「面白い。このような圧をものともせず、ワシに刃を向けるか?ふむ、よかろう、ちょいとばかし遊んで―。」


 レイピアと女性の間にほぼ空間がないに等しく近ずいた頃、女性は大きく手を自身の顔に持っていき、森の中に轟く声で叫んだ。


「くっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっさ!!!!!!!!!」

「な!?」

「お主、臭い臭すぎる!勘弁しておくれ、エルフは耳と鼻がとても良いのじゃ。それを、それをあああくっさ!」

「くさくさ連呼しないでください!あ、ジア貴方息吸わないようにしてますね!?」


 顔を茹でたタコのように赤くしたリシュの周りでは鼻をつまみながら、左右に手を振る人物が二人。


「あああああもうううううう最っ悪です!」

「んあ?この臭い...リシュの姐さん?」

「ポポ起きたんですか!?所でポポ、後で話があります」

「ひぃぃぃぃ!」


 やっと目を覚ましたのに、自分の窮地にさらに気絶しようとするが、女性に放り投げられ、それを邪魔されるポポ。


「まったく、お前がここですっ転ぶのが悪いのじゃ。弁明せい、この阿呆が」

「え、すっ転ぶ?」


 キョトンした様子にポポが恥ずかしそうに頭をかきながら、事件の全貌を語り始めた。


「いや、おで久しぶりの故郷に着いたあまりの嬉しさに走り回ってたらすっ転んでな。んで目を覚ましたら、なんかこんなことに......」

「な、なら私の早とちり......!?ああああああああぁぁぁああ⤴」


 目が眩むような美しき幻想的なこの世界の端で、甲高い声をあげながら発狂する少女が一人。


 初めて風斗と別れたことを後悔したリシュであった。




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